初代 MINI コンバーチブルにFM/AMラジオブースターを取り付けるの巻

はじめに

MINI R52 コンバーチブルですが…本当にFM/AMブースターついてますか??
R50やR53のようなハッチバックには,どうやらちゃんとブースターがついているようなのです.しかし,R52 コンバーチブルでは,それがどこにあるのかさっぱりわからんのです.
どちらにしろ,超強電界の局しか入らないようではどうしようもないし,ブースターがあるのかないのかもわからんけれど,ブースターを別に取り付けてみることにします.
結論からいうと,大幅に改善しますよ.

ほんまにブースターあんのか疑惑

ハッチバックにはちゃんとある

ハッチバックの R50 や R53 のブースターは簡単に見つかるようです.
2ufxuhg4.blog2.fc2.com
この方は右リアスピーカー付近で発見しています.ブースターと分配器が一体になったやつですね.
パーツリストでは(おそらく左ハンドルなので)左右が逆であるものの同様に一体型のやつがありますね.

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Antenna amplifier Diversity 65206918372
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Antenna amplifier Diversity リスト

コンバーチブル のブースターどこよ

R52 のブースターがどこにあるのか,明確に見つけた人はいないようです(オンラインでは).
www.mini2.com
引用: ブースターどこにあるの?(;_;)

このフォーラム内では,トランクの脇にあるだの足下のパネル内にあるんじゃないかとか色々言っているのですが,具体的に発見したという情報は出てきません.一方で,オンラインのワークショップマニュアルが提示されていて,これによると,分配器とブースターが個別にあると書かれています.
Mini Workshop Manuals > Cooper Convertible (R52) L4-1.6L (W10) (2005) > Accessories and Optional Equipment > Antenna > Antenna Amplifier > Component Information > Locations > N8 Antenna Amplifier AM/FM > Page 11179

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ワークショップマニュアル(コンバーチブル ラジオブースター)

なんだかよくわからんのですが,コンバーチブルの分配器とブースターは別々?そもそも,このN8アンテナがなんなのかもわからないし,そもそも accessories and optional equipment みたいな書き方です.
分配器がリアスピーカー付近にあるというのはともかく,ブースターはトランク左トリム内とか,配線方向に「リアウィンドウの(フィルム)アンテナへ」,とか書かれているあたりも謎.コンバーチブルはアンテナもデッキも全部フロントにあるのに,わざわざリアに回す理由がわからん.本当にオプションアンテナとそのブースターな気もする.
ちなみに念のため,トランクの左トリムバラしてみたんですよね.まあ案の定というか,幌開閉用のポンプが出てきただけでした.

ワークショップマニュアルを少しさかのぼるとN8アンテナとやらの場所も出てきました.どう見てもテールゲートです.コンバーチブルのテールゲートにこんなのないし,わざわざここまで配線を遠回りさせる必要もないでしょう.あとちょっと笑えるのは,上の図だと左側テールゲートの中と書かれているのに,この図ではテールゲートのど真ん中にあるってところ.

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N8アンテナの位置

あと,この写真にきわめてよく似たデバイスがあります.

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Roof antenna base 65206920279
ハッチバック用のアンテナベース(笑) 品番で検索するとこちらもブースターとして販売されているケースが多いようです.なので,ひょっとすると,リアスピーカーのものと棲み分けているのか,あるいはどちらか一方だけが設置されているのかもしれませんね.
いずれにせよ,これも,コンバーチブルのアンテナベースにはありません.

というわけで,ブースターがあるとしてもフロントのどこか(あり得るのはアンテナベースのそば?)だろうし,そもそもどちらにしろ感度悪いのでブースターを入れてみましょうというわけなのです.先のハッチバックダブルブースターにしても大丈夫だった人もいるし.

接続プラン

実は今回は FM-VICS もとれるようにしたいのです.
ポータブルナビ パイオニア AVIC-MRP770 を使っていて,3G 回線で渋滞情報とれているのもあって必須ではないのですが,せっかくFM-VICSにも対応しているし,入れておこうという感じですね.

で,色々考えた結果次のようにしました.左が元々の構成,右側がブースター&分岐構成.

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ぼくの考えた最強のラジオブースター構成

ブースター:アークヒル VA-100

ブースターとしては,アークヒルの VA-100 を使います.結構うんこたれな評判もありますが,ちゃんと結果が出ている人もいるのでまあ大丈夫かなと.
たぶん,(初期不良だった人はともかく)うんこな結果になった人は,原因がブースターのせいでなく無意味にダブルブースターにしてしまったとかそういうのじゃないかと.
ただ,弊社の無線のプロ((一陸技持ってるような変態.トラ技(トランジスタ技術という無線雑誌)でタワーを作っていたら,結婚を機にすべて嫁さんに捨てられて泣いたというかわいそうな人.))に聞いたところ「利得ショボいから大して効果ないのでは」という不吉なコメントももらっていました.

JASOにいったん変換するココロ

FAKRAなんだから,ebay とか Aliexpress とかで売られているFAKRAでブーストする装置を買えば一番よいのですが,

  1. FAKRAコネクタを持っている洋物のFMブースターは周波数が日本とずれている,
  2. 二股に分岐するケーブルが見つからない

という理由で,JASOにいったん戻すことにしました.特に1.はめちゃくちゃ重要.必ず 76~90MHzをカバーするものを買いましょう.
ちなみに,アークヒルの VA-102 を使えば,JASOと最終的に AVIC-MRP770 に挿すミニプラグの両出力ができますので,それを使ってもよかったのですが,ミニプラグケーブルやJASO分岐ケーブルを最初から持っていたため,シングル出力の VA-100 にしました.いずれシングル構成にするかもしれないし.

電源の OR 回路化

MINI R50 シリーズが採用する Alpine CD53 デッキは,エンジンがかかっていないどころかキーを抜いている状態でも,ボタンを押せばラジオが入ります.つまり,デッキがONになったら,アクセサリ電源がなかろうとブースターもONになってほしいのです.
一方,今回は FM-VICS とカーナビでもラジオを使いたい.デッキがOFFだろうと,エンジンが始動しているときにもブースターがONになっていてほしいのです.
というわけで,パワーアンテナ電源(国産車ではラジオコントロール線と呼ばれているやつですね)とアクセサリ電源のどちらかがONであれば,ブースターに電源が入るOR回路をダイオードで作ります.
使ったダイオード

作業をしていきましょう

OR回路を作ります


あとはショートしないように絶縁していきます.

デッキをバラしていきます

スタート


邪魔になっているナビを取り外す


運転席側のアンダーカバー取り外し


力尽くで下に押し下げてピンを抜きます.左右一箇所ずつ.上側がガパっと開けばOK.
ここを開けておかないとデッキ横の柱を取り外せません.

デッキピラーのビスを取り外し


T40

運転席側上のビスはドライバー形状ではステアリングが邪魔で取り外せません.
ショートドライバを使うか,レンチ状のT40で取り除きます.

サイドミラーコントローラ部取り外し&ビス抜き


薄めのドライバなどを引っかけて上に引き上げます.
がしがしやるとパネルが傷むので,目立たない位置に薄刃を引っかけて上方に引き上げ,できたスキマに別のドライバなどを差し込んで全体を引き上げます.一箇所のキズは我慢して一回でやったほうがよさげです.

コネクタを引き抜き.2つあります.

また,個々に見えているプラスねじも抜いておきます.

ドリンクホルダのビス抜き

ここまでくると,ドリンクホルダーごとピラーの足部を後方に引っ張り出せて,ピラーがはずれます.

デッキ四隅のビス取り外し


T20 です.

デッキ引き抜き


デッキワイヤ切り離し


デッキ左奥に各種ケーブルが塊のコネクタとしてくっついています.また右奥がラジオアンテナ線です.
左奥の塊は,下部にあるロックバーを引き上げるとコネクタがごそっと外れます.ちょっと固いけれど頑張ってロックを解除方向に跳ね上げます.


取り外したコネクタはこんな感じ.

デッキ裏面


まあ参考までに.

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ALPINE CD35(笑)のピンアサイ
あと,ネットでよく転がっているピンアサイン.CD53のピンアサインですね.
デッキの設定はいくつかあるらしいのですが,おそらく日本に輸入されたものの大半はこれだと思います.たぶん,Base Radio with Telephone Provisions ってやつ.電話機能なんてついてないんですが,コネクタはなんかついてます.(ぼくはAUX増設したため,そのコネクタを取り外していますが.) without Telephone Provisions というのもあって,これは全く配線が異なります.参考までに,without Telephone 版では,パワーアンテナ=pin13(white),ACC=pin5(purple/blue),GND=pin15(brown)です.
高級モデルのハーマンカードンモデルは前者と基本的に同じです.

VA-100


FAKRA コネクタ形状


こんな形状です.右側がデッキに差し込む側のコネクタです.

結線&整理


結線して,整理していきます.
ブースター類はエアコンコントローラ裏あたりがスキマなので,いったん運転席側に逃がして,デッキを組み付けてから,脇からエアコンコントローラ裏に落としていきます.

完成!


いやー,よく入るようになりました.

MINI R52 コンバーチブルにAM/FMブースターを挟んでみる

その一方でですね,アクセサリに電源が入ると,どうもどっかの機器から電源ノイズが出ているらしく,ノイズ入り電源でブースターを動かしているせいでノイズまみれに….
ダイオードの先に整流回路が必要っぽいです….しょんぼり.

追記(本日の晩)

なんと,整流回路用に発注したノイズサプレッサーが当日中に届きました.
早速取り付けましょう,

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ぼくの考えた最強のラジオブースター構成(改)
図面はこんな感じ.
らっきーなことに,ブースターを納めた場所はエアコンコントロールの裏なので,ステアリングカバーだけ取り外せればアクセスできるのでした.早速開けてみます.

ノイズサプレッサー BOSS B15N です.
裏面.なんだか,ヘッドユニット全体を独立させろ的な絵ですが,めんどいのでそれはやらず,あくまでブースターのみ電源改善します.

運転席のステアリング下のカバーを取り外せば,ラジオ裏というかエアコンコントロールの裏に積んだブースターを引っ張り出せます.

引っ張り出して仮接続.うん,アクセサリ電源の影響を受けないようです.

というわけで,このままこいつらを押し込んで何も見なかったということで完了!
ラジオの聴ける範囲が広がりました.,埼玉川越付近で少なくともFMヨコハマやbay FM が入るようになりました.
一方で,NACK5はノイズまみれ.近所なのになぁ….
こいつはなんか干渉を受けてる感じがします.アクセサリではなく,エンジンONや対向車の影響とかそのあたりの影響が大きいです.なかなか難しいもんですね.
それ以外は問題なし.

追記:いままで一切入らなかった AM 1620kHz の交通情報が入るようになりました!!!(いままで入んなかったのよ…

加減速時の異音

いやはや,輸入車の洗礼を受け続けております.

ここ一週間ほど,加減速時に「ピッ」という異音が左フロントから聞こえるようになりました.
ギシギシとかゴトゴトとかそういうんじゃなく,「ピッ」.笛(ホイッスル)を吹いたような音です.発生条件は次の通りで,鳴った後一瞬で消えます.

  • 1速またはリバースで急発進
  • 1速で40km/hくらいまで加速してアクセルオフ
  • 3速で40km/h以上に加速して,2速にシフトダウン.ただしクラッチを乱暴につなぐとき
  • ブレーキを踏んだ状態で,ヒール&トゥの要領で1速またはリバースに乱暴にいれてアクセルをあおってみる
  • 音が鳴るときは,ハンドルを切っていても切っていなくてもなる
  • とにかくドライブシャフトに加減速どちらでもいいから強いトルクをかけると鳴る
  • 等速では鳴らない.優しくシフト&加減速すれば鳴らない.

いやー,ともかく聞いたことがない音なんですよ.最初は,DSCが働いた音か,あるいはブレーキパッドがずれたときの音かと思いました.しかし,ブレーキを踏んでいても,停車していてもシャフトにトルクがかかると鳴るわけで,どうみてもマニュアルトランスミッションかドライブシャフトです.
ちなみに,タイヤハウスをのぞき込んで,手当たり次第に増し締めしたり,ゆすってみたりしたけれど,これといった遊びは見つからず.

悶々としていたのですが,なかなか良い情報を発見.

www.northamericanmotoring.com

この人の主張をピックアップしてみましょう.

I have an 06 Cooper S with 72 on it. When I speed up or slow down I hear a clicking noise from my driver side tire. It sounds like metal pieces breaking almost crunching a little. It is just a quick noise then goes away. I give it gas, makes this noise then is fine. I let off to decel, makes this noise then is fine. I have heard a CV joint go before and it is that similar sound but it isnt doing this when turning. Just when I get on it speeding up and slowing.

要約すると,

  • 加減速時に運転席側(外国なので左でしょう)から金属片が割れるような「カチ」という音が聞こえる
  • 音はすぐに消える
  • カーブで音が出るとかではなく,加減速で音が出る

らしい.
よく似ている.
このスレッドで結論はでていませんが,ドライブシャフトインナー側の等速ジョイントに問題があるのではないか,という話になっています.

もう一つ.
www.northamericanmotoring.com

I'm having a weird noise in the front left corner of my '04 R53 that is a couple of weeks old. When the engine makes the transition from accelerating the car to engine braking and vice versa, I get a clunking sound that is a little lower in pitch than two billiard ***** hitting.

A few notes:
The car has about 107k miles on it.
I just had a clutch done, along with lower A-arm bushings.
The upper engine vibration damper was replaced at the same time
The lower and transmission engine mounts were upgraded to urethane after the noise started as I hoped it was the mounts that were loose after 100,000 miles.
The noise does not occur under braking
The noise seems a little louder during transition to acceleration than during engine braking
The same noise can be produced if you rock the car forward and backward shifting from 1st to reverse.

I'm concerned it could be a few things:
1) bad dual mass flywheel (clanking back and forth)
2) broken spring in the clutch disk
3) bad inner CV joint on the driver's side (no noise from outer joint in tight turns)
4) something going wonky in the differential

If I jack up one side of the car and move the front left wheel back and forth gently, there is some free play and I can hear the geartrain play. If I really crank on the tire back and forth, I can hear the noise which sounds like a short ringing sound. I can't tell if it's in the gearbox or the drive axle.

こちらも,

  • 加速とエンジンブレーキの際にビリヤードの玉が当たるような音が出る,
  • 前進・後退どちらでも異音が出る,
  • 遊びがないかを見たが,これといった遊びは見つからなかった

といっています.
もう少し読み進めてみると,この人は解決したそうです.

I just finished with this repair. Got a decent deal from the Mini dealer in San Jose on the left driveshaft assembly and put it in this morning.

No more noise.

So the problem was the outer CV joint on that side. Glad that was it since the part was $500.

ドライブシャフトを交換して治ったそうです.

…うーん,ダメ元でドラシャ交換してみますかね.とりあえず,amazon.com で怪しげな安いやつを発注してみました.どきどき.

写真を少々

じつは,GW中,ポンコツ MINI コンバーチブルで旅行してました.奇跡的に 2400km 走行したにもかかわらず故障しませんでした.よかったよかった.
しかし,これに家族4人で4泊は結構つらいですな.







ボンネット開けてるのは,青森,津軽半島龍飛崎付近にある「眺瞰台」という峠の休憩所のもので,まあなんというか,オーバーヒート手前です.初代MINI的にいうと, stage 2 ファン全開ってやつ.

フロントブッシュ類交換の勉強

はじめに

MINI R52 クーパーS コンバーチブル (2014/12)のゴム類が全体的にヤバそうな感じで,すくなくとも来年2月の車検に通らなそうです….
実はすでに,インナーボールジョイントブーツに大穴が,スタビリンクブーツにも亀裂が入っていて,ホルツのブラックシーラーで塞いでいる状況です.これでも当分は持つし,上手に成型すればユーザ車検なら通るんでしょうが,加速時にハンドルを取られることが多いので,ロアアームコントロールブッシュもヘタれてきている予感.良い機会なので,次の車検までに修理することを検討したい.

交換する部品はこれだ

価格は,記載の数字の1.3~1.5掛けくらいかと.

フロントアクスル

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MINI Cabrio R52 Cooper S Front axle support/wishbone
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MINI Cabrio R52 Cooper S Front axle support/wishbone Parts

No 部品名 通称 パーツNo 数量 価格
8 Hydrobearing コントロールアームブッシュ 31126757551 2 $49.55
12 Ball joint, left インナーボールジョイント(L) 31106779437 1 $93.53
Ball joint, right インナーボールジョイント(R) 31106779438 1 $93.53

スタビライザ

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MINI Cabrio R52 Cooper S Stabilizer, front
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MINI Cabrio R52 Cooper S Stabilizer, front Parts

No 部品名 通称 パーツNo 数量 価格
02 Stabilizer rubber mounting スタビブッシュ 31356758302 2 $8.93
06 Stabilizer link スタビリンク 31356778831 2 $35.02

ストラット周り

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MINI Cabrio R52 Cooper S Front Spring strut/Carrier/Wheel bearing
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MINI Cabrio R52 Cooper S Front Spring strut/Carrier/Wheel bearing Parts

No 部品名 通称 パーツNo 数量 価格
10 Ball joint アウターボールジョイント 31126783443 2 $76.56

タイロッドエンド

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MINI Cabrio R52 Cooper S Steering linkage/tie rods
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MINI Cabrio R52 Cooper S Steering linkage/tie rods, Parts

No 部品名 通称 パーツNo 数量 価格
06 Ball joint, left タイロッドエンド(左) 32136761559 1 $60.36
07 Ball joint, right タイロッドエンド(右) 32116761560 1 $60.36

作業方針

作業方針はサブフレームを降ろすか降ろさないかで大きく変わります.

サブフレームを降ろす

サブフレームは,ステアリングラック・パワステ・路和アームなど操舵系統の要がまとまったフレームで,ステアリングを切り離してメインフレームから切り離すだけで,これらをゴッソリとりはずしてメンテできるというもの.最大のメリットは,今回最大の課題であるであろうロアアームコントロールブッシュを含むロアアームまでまとめて車体から取り外せるため,作業が容易になるというもの.他にも,

  • エンジンのオイルフィルターハウジングやオイルクーラー(MTの場合)が丸見えになるため,ここのシールを簡単に交換できるようになる,
  • カムシャフトポジションセンサも丸見えになるため,こちらのシールも交換できるようになる

といったメリットもあります.
一方で,サブフレームを降ろすのは重整備.ミッションジャッキを使って慎重に降ろさないと,思わぬ車両破損に繋がりかねません.たとえば,パワステポンプについている配線を切り離し忘れていたりすると,ぶちっときれて入院確定です.

サブフレームを降ろさない

サブフレームを降ろさないということは,ロアアームも車両についたままということなので,この状態でロアアームコントロールブッシュ交換していくことになります.
この場合は,サブフレームを降ろすのに比べ,次の懸念が生じます.

  • ロアアームコントロールブッシュを車体着座状態で交換しなくてはいけない,
  • ロアアームをつけたままなので,ロアアームについているインナーボールジョイントもそのまま取り外しが必要だが,ドライブシャフトに干渉するため,ドライブシャフトを外さないといけない

なんとも微妙なトレードオフであります.

作業方針をどうするか考えないといけない

個人的にはエンジンのシール類も変えたいので,サブフレームを降ろしたいなあ…と.
しかしそのためには,ミッションジャッキ相当のものをそろえないといけないし,サブフレームを降ろすことによる車両破損もありうる.もっというと,仮にサブフレームを降ろせたとしても,ロアアームからブッシュを抜き取れるかはまったく別問題.うーむ(笑)

ともあれ,秋になって涼しくなったら作業しようかと.それまでいろいろと悩んでみるつもり.

ドライブシャフトも

【追記:2019年5月26日】
なんかドライブシャフトあたりから異音が….今のところ左からだけだけど,この際全部交換する前提でこっちもメモ.

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MINI Cabrio R52 Cooper S Output shaft front left
f:id:Hie:20190526234438p:plain
MINI Cabrio R52 Cooper S Output shaft front left, Parts

No 部品名 通称 パーツNo 数量 価格
1 Exch. output shaft, left ドライブシャフト左(MT) 31607574852 1 $506.29
2 Hex nut wiht flange ドライブシャフトハブナット 31106773005 1 $4.12

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MINI Cabrio R52 Cooper S Output shaft front right
f:id:Hie:20190526234516p:plain
MINI Cabrio R52 Cooper S Output shaft front right, Parts

No 部品名 通称 パーツNo 数量 価格
1 Exch. output shaft, right ドライブシャフト右(MT) 31607574850 1 $580.48
2 Hex nut wiht flange ドライブシャフトハブナット 31106773005 1 $4.12

あと,ギアボックスのシールも交換するなら,左: 23117550058,右: 23117518638.

O2センサ交換

がいよう

MINI R52 クーパーS コンバーチブル (2014/12)のO2センサ交換です.
燃費よくしよー計画の一環なのです.

→ 半年,5000km で燃えました….

用意したもの

MINI R50/R52/R53のO2センサ,高いんですよねぇ…(遠い目
O2センサって触媒前(上流側)と触媒後ろ(下流側)二つあるんですが,ディーラで純正交換した日には,トータルで8万円コースです.何が高いかというと,O2センサです.

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Oxygen Sensor 11780872674
これな.元売りで,$215とかあるので,国内では3万円を超えます.これ二つ?ムリムリ.

もう少しプロレタリアートな感じの代替品は,NTK 25648 です.これね,ぶっちゃけOEMで,純正同等品.

輸入だと,もう少しやすく,2つで3万円切るくらいで購入できます.
…高杉むりっす.あきらめ….

そんなところで,神のお告げが….

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神は言っている、純正を買う定めではないと…


これです.一個2000円.送料も1000円くらいなので,2つ買って5000円くらい.
https://www.amazon.com/gp/product/B06XFVM683/


あとは,工具ね.

(STRAIGHT/ストレート) 3/8

(STRAIGHT/ストレート) 3/8"(9.5mm) O2センサーレンチ 22mm 19-872

これとショートなかんじの 3/8なラチェットレンチがあればOK.必要に応じてパイプやメガネで延長します.
あと,スレッドコンパウンド.まあ,これは焼き付き防止なので必須ではなし.

さあ作業しよう

交換するのは上流と下流のO2センサです.
どちらも 22mm のO2センサレンチがあればOK.ディープソケットタイプではなく,上にあるショートタイプじゃないとむりです.
下流は楽勝.上流は根気です.


まずは上流から見ていきましょう.
上流側のコネクタはボンネットにあります.エンジンと向き合って右側.
なんか,タイラップで留められちゃってますが,これです.うちは,どうやら過去に一度このコネクタがいじられていますね(割れてるのはそのときでしょう).
ひょっとすると交換済みかも.
O2センサのコネクタは,上流・下流とも,台座にとめられていて,台座から外してからコネクタを切り離します.


ぼくはタイラップを切り離しただけですが,正しくは,コネクタをスライドさせて台座から切り離します.たぶん手前側にスライド,だと思います.
台座から外したらラッチを押してコネクタを切り離し.


上流側のセンサ本体はここ.遮熱板を捲ればボンネット側からも見えます.
手が細い人はここから交換するのもできるはずです.


車体下側からのぞき込むとこんな感じ.
特に下側は何も分解しなくてもOK.(下流側は遮熱板留め具を一箇所外す必要がありますが)


頑張ってO2センサレンチをかけます.
下からはうまく手が入らず,ボンネット側からソケットを入れ,レンチハンドルを下から差し込み,メガネレンチを使っててこの原理で回しました.それくらい狭いです.


新旧.こんがりやけてますね.


交換完了.


下流は楽勝っすね!


コネクタも下からアクセスできます.
やはり台座からコネクタを外して切り離しです.車体前方側にコネクタを押すと台座から外れます.まあ,経年劣化でプラスチック割れちゃうかもですが….念のため大きめのタイラップを用意しておいたほうがいいですね.
コネクタを外したら,ブレーキパイプを頑張ってよけてケーブルを剥がしていきます.道中,遮熱板を一箇所だけボルト取り外しする必要があります.10mm HEX です.一箇所外したら,遮熱板を曲げて,クリップからケーブルを外しつつフリーにしていきます.


レンチかけるのも楽勝.


新旧比較.
こちらは生やけなかんじ.


新品のセンサを組み付けます.

センサ交換して,エンジンをかけてみて,メータにエンジンチェックランプがつかなければとりあえずはOK!
今回は,ECUリセットします.バッテリーを外してしばらくほっといてもいいですが,INPA という PC と専用ケーブル&アプリでリセットする装置を準備しておいたので,こちらでリセット.ちなみに,リセットはエンジンOFFじゃないとできないですよ!安価なOBD2リーダーのC110+でもリセットできます.


OBD2の専用診断機C110+をかけてみたところ, 0130 Oxygen Sensor (bank 1, before cat.)-malfunction (エラーコード 0130 触媒前O2センサ バンク1の機能不全)と出てきます.


INPA でみるとこういうエラー.

が,これは触媒&O2センサが暖まっていない,Long Term Fuel Trim 計算できるほどの学習が進んでいないことによるものです.暖機して数十キロ走ることにします.


安物センサ故一抹の不安はありますが,上流側も一応なにかしら電圧がでていて&アクティブとなっていれば,まあたぶん大丈夫.
気にせず走りまくります.


エラーコードが消えました.

変化はあったか

いやー,本当にO2センサ交換済みやったかもしれんですね.全く変化ありません.

追記(2019年5月3日)

燃料フィルタ交換とあいまって,むちゃくちゃ燃費よくなりましたね.
O2センサと燃料フィルタどっちが効いてるのかはわかりません.(根拠レスですが燃料フィルタな気はします.)
11~13km/L前後,ピークで14km/L を経験しております(満タン法です).
このGW中に,ハイオク200Lくらい使ったんですが,2,3割燃費がよくなっている感じなので,50L近くお得になっているかもしれません.

追記(2019年10月21日)

頭にも書きましたが,O2センサーが燃えました….かなC.

燃料フィルタ交換

燃費悪すぎだろ

MINI R52 クーパーS コンバーチブルに乗っていますが,街乗りで 6~8km/L,高速でもいいところ10km/L で, 5ch とかで10~15km/L とかバンバン出てるのが「マジかよ」状態の Hie です.おはこんばんちは.
いや,燃費悪すぎですよね.MINI R50シリーズで燃費が悪いときは,燃料フィルタとO2センサを疑えというのがセオリーのようです.うちはどちらも交換されていないと思われます.
で,ですね,まずは燃料フィルタから交換してみようと思います.

燃料フィルタ交換に必要なもの

実は工具はあまり必要なかったりします.
ぼくが使った工具は次:

  • T30 トルクスレンチ
  • 小っちゃいドライバー(何でもいい)
  • 10mm のレンチ
  • 大きめのマイナスドライバー2本(できれば貫通,1本はプラスドライバーでもいいです)
  • エアダスター
  • ハンマー
  • ラジオペンチ
  • 何か容器
  • いらないぼろ布いっぱい

あると良いのは:

  • スポイト
  • シールピッカー(フック状になっている針みたいなやつ)

方針

MINI R50シリーズの燃料フィルタは燃料ポンプ(燃料をエンジンに送っているポンプ)と分離していまして,燃料フィルタだけを交換することができます.
燃料フィルタは,運転席側の後部座席下にあります.ですから,座席を外して,交換していくことになります.
まあ,作業スペースは狭いです.でも,幸いR52は幌車なんで,幌全開にすれば大して困らないレベルなんですね.換気もできるし!
で,方針は次のようになります:

  1. 燃料フィルタのパイプを外した瞬間にガソリンが吹き出さないように燃圧を下げる,
  2. 後部座席をバラす,
  3. 燃料フィルタを交換する

作業自体は超簡単なんですよ.問題はそれなりにガソリンがこぼれるので,ヘタすると車両火災になるってことだけ.
真冬の静電気とか真夏の熱による揮発は怖いっす!

やってみよう


まずは,燃圧を下げるために,燃料ラインからガソリンを抜きます.
燃圧を下げる方法は二つあって,

  1. エンジンに燃料を送るデリバリーパイプの燃料吐き出し口から燃料を抜く方法(←ぼくはこっちを選択)
  2. 燃料ポンプの電源を落とした状態でエンジンを回し,燃料を枯渇させる方法

があります.
後者は,エンジンを動かしてしまうためコンピュータに異常が記録されますんで,なんかめんどくさそう…なので,前者を選択.
デリバリーパイプはインタークーラー(エンジンの上…というか正確にはスーパーチャージャーの上に鎮座する冷却フィン)の下にあるので,インタークーラーを取り外す必要があります.でも,すごく簡単です….


とりあえず,インタークーラーを外して起きましょう.
まず,黒の樹脂カバーを外します.
T30 のトルクスねじでとまっています.奥側2本は手前側2本より長めのねじです.


樹脂カバーを外すとこんなかんじ.
ちなみに,インタークーラーの手前のステーを外すと,さらに脱着しやすくなります.(とくに取付が楽になる.)
ステーをバラすときは,8mm の六角レンチを使います.


インタークーラー左側を留めているステーを外します.こちらもT30.
このステーは上下さえあっていれば,たぶんどういう向きにでもつけられると思いますが,精神衛生上場所と向きは覚えておいた方がよさげ?


右側も同様.


インタークーラーを取り外しました.


取り外したインタークーラーです.フィンをつぶさないように避けておきましょう.
ここで,ブレーキクリーナーを鬼吹きして掃除しておくのもよいですね.ぼくは一缶使って掃除しました.…中を,ですよ?


後部座席をバラしておきます.
もうバラしてますが,チャイルドシートISOFIXの差し込みコネクタのガイドを引っ張って取り除き,座面を手前から下から上に引き上げれば外れます.
後部座席の座面分解って,たぶん30秒かからないです.
写真左側,運転席後ろが燃料フィルタです.ちなみに,助手席後ろは燃料ポンプです.エンジンがかかりにくくなったら,ここを殴りましょう(笑)


カバーを外します.
10mm の六角ナットでとまっています.


マイナスドライバーでこじ開けます.


燃料フィルタのハウジングが登場.死ぬほど汚いですね.


汚れはエアダスターで飛ばします.
ここで掃除しておかないと,燃料タンクにゴミが落ちてしまいます.


燃料フィルタのハウジングは,大きなリングで上から押さえつけられて,燃料が漏れないように密閉しています.
このリングを取り外せば燃料フィルタが取り出せるのですが,実は,このリングは締めすぎても緩すぎてもいけないのです.
というわけで,もともとどこまで締め付けられていたのか,マーキングします.リングと車体側に刻印します.
燃料フィルタは取り付け向きが決まっているので,マークしなくてOK.


さて,準備は整ったので,燃圧を下げて燃料フィルタ交換と参りましょう.
燃圧を下げるために,インタークーラー下にあったデリバリパイプをいじります.
この黒いキャップがついているのが,デリバリパイプの燃料リリースバルブです.


キャップを取り外し,ウエスで燃料飛散を受ける体勢を作ってから,小さめのドライバなどで先っちょをつきます.
燃圧がかかっていると,ここでガソリンが飛散しますので,顔などを近づけないように.
ちなみに,ぼくは,丸一日乗っていなかったからか,全くガソリンが出てきませんでしたw


交換するフィルタは純正相当品の VAICO の燃料フィルタ.純正品番は 16 14 6 757 196 です.4000円前後くらいかなー.
中身は,フィルタとガスケット一式です.
燃料フィルタを開けてからは(いつ引火してもおかしくないので)スピード勝負です.ここらで使う道具は後部座席付近に集めておきましょう.


燃料ラインを切り離します.ラジオペンチで緑色の留め具を挟み,ラインを引っ張れば外れます.
燃圧が下がっていればほとんど飛散しないはずです.


取り外しました.


ごめん,写真撮り忘れ.
マイナスドライバーを介してハンマーでフィルタを押さえているリングを叩き,反時計回りに回していきます.
リングが外れたら,座席に飛散したガソリンを拭き取るためのウエスを大量配置して,マイナスドライバをつかって燃料フィルタ(ハウジング)をこじって取り外します.

このハウジングは,上下に分離することができ,その中にフィルタ(とガスケット)が入っています.
分離の仕方ですが,有名な動画があるので参考にしてください.

Replace Fuel Filter - Gen 1 MINI Cooper R50 R52 R53
この方は,本体(下部分)を手で押さえて,ドライバで上部を回してからこじって外しています.が,ぶっちゃけ,下部分を手で押さえるのは難しいです.だって,ガソリンでびちょびちょで滑るんですもの.
なので,網1本の大きなドライバで本体の凸凹を捉えて,上のキャップ部分を回す戦略がおすすめです.


とれましたー.
うわ…真っ黒….


ここから写真はナシw
フィルタは引っ張れば抜けます.抜けたところ,真っ黒なガソリンが入っているので,スポイトで吸い取って別容器に逃がします.スポイトがない人は頑張ってウエスを突っ込んで吸い取ります.
購入したフィルタキットには,大きいガスケット2枚,細い大きめのガスケット1個,小さいガスケット2個です.大きいガスケットは2枚入ってますが,たぶん1枚しか使わないで正解です.なんで2枚入ってるんだろう?
小さいガスケットは,シールピッカーがあれば簡単に取り除けます.時短になって危険性が減るので,準備しておくのがおすすめ.
不要だと思いますが,ガスケットにはワセリン(奥さんの化粧道具からパクったプロペト)を薄く塗布しました.ゴムを痛めず密着性を上げるものならなんでもいいので,シリコングリスとかでも良いと思います.

動画を見るとわかりますが,大きなガスケットは,燃料フィルタを取り付ける前に,車体側に押し込む必要があります.燃料フィルタに先に取り付けてから押し込んでも入らないので注意しましょう.

あとは逆手順で閉じていくだけ.

インタークーラーも元に戻し,エンジンをかける前に,キーOFF/ON(エンジンはかけない)を数回繰り返し,ガソリンが噴き出していないかを確認,問題なければエンジンをかけます.

効果はあったか?

まだ検証中なんですが,初っぱなから街乗りで10km/Lを叩き出しています.
また,巡航中にも30km/L超えとかでてきて,今まで見たことがない数値が出てきています.

燃料フィルタを変えるとパワーが上がるみたいな話も聞きますが,うちではそこまでは変わらず.しいて言えば,エンストする瞬間のフィーリングが変わったくらい.なんというか,「おっとエンストしかけたから,クラッチ切ろう」みたいなことってあると思うんですが,以前はここで,エンジンの息継ぎが結構長く続いたんですよね.それが一瞬になりました.

とりあえず,この土日に遠出してみようと思います.
【追記】
街乗りを20kmくらいやった結果.
比較的巡航できたので,実際の街乗りは10km/L程度かなー.

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20km程度走った結果(走行直前に平均燃費リセット済み)


その他

あ,あと,燃料に引火したときを考えて消火器はあるといいかも.うちは購入しました.…が,西濃○輸が遅配しやがるので,作業中に届きましたw
また,吹き出たガソリンはガソスタに返すのが一番スマートです.今回はあんまりこぼれなかったし,うちは,洗剤で中和して,いったん保存.次の燃えるゴミで布にしみこませて捨てようと思ってます.

BMW MINI R52 コーディングのメモ

はじめに

今日は備忘録がてら MINI R52 クーパーS コンバーチブルのコーディングについて書いてみようと思います.
コーディングというのは,簡単に言えば,車両ECU(つまり,コンピュータです)の設定を書き換えて,封印された機能を使えるようにしたりする作業のことです.R52 はご存じ幌車なのですが,海外や輸入車でも最初期のものはキーレスでリモートで幌オープンやクローズができたりしているんですが,ぼくが持っている車両はその機能が封印されているんですね.この機能を解放したくて,コーディングとやらに挑戦してみたわけです.
ところがですね,思いの外,国内外を含めてR50シリーズの情報が少ない!ぼくも調べていてすごく困ったので,メモがてら記事にしようと思った次第.
おちゃらけはともかく)必要最小限の情報で直感的に説明できるようにしたいと思います.詳細や出典はリンク先に任せるスタイル.いや,自分でスクショとるのが面倒とかそういうことじゃないですよ?
備忘録的な記事ですが,強いて言えば,読者は,BMW MINI R50シリーズ乗りで,PCや通信にそこそこ強い人を想定しています.もっというと組込系を扱ってる人には簡単な部類.詳細手順は記載しませんがぼくがハマりかけたところを中心に概要を説明していくというスタンスです.

あと,巨大な文鎮をつくってもぼくに文句言わないでね.

必要な機材とかソフトとか

BMW 車のコーディングは,OBD2コネクタ経由で専用の変換ケーブルを介して車両ECUにアクセスし,PCから設定を呼び出したり書き換えたりします.ここで,「OBD2…?」とか「ぼくWindowsでデバイスマネージャが何かわかりません」みたいな方は,残念ながらお帰りください.この記事を参照しても,1.3tの文鎮を作ってしまうだけです.

必要なデバイス

OBD2コネクタとPC(USB)とを接続するデバイスが必要です.
結論から言えば,ぼくは,Amazon で次の商品を買いました.

「INPA K + CAN+switch push BMW用FT232RLチップ付きINPA K + CAN K + DCAN車診断ツールBMW R56 E87 E70 E70 E90 E92 E93用ケーブルOBD USBインターフェイス」です.

BMW 車両をコーディングするのに必要な変換ケーブルは,車両の時代に合わせて選ばなければいけません.なぜかというと,1998年~2007年ごろとそれ以降で車両との通信プロトコルが異なるからです.前者はK-CAN/D-CAN(K-BUS/D-BUS),後者は CAN です.
MINI R50シリーズは 2003年~2006年頃(R52は~2008)なので,K-CAN/D-CAN 対応のアダプタを買えばよいことになります.
上の商品はだいたいどれにでも対応する変換ケーブルです.

他にも,古い車両は,OBD2のpin7-8を短絡させないとうまく動かないとか,いろいろあるのですが,細かいことはさておき,R50シリーズは短絡が必要です.上の商品は短絡するかしないかをスイッチで選択できるものです.

これが上の商品.

スイッチのポジションも説明がないような雑商品なので,テスターを7-8番につないで,どのスイッチが短絡にあたるのかもチェックしなくてはいけません….
写真左上左右の2ピンが 7-8pinです.

ソフトとか

ソフトはもう本当にいろんな説明がありますね!ぼくは次の環境で実現しました.

  • OS: Windows XP Service pack 2 on VMware on Windows 10
  • 変換ケーブルドライバ → 変換ケーブル付属CDに入ってた
  • INPA 5.01 → 変換ケーブル付属CDに入ってた
  • EDIABAS 6.4.3 → 変換ケーブル付属CDに入ってた
  • NCS Expert → 変換ケーブル付属CDに入ってた
  • BMW standard tool
  • NCS dummy
  • SP-Daten (R50)
  • .NET Framework 4 (for Windows XP) ← NCS dummy とかで必要

※OS とかは色々説があるようですが,Windows XP が実績が多いということなので,昔のインストールCDを引っ張り出してきて,VMwareでインストールしました.VirtualBoxとかはうまく動かないそうなので,VMwareがよいでしょう.
で,このソフトがあると何なのよ?という直感的な説明がないことが,コーディングを難しくしていると思うので,絵を描いてみました.

各ソフトの直感的なイメージ

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INPA/EDIABAS は同時配布されていることが多いのですが,EDIABASは,車両と通信をするためのチャネルを作るためにあり,INPA はそのチャネルを使って車両ECUのステータスを読み取ってエラー表示をしたり,ECUに命令して故障診断プログラムを走らせたりする上位アプリケーションです.
ここでやりたいことは,車両ECUの設定を書き換えたいということなのですが,この場合はNCS Expert を使います.つまり,EDIABAS + NCS Expert という使い方ですね.
言い換えれば EDIABAS さえ起動していれば,INPA はいらなかったりするのですが,INPA を起動したタイミングで EDIABAS (厳密には EDIABAS Server)が起動するので,実際には INPA を起動して車両とお話できていることがわかったら,INPA だけ終了→NCS Expert を起動するという流れになります.

車両ECU設定の書き換えのイメージ

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EDIABAS + NCS Expert で設定を書き換えるといいましたが,それをイメージしてみました.

NCS Expert はECUと直接お話し,設定ファイルを読み込み(抽出),編集後の設定ファイルを再びECUに書き込む役割です.
BMWといっても色々あるので車両ごとにどうECUとお話(解釈)すべきかの config が必要で,それが SP-Daten とか Daten と呼ばれるファイル群です.
図中では NCS Expert にだけ線が引かれていますが,実際にはいろいろなソフトに SP-Daten を組み込んでいく必要がありまして,大変面倒です.そこらへんを一括管理してくれるのが,BMW standard tool です.
BMW standard tool はソフトのインストールやSP-Datenの各ソフトへの反映をやってくれるお助けツールなのです.
で,抽出した ECU の設定ファイルですが,ぶっちゃけワケワカメなデータなので,これの可読性を上げてくれるのが NCS dummy です.こいつは車両ECUと接続してなくても動作します.
つまり,INPA を起動(するとEDIABAS起動)→INPAを閉じる(EDIABASは残る)→NCS Expert を起動してECU 設定を抽出 → NCS dummy で設定を改変 → NCS Expert でECUに書き戻し ってかんじ.

ソフトのありかとかインストールとか

で,結論から言えば,ぼくは,

  1. INPA/EDIABAS・NCS Expert は変換ケーブル付属CDからインストールし,
  2. SP-Daten(R5o用)はここから,
  3. BMW standard tool はインストールはせず,実行ファイルだけ拾ってきて,SP-Datenインストール,
  4. NCS dummy もネットから拾ってきました.

1, 3 はたぶんこれと同じものだと思います.
4 はたぶんこれです.プロファイルは不要.

インストール手順ですが,1 は変換ケーブル付属CDのインストール手順通りです.ここのE_codingに含まれるインストールマニュアル(InpaCANinstall.pdf)とほぼ同じ内容です.このとおりでOK.
2 の SP-Daten(R50)は「E90 D.I.Y.コーディング その3 : ソフト(入手)篇」ズー太郎のブログ | 趣味の車弄りが家族の笑顔の中心にありますように - みんカラを参照に見つけました.3 の BMW standard tool による SP-Daten の組込もこのページのとおりでOKです.

どのECUを書き換える?

さて,やりたいことをおさらいすると,車両ECUの設定を読み出し封印されしオプションを呼び出すことです.
ぼくがやりたいことが何かというと:

  1. キーレスで幌のオープン・クローズをやりたい
  2. 運転席ドアに鍵を差し込んで幌のオープン・クローズをやりたい
  3. クロノパッケージだと手元ディスプレイに速度が出ないので速度を表示できるようにしたい

です.
参考までに,1, 2 の結果動画を.

MINI R52 キーレスで幌オープンとか

MINI R52 キーで幌クローズ

問題はですね,この,やりたいことが一体どのECUでカバーされているのか,です.

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MINI R50 シリーズの ECU
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MINI R50シリーズのECU群(2)
これは,MINI R50 シリーズの ECU 群を図示したものです.いろんなECUがありますね….(参考程度の情報なので読み流してOK)
結論からいえば,キーでの幌操作は BC1 (General Module)という ボディや一般電装系をカバーするECUが担当していて,スピード情報のメータ表示は,コンビネーションメータを担当する KMB(Kombi; ドイツ語)が担当します.
すなわち, 幌のキー操作をいじるなら,NCS Expert の BC1 を読み出して,その設定ファイルを書き換えて,書き戻せばよいことになります.

えっ,やりたいことがどのモジュールにあるかわからない??…そりゃあググれカスとしか言いようがありませんなぁ….
まあ,全ECUを舐め舐めして探すって手もありますが.

NCS Expert によるECU設定の抽出

NCS Expertの使い方 : bmwcodingのblog
ここを読めば,そのまんまでOK(笑)
強いて言えば,車両ECUデータの扱いは NETTODAT と FSW/PSW との2種類がありますが,R50 系は,FSW/PSW でOKです.少なくともNETTODATはエラーで書き込めませんでした.
「Choose ECU」で EWS と KMB しか出なかったりしますが,エンジン系統→EWS,その他→KMBって感じですね.BC1もKMBでOK.

NCS dummy によるECU設定の書き換え

NCS Dummyの使い方 : bmwcodingのblog
このとおり(笑) すばらしい(笑笑)
ざっとイメージを書いておくと,抽出した ECU 設定ファイルFSW/PSW(TRCファイル)を NCS dummy で編集してFSW/PSW(MANファイル)を生成し,これをNCS Expert で車両ECUに放り込むわけですね.
NCS dummy では取り込んだ設定ファイルがどのモジュールのものかを類推し,ON/OFF(ドイツ語なので aktiv とかですが)の選択式みたいに変換してくれます.

やってみよう

NCS Expert でECU設定ファイルを抽出して,編集,再書き込みの例を写真で示します.
題材は,コンビネーションメータの速度計表示です.
速度計への表示は,ここで調査済み.KOMBI モジュールの BC_GESCHW_ANZEIGE_DIGITAL を aktiv にすればよいことがわかっています.

少なくとも,INPA/EDIABAS でデータが読めたりするのは確認済みって前提で話を進めます.

以下,かなり適当な写真なので,ちゃんとした手順はこちらを参照してください.こちらはあくまで参考に.

NCS Expert 起動


エンジンをかけずに,キーをONまで回しておきます.

Expertmode を選択


車両を選択


VIN/ZCS/FA (F1)を選び,ZCS/FA f.ECU(F3)をクリック

ECUの大別を入力


先に述べたとおり,EWSとKMBしかない(笑) コンビネーションメータは KMB 側なので,KMB選択.

ECU = KMB を選択


ちなみに,幌のキーレス操作とかはBC1を選ぶんですよ.

ECU 設定が読めました


NCS Expert の WORK フォルダが更新されてることを確認


FSW_PSW.TRC とか NETTODAT.TRC が抽出されたECU設定ファイルです.

NCS Expert の WORK フォルダをバックアップ


万一 ECU に変な編集を加えた設定を放り込んでしまったときのリカバリ用に,オリジナルのFSW/PSW(TRC)をバックアップしておきます.めんどくさいのでフォルダごと….

NCS dummy を起動


シャシをR5oにしておきます.

抽出したFSW/PSW TRC ファイルを選択


NCS dummy にどのECUモジュールの設定ファイルっぽいか判定してもらう



NCS dummy は設定ファイルの可読性を上げてくれるツールですが,どのECUモジュールの設定ファイルなのかを一致度で判定してくれます.ようするに,抽出した設定ファイルと NCS dummy が知っている一般的な各モジュールの設定ファイルを比較し,「どのモジュールの編集をしようとしているんだな」というのを認識するための機能と言えます.一番一致度が高いものを選びます.一致度は89%なので,海外(NCS dummy が知っていた設定内容)とは結構乖離しているとわかりますね.

BC_GESCHW_ANZEIGE_DIGITAL を探す


Ctrl-FでOK

aktiv にする


FSW/PSW Expert でFSW/PSW MANファイルを出力


FSW/PSW MANファイルを出力 の確認


MANファイルが最新時刻で更新されているのがわかりますね.

NCS Expert に戻り書き込みモードに変更


NCS Expert は Expertmode であっても,デフォルトでは,ECUに設定ファイルを書き込むことはできません.ここ,しばらくはまりました.
Edit Profile でモード変更します.パスワードを聞かれますが,「repxet」です.

え,写真が急にクロップされている??そりゃ,車台番号が見えていたからだよ….

FSW/PSW の書き込み権限を設定する


書き込み設定をする


F2 の Change Job を選びます.

蛇足ですが,BMW車両はキーON状態でしばらく経過すると,スタンバイモードに切り替わりECUとの通信を切ってしまいます.書き込みの真っ最中にOFFされたら文鎮のできあがりです.
キーONにして時間がたっていたら(10分程度を目安にするとよいでしょう.20分でOFFみたいな情報が多いですね),いったんキーをOFFにして,NCS Expert の起動しなおし,ECU選択,書き込み権限ONまでやってから,F2を押します.

SG_CODIEREN ジョブを選ぶ

書き込む


どきどきの書き込み.F3 Execute job を選びます.
書き込む前に,画面に表示されている ECUが本当にあっているかとか,確認してね!!

書き込み中

coding active になってますね.これが end になれば完了です.
BC1 をコーディングしているときはだまって ended になるのですが,KMB は賑やかにコンビメータが騒ぎ始めます.

MINI R52 ECU:KMB コーディング直後の挙動

結果



その他

調査していくうちに目にした気になる情報など:

R53 NCS Expert Guide Additional Info

www.northamericanmotoring.com
BC1 を中心に設定項目がまとまっている情報源.
きになるのは,joylove 氏の

Note to r52 owners. Do not try to code your CVM. I did and have possibly damaged my central coding key. Currently attempting to get help and to remember if it's just my KMB that throws a fault at the ZCS/FA from ECU stage. It's been a while.

CVM (Convertible Top Module) のコーディングは危ないと書いています.後部座席左のスピーカ後ろあたりに収まっているモジュールで,文字通り幌を制御しているもの.幸い,キーレスでの幌制御はGeneral Module (BC1)側にあったので触らずにすみました.

幌のキーレス操作とか

http://bmwcoders.com/forum/bmw-coding-programming-29/mini-r52-comfort-opening-fob-8749/bmwcoders.com
ここに,キーレス(Key Fob)での幌オープン・クローズや,鍵穴操作でのオープン・クローズの情報があります.
コンフォートオープニングというらしいです.

Okay, have sorted it out now after a whole day of looking around. To save others time who are also looking for the same thing, the module to code is BC1 and the following options needs to be changed:

For opening and closing using the remote fob:

HALTEN_FB_OEFFNEN_TASTE = komfort_oeffnung (from ohne_funktion)
KOMFORTSCHLIESSUNG_FB = aktiv (from nicht_aktiv)

For opening and closing with the key in lock

KOMFORTOEFFNUNG_SCHLOSS = aktiv (from nicht_aktiv)
KOMFORTSCHLIESUNG_SCHLOSS = aktiv (from nicht_aktiv)

Hope this helps!

INPA でエラー出るんだけど大丈夫か??

バージョンミスマッチみたいなエラーは,INPA でしょっちゅうでてます.
Error Memory Read でIFH-0003 とかで転びまくるのは日常茶飯事.
でも,バージョンミスマッチくらいならガン無視でもなんとかなるし,大事なのは,コーディングしたい装置と少しでもお話できているか?ですね.
なんでかというと,この手のエラーの大半は,通信路(EDIABAS)の問題ではなく,INPA 側の問題だからです.