ショックアブソーバー交換

あらまし

MINI R52 クーパーS (2004/12製造,2005/2国内初度登録)のサスペンションダンパー(ショック)を交換します.そんなに問題が起きているわけでもないですが,もう17年たってますしね.

ショックを選ぶ

コンセプトは,純正並みにおとなしいやつ.スポーツショックみたいなゴツゴツなのはノーサンキューということです.そもそもMINIだし,コンバーチブルだし,17歳ですし,ガタピシうるさいのでナンセンスなのかもしれませんが….
それでいて,ゴーカートフィーリングは失いたくないのであまりボヨヨンとした感じもなんかイヤ.
みんカラレビューなどを参考にしつつ,それっぽいショックを探します.

純正品は馬鹿高なのでもちろん社外にいくわけですが,純正に近いのはSACHS製,評判がいいのはKONI FSDシリーズらしい.
うーん,KONI FSDからSACHSに行った人がSACHSは柔らかすぎてKONI FSDのほうが良かった風なことも書いていたし,KONI FSDはなめらかでよろしいと評判はよいので,KONIにしてみます.

参考:
KONI FSD 評価
minkara.carview.co.jp

KONI FSDはすでに絶版で,後継は KONI Special ACTIVEとやららしいです.
矢東タイヤさんで購入.

ところでこの矢東タイヤさんは発注後にお電話くださって,適合しているが念のため本当に間違っていないか現車チェックをしてほしいと連絡あり.
親切.

交換

ジャッキアップ

まずはともあれジャッキアップします.四輪とも交換するので全上げします.あとタイヤも全部外して起きます.
作業自体はノートラブルならめちゃくちゃ簡単.ショックをバラしたとき間違った向きとか部品を付け間違えたりしなければ余裕*1

フロント

フロントはショック本体も含めて左右形状が異なるので別の品番です.

最初に(写真を撮り忘れてしまいましたが)ブレーキホースとスピードセンサケーブルの固定を外して起きます.右側ショックの場合かつナックルを完全に取り外す場合はブレーキパッドセンサーもナックルから外しておきます.

スタビライザーリンクを切り離し

5mmの六角棒レンチを差し込み回り止めをしつつレンチを回すだけ.インパクトレンチがあれば一発で外せます.
なお,このスタビライザーリンクを留めている場所に注目.冒頭矢東タイヤさんが形状を気にしていたのがまさにここ.
年式によってショックの形状が違うのです.写真のようにリンクの上側がショックの「耳」に繋がっているモデルならKONI Special ACTIVE がそのままとりつきます.国内ではほぼ流通していないと思いますが,2002年3月以前に製造されたMINI R50, R53だとスタビリンクがロワーマウントに締結されていて,KONI Special ACTIVE はつかないということになります.

スタビリンクの形状が6ならOK.5ならNG.
ショックとナックルをつないでいるボルトを外す

18mmレンチで外します.

ショック切り離し

ナックルを重めの鉄ハンマーで上からコンコンやればナックルがずり落ちてきて外れます.思ったよりナックルが下がらなかったら手でグイグイ押し下げながらショックを引き抜きます.

トップマウントを取り外し

あとはボンネット側から13mmレンチでナット3個を外せばショックを切り離せます.なんて簡単なんだ….

KONI Special ACTIVE MINI R50,R52,R53(2002/3~)用

写真は左前用.

とりあえず並べてみる

並べてみただけです….

スプリングコンプレッサーをかけます

ほんと気をつけてね.作業のために立てたり倒したりをすると思いますが,落としたりすると吹き飛びます.また作業中極力軸線上には入らないようにしましょう.ヘタすると死にます.
写真とってなかったので昔の写真です.

トップマウントナット取り外し

スプリングを圧縮して遊びができたら,トップマウントのボルトを外します.カバーキャップがついているのでそれをむしり取って,ナットとご対面.
本来は六角棒レンチで回り止めしつつ21mmレンチでナットを外すのですが,ちょっと普通のメガネレンチでは入らないかも.素直にフレアナットソケットと六角棒をご用意ください*2.六角棒レンチが舐める可能性もあるので,インパクトない場合はジャッキアップ前に21mmを少し緩めておくといいかもしれませんね.
インパクトがあれば21mmソケットで外せます.シャフトが回ってしまうかもしれませんが,ブーツ(プロテクションチューブ)をめくってシャフト本体をゴム手袋とかで押さえれば外せるでしょう.
写真とってなかったので昔の写真です.

ショック分解

ショックをバラします.

分解図(2002/3~)

ちなみに分解図はこれ.
5,6番が1番とか7番にはりついていることが多いので,忘れないよう気をつけて.特に1番を交換したとき5,6番がここに張り付いてるのに気づかないと5,6番なしで組んじゃう可能性があります.
ちなみに次の部品は交換していないならここで交換しておくべきです.

  • 1番:トップマウント(ゴム部分が破断する)
  • 9番:バンプラバー
  • 10番:プロテクトチューブ

できれば,8番と11番も交換したほうがいいですが,こちらは結構タフなので使い回せなくもないです.
1, 9, 10番は昨年交換しているので今回は使い回します.

くみ上げ&取付

くみ上げて取り付けます.
くみ上げで気をつけるべきは順番・向きを間違えないことと,最後のスプリングを張るときにスプリングの位置を合わせることです.フロントはアッパーもロワー側もスプリングの始点を合わせる場所がもうけられています.ここを間違えないようにしてスプリングコンプレッサを取り外します.

【参考】スプリング位置合わせ

なお,KONI Special ACTIVE には専用のUナットが付属しています(写真撮り忘れ…).これ,サイズはM14(P1.5細目)っぽいのですが,レンチ幅が22mmなんですよね….困ったことに,22mmのインパクトソケットがトップマウントの窪みに入らない(窪みはφ30くらい)し,フレアナットソケット22mmを買うのもしんどいでしょう.…純正使い回しで(笑).

車体への取付は逆順でよいのですが,塗装がやや厚く(そのわりにすぐはげるw)差し込みは難儀かもしれません.シリコンスプレーなどで潤滑しつつハンマーで少しずつたたき上げて突っ込みましょう.キリカキに出っ張り(取付ボルトを差し込むところ)をあわせて押し上げていきます.

【例外】右フロント…

余談ですが,右フロントは場合によってはここまでばらさないといけないかもしれません.右のドライブシャフトには途中に中間ジョイントがありますが,これが脱臼してナックルを外さないと差し込めないみたいなことが起きうるんです.その場合はここまでバラします.うちは脱臼しやすい社外ドライブシャフトのため,右ショックを外すときは必ずここまでバラして作業することにしています.純正ドライブシャフトの方は脱臼しにくいのでここまでしなくても多分大丈夫.たぶん.

【参考】右フロントのショック分解

リア

リアも簡単なんですが,車体に潜り込む必要がありそれはそれで面倒.フロントと違ってショック本体に左右の別はありません.(アッパープレートなどは右左で違う)

右リア

交換前です.外すところはショックに固定されているブレーキホースとスピードセンサケーブル,一番下のナックルに締結されたボルト一本,上側のボルト2本のみ.

下側ボルトの位置

しらんかったのですが,下側ボルトはゴムカバー(ストーンチップというらしい)で保護されています.引っかかっているだけなので,端からむしっていきます.

下側ボルト取り外し

21mmです.
なお,写真ではまだブレーキホース類も外してませんのでちゃんと外しておきます.

上側ボルト取り外し

見上げて13mmレンチでボルト二本外します.これを外すとショックが落ちてきます.ちょっと外しにくいので,ショートエクステンションなどがあるとよいですね.

リアショックの付け外し

途中ブレーキホースとスピードセンサケーブルがスプリングに引っかかるのでよけながら外してきます.写真は左リアのもの.

リアショック取り外し

とりあえず並べてみました.なんか取り外したやつ,ところどころえぐい.

リアショックナット取り外し

スプリング圧縮の写真は取り忘れました.圧縮してフリーになったらトップのUナットを外します.なんか,インパクトでも回るようなので六角棒レンチ(5mm)で回り止めして外します.幸いフロントと違ってメガネが入ります.純正のUナットは16mmでした.

リアショック分解

リアは点数が多いので並べてみました.写真中にも注記しましたが,トップシートとブーツ(プロテクトチューブ)をまだ分離していません.

分解図

次の部品は同時交換しておくべきです.

  • 4番:ロワースプリングパッド
  • 6番:プロテクションチューブ
  • 7番:バンプラバー
  • 10番:ガイドサポート

一番油断したのが4番のスプリングパッド.フロントは全然傷んでなかったので油断していましたが,パリパリになっていました.…今回は国内在庫も見つけられなかったし使い回しますが,あと5年は持たないだろうなぁ….

パリパリになったロワースプリングパッド

アッパー側はそうでもないのになぜこいつだけ?というくらいパリパリ.はがすだけでちぎれてしまいそう.スクレイパーで剥ぎました.変えておきたかった….

あとわかりにくいのは10番のガイドサポート.BMWではASSYで品番設定されていますが,クッションだけ売られています.構造は次のような感じ.

ガイドサポートの構造

この図中×線のクッションとセンターカラーを個別に入手できます.これは左右の別なしなので,2セット調達しておけばよいことになります.

また KONI Special ACTIVE にはUナットとダストカバーっぽいプラスチックのシートが付属します.プラスチックシートは防塵用なのかな?ショックの付け根に入れるように指示がありました.

交換部品類(片側)

とりあえずこんだけかっときました.

組み立て&取り付け

あとは買っておいた新品部品を使いつつ逆順で戻していきます.

リアスプリング位置合わせ

リアはスプリングのアッパー部のみ位置合わせが必要です.パッドのキリカキにスプリングの先端を合わせ(A),カップの位置にあわせ(B)てからスプリング圧縮を解放していきます.

完成

完成

アライメントも取り直していないし,ほとんど走ってないですが,インプレッションです.すげーマイルドです.特にわかりやすいのは段差.なめらかに路面に追従します.一方ですこし柔らかいかなぁ….加速減速時にワンクッション遅れて車体が傾ぐ感じがします.ハンドリングも少しルーズになった気がしますが,これはアライメントが崩れたせいかもしれません.とはいえそれほど操作性が劣った感じでもないので,マイルドさを優先するならこのショックは有りだなという感じですね!

*1:当たり前ですが,13,15,16,17,18,21,22mmのソケット・メガネレンチ・5mm六角棒レンチ・ハンマー・スプリングコンプレッサなどを持っている前提ですよ.インパクトがあるとだいぶ楽にはなりますが,フレアソケットレンチとか特殊工具(後述)があるならなくても平気.

*2:ショック破損覚悟ならブーツをめくってシャフト本体をパイプレンチとかで回り止めすれば外せると思います.