黒田官兵衛 - 「天下を狙った軍師」の実像

読了.
あれ,結構大河ドラマのかんべーの描き方って正しい??
もちろん,かんべーの面白いエピソードを(歴史的な根拠が薄くても)採用していたりする大河ドラマですが,最新の研究ではかんべー=誠実という方向で,意外と方向性はあっていたのね.かんべーは,一度秀吉や家康に取りなすとした大名との約束を違えたりはせず,しっかりと果たしているようです.
かんべー=天下取り得る功臣であって忠臣ではない(つまり野心家),というイメージが先行していますが,それを否定する実録が多く紹介されています.秀吉はかんべーを恐れて筑前に封じたと言われていますが,実態たるや,そもそもかんべーは中央政権に絡んでおらず秀吉の側近というわけではない.また,重用していた将軍であったればこそ,博多という要衝を任せた,という理解のようですね.勲功のわりに石高が少ないという意見もありますが,これはかんべーがキリシタンであることから警戒されたという話を「日本史(ルイス・フロイス)」を引用して紹介しています.
参考文献として良著.