D750 や D810 で Nikon Capture NX2 を使うには

はじめに

D750 を購入してほぼ唯一困っているのは,画像編集です.
ぼくは D7000 時代から,ほぼ Nikon Capture NX2 だけで画像加工をしてきましたが,Capture NX2 では D750 や D810 の RAW ファイルを扱うことはできないのです.その上,ニコンは対応する気はないそうです.
ニコンの公式ページには次のように書かれています.

※ D810で撮影したRAWを現像したい場合には使用できません。
JPEG画像を調整するためや、RAW現像後にTIFFにした画像であれば使用することは可能です。
RAW現像を行いたい場合は、無料のソフトウェアCapture NX-Dの使用をおすすめします。

http://www.nikon-image.com/products/accessory/software/capture_nx_2/

D810 と書かれていますが, D750 も同様ですし,今後登場するニコンボディの全てが Capture NX2 に非対応となることでしょう.

とはいうものの,Capture NX-D は無料&NX2 の後継とはいえまだまだ未完成の部分が多く,なにより Capture NX2 の最大の特徴であるカラーコントロールポイントやレタッチブラシがまだ実装されておりません.トーンカーブ調整は死ぬほど重たいです.ちょっと使えない気がします.

ここでは,Capture NX2 で D750/D810 の RAW データを直接編集できるようにする方法を紹介します*1

なんとかして D750 の RAW を Capture NX2 で扱う

やはり同様の悩みを抱えている諸兄諸姉は(世界中に)おりまして,海外にてなんとか D750 の RAW を Capture NX2 で扱う方法を提案している人たちがいます.
基本的には,Capture NX2 に対応している D610 のブランク RAW データをテンプレート化しておき,実際の D750 の RAW データをテンプレート RAW データに転記してゆき,Capture NX2 に D610 の RAW データとして渡してしまうやり方です.これには, RAW2NEF というツールを使います.
このページを見ると,下記のように書いてあります.

What is this Raw2Nef?

You know that Nikon has discountinued support for Capture NX 2, the raw converter that was sold with their high end cameras, and on top of which many Nikonians defined their workflow.

This tool allows you to convert files from new cameras types into a sort of Nikon Electronic Format (NEF) raw file that can be edited by Nikon Capture NX 2, version 2.4.6. As of today, Raw2Nef supports the following cameras: Sony A6000, Sony A7, Sony A7II, Sony A7R, Nikon D750, and Nikon D810.

The tool is free to download and use.

http://www.bagnon.com/raw2nef/

超俺訳.

Raw2Nef って何?

ご存じの通り,ハイエンドなカメラとともに売られ,多くのニコンユーザの RAW 画像現像処理に影響を与えてきた Capture NX2 のサポートをニコンは打ち切った.

このツール(Raw2Nef) は新しいカメラで撮影された NEF ファイルを Capture NX2 ver 2.4.6 で編集可能なファイルに変換できる.
今現在,Raw2Nef は下記のボディに対応している: Sony A6000, Sony A7, Sony A7II, Sony A7R, Nikon D750, and Nikon D810.

このツールのダウンロードや利用はご自由にどうぞ.

なお,ここで解説するのは Windows 版だけ. Mac 版は使ったことがないです.説明を見る限りではすこし面倒そう.

直感的な処理

RAW2NEF にはいろいろと課題もあります.具体的にいうと,たとえば, D750 の RAW データを D610 のデータに偽装するため,当然出来上がった現像済み JPG ファイルのカメラモデルは D610 となってしまいます.そのため,最終的に EXIF をいじったりする必要もあります.
大まかにいえば,このような編集手順を追わなくてはいけません.

  1. D750 や D810 で撮影し,RAW データをとる
  2. D710/D810 の RAW データを RAW2NEF に食べさせ,Capture NX2 が識別可能なボディの RAW テンプレートに転記し,偽装する
  3. Capture NX2 で編集する
  4. 現像した JPG データの EXIF を編集し,カメラモデルを D750/D810 に書き戻す

必要なツール

  • Capture NX2 version 2.4.6
    • 最新版は 2.4.7 ですが,2.4.6 でなくてはなりません.ダウングレードしてください
    • ダウングレードにはシリアル番号が再度必要です(押し入れをひっくり返して探しました)
  • RAW2NEF
    • ページ上部の Download から OS/Architecture 毎にツールをダウンロードしてください
  • F6 Exif (F6 Exifの詳細情報 : Vector ソフトを探す!)
    • EXIF を編集し,カメラモデルの矛盾を修正するに用います

手順

D750 や D810 で撮影して RAW データを取得する

撮影してください.
なお,このまま Capture NX2 で読み込もうとしても無情なエラーが出ます.

ファイルを読み込むことができません

RAW2NEF で Capture NX2 が扱えるデータに変換

64bit 版であれば,raw2nef64.exe を起動し,図のように設定します.

  • Input RAW files: 撮影した RAWファイルあるいはそのフォルダを指定 (ドライブC直下は適当です.アクセス許可のあるフォルダであればどこでもOK)
  • Output NEF files: 変換済みデータをはき出すフォルダを指定
  • Capture NX2: とりあえず ver 2.4.6 の本体プログラムを指定
  • NEF Templetes: 同梱の templete フォルダを指定しておきます

後は図のようにしておけばとりあえずOK.

設定が終わったら,Convert をクリック.

できました.

CNX2_DSC_3364.NEF というファイルが Output NEF files で指定したフォルダに書き出されます.

Capture NX2 で編集&現像

出力された RAW データを編集し,JPEG 現像してください.

EXIF データを修正

このままでは,カメラモデルが異なる EXIF データのままですので,修正します.
F6 Exif を起動し,JPG 画像を読み込んでみると, D750 の場合は D610 とカメラモデルが狂っていることがわかります.( D810 で撮影した場合は D800E になるようですね)

ツール>EXIF一覧表示・編集 で画像入力機器モデルをダブルクリックで編集します.

これを D610 から D750 に編集します.
あとは,Ctrl-S で上書き保存して終了です.

その他の課題

予め用意されているテンプレート RAW データに転記するというスタイル上,テンプレートデータはブランクでありながら最初から無駄に容量が大きいのでかなり容量を無駄遣いします.これは,例えば D750 で撮影した RAW データの方がテンプレートの RAW データより大きいと,テンプレートの RAW データに転記仕切れないためです.

まとめ

ニコンは早く Capture NX-D をマトモにしてください.あるいは Capture NX2 側で D750,D810 を対応機種にしてください.
しかし,面倒くさい作業ではありますが,どうせ100枚に1枚くらいしか本気で編集しないでしょうし,慣れればこの作業にかかる時間は1分かそこらですので,(不健全ではありますが)しばらくはこのまま逃げ切ろうと思っています.
このようなツールを作ってくれた人に感謝ですな.

Nikon デジタル一眼レフカメラ D750

Nikon デジタル一眼レフカメラ D750

Capture NX 2

Capture NX 2

ちょっと補足

ここで紹介しているような RAW2NEF とかがないと D750/D810 の RAW データを Capture NX2 で扱うことはできないのかというと,そういうわけでもありません.
厳密に言えば,確かに RAW データを直接扱うことはできないんですが,冒頭のニコンの言い分のように,一回 Capture NX-D などで TIFF に変換してやればいいんです.そうすれば,使いたい機能であろう,レタッチブラシやカラーコントロールポイントも使えるようになります.RAWデータではないので,いじくれる箇所は減っていますが,そこは Capture NX-D で予め済ませておきましょう,ということですね.
なお,Capture NX-D から Capture NX2 を一発で呼ぶためのアイコン「APP」があり,「他のアプリケーションを使用して画像を開く」などとすれば,Capture NX-2 をワンタッチ起動できます.この場合は,一旦 TIFF で保存といったステップをすっ飛ばして,自動で RAW → TIFF 変換が内部的に行われ,そのデータは Capture NX-2 に渡されます.

なんだか,ミスリードしている気がしてきたため,補足しました.あくまで,Capture NX-2 で D750/D810 の RAW データを直接扱う方法を紹介しているだけなんですけどねぇ.

追記(2015/2/23)

非CPUレンズを使って撮影した RAW ファイルのときは注意をしなければいけないようです.
どうやら,一度でも RAW ファイルをPCで修正してしまうと, RAW2NEF で 「can't read "tags(nikon_Lens)": no such element in array」 などというエラーが出てしまうようです.レーティングすらダメです.

*1:別に,Nikon View NX や Capture NX-D で現像したファイルを Capture NX2 で読み込めば同じ事ができる,とか,そういうのは議論してません.