ベルナンバー

今年,D通大のC学科の夜間一年生は離散数学の試験が大変だったようですね.
問題文を聞く機会があったのですが,どうやら「ベルナンバー」が出題されたようです.

ベルナンバーとは何か

ベルナンバー(Bell Number)というのは,有限集合 Xを分割する方法はいくつあるかという問題です.
たとえば, X = \{x_1,x_2,x_3\}なら,\{\{x_1\},\{x_2\},\{x_3\}\}, \{\{x_1,x_2\},\{x_3\}\},\{\{x_1\},\{x_2,x_3\}\},\{\{x_1,x_3\},\{x_2\}\},\{\{x_1,x_2,x_3\}\}のように,分割するパターンは5つあります*1
 Xの要素数 nとしたとき,次のようになります.

 n パターン数  n パターン数
1 1 11 678570
2 2 12 4213597
3 5 13 27644437
4 15 14 190899322
5 52 15 1382958545
6 203 16 10480142147
7 877 17 82864869804
8 4140 18 682076806159
9 21147 19 5832742205057
10 115975 20 51724158235372

この表を式で表現するとどうなるのか?という問題なのです.

ちょっと嘘ついた

上で,一年生にベルナンバーが出題されたと書きました.ちょっと嘘です.
正確には,有限集合 X上の同値関係の総数を示せというもの.
同値関係 Rをとった場合,その商集合 X/R Xの直和分割になっています.つまり,同値関係は何パターンとれるかという質問はベルナンバーそのものになっています.
一年生諸君はそもそも,このことに気づいたのでしょうか.

導出は結構難しい

一般式があれば,それが成立することを証明することは簡単です.
しかし,一般式を求めよ,というのは結構難しいものです.
私も同じ先生に同じ問題を出題されたことがあるので,導出したことがありますが,かなりキツかったです.試験で出すなよ,かわいそうでしょ!って感じです.
ちなみに,私が解いたときはベルナンバーという名前はしりませんで,4年のとき,研究室のBugさんに教えてもらいました.

で,答えは?

全射の総数を使って解いた記憶があります.答えは
 \displaystyle{\sum_{k=1}^n \frac{F(n,k)}{k!}}\qquad,\qquad\qquad \displaystyle{F(n, k) = \sum_{i=1}^k (-1)^{k-i} {k \choose i}i^n}
だと思います. F(n,k)全射の総数です.

*1:最後のやつは分割しないというパターン