小笠原に行ってきた

珍しくプライベートで大旅行に行きました.小笠原諸島の父島観光です.ここでは,将来また遊びに行くかもしれないので,旅行メモを残します.ちなみに,ガイド本も買わなかったし,往復のチケットと宿を押さえた以外は全くのノープラン&ノー知識.ちなみに,私はマリンスポーツは苦手な方です.なので,シュノーケリングとかダイビングにはそれほど興味なし.

小笠原諸島のウンチク

小笠原諸島は近年になって入植が始まった,東京から南方に1,000kmにある島群です.戦国時代末期に深志城(長野県)城主の小笠原貞頼が発見したとされます.もっとも,その数十年前に大航海時代に西洋の航海士が発見しておりますし,そもそも小笠原貞頼の存在すら怪しいのですが,一応小笠原さんが見つけた島ということで小笠原諸島と呼ばれています.ちなみに,都内です.車のナンバープレートは品川.
明治時代ごろ,捕鯨船補給港としてハワイから入植が進みましたが,なんやかんやで日本からも入植が進み,日本の領土となりました.
第二次世界大戦アメリカに没収されていた時期もありますが,返還後に再度入植が進み,現在では小笠原諸島の中心となる父島,その南の母島などが観光業を中心に賑わっております.

島への往復

小笠原諸島へのアクセスはなかなか厳しく,現在のところ,メインアイランドである父島への定期船しかありません.基本的には,東京の竹芝桟橋から出ている小笠原海運の「おがさわら丸」にて父島に向かうこととなります.片道26時間なので長丁場.
船のチケットにはいくつか等級がありますが,最安のチケットは二等船室です.規則正しく床に並べられた毛布を一つあてがわれ,その毛布の上で生活します.幅60cm縦170cmくらいでしょうか.往路は乗客が700人超でして,二等船室と呼ぶことすらはばかられ,身内では「船倉」と呼んでいました.大の大人が窮屈に感じる程度です.もっともそんなところに26時間も押し込まれてはかなわないので,天気がよく風がなければデッキで飲みながら時間をつぶすことになります.
おがさわら丸で知っておくとよいことは次の通りでしょうか.

  • おがさわら丸にはシャワー室がある.ただし,タオルもなければシャンプーなどもないので持参すること.タオルは船内で買えるかもしれない.
  • 煙草はデッキなら吸えるけど,船尾で吸うことが望ましいですね.灰皿も基本的に船尾にしかありません.船内最上階(デッキに出る通路がある)にも喫煙室があります.ここはエアコンが入っていて快適です.
  • 食堂もあるけれど,カップラーメンや弁当を持ち込んだ方が楽しい.晴れていればデッキで食べられるし,飲み食いできる!酒は船内の自動販売機で売っています.ビールだと350ml缶で300円.なお,カップラーメンのお湯は二等船室の通路にあるカップラーメン自販機のお湯を拝借します.特に禁止はされていないので堂々とお湯を調達します.なお,船内のカップラーメン(ニッシンカップヌードル)は200円です.
  • 出航前の待合所でだいたい何人くらいが乗船するのか分かりますが,500人以下なら二等船室の雑魚寝でも結構やっていけます.ただ,700人とかになると,船室が窮屈すぎてデッキや階段の踊り場,ロビーの床などにゴザ*1やビニールシートを敷いてビバークする人が現れます.もちろんよいと思いますが,羽目を外しすぎて迷惑をかけるのはいけないぜ! 実際,ゴザ引きする人の内訳は,小笠原のプロか馬鹿で,二分されます.中間層のなさがすごい.
  • 東京湾を抜けるまで携帯は使えます.たぶん,千葉の野島崎から南10kmくらいまでは使えるのではないでしょうか.八丈島の脇を通るときも一瞬携帯電話が使える瞬間があります(au, docomoはOKみたい.やわらか銀行はしらね).新島の近くも一瞬使えました.
  • 22時に消灯となり,デッキから船内に戻るように指示されます.二等船室も消灯.まだ飲み足りない人は,迷惑だからロビーなどで呑みましょう.ここだったら怒られない.
  • 外洋では,風があってもなくても船がけっこう揺れます.酔い止めを飲んでいても気分が悪くなるほど.ただ,多くの酔い止めは副作用で眠たくなりますので,とっとと寝てしまうという手もあります.船酔いしやすい人はお酒を避け,脂っこいものなどは避けた方がよいでしょう.アネロンなどは24時間の酔い止め効果を謳っていますが,正直12時間で追加しないとやばいかんじでした.
  • 船酔いの本番は船を下りて,酔い止めが切れた頃.船を下りた後は,揺られすぎていて,地面に立っている自分がゆらゆら揺れます.自分が揺れているだけなのに酔ってしまうというふしぎなことも起きますので,「ギリギリ下船するまで酔い止め薬は持つな…」などと考えずに,自信のない人はさっさと追加で酔い止め薬を飲みましょう.

父島について

父島はおがさわら丸の着岸する二見港周辺が最も栄えています.おそらく多くの人がこの周辺に宿を取ることになるでしょう.

  • 二見港から北西方向すぐにある大神山には展望台があります.ただ,10分ちょっとで頂上までいけますが,標高150mくらいなので結構汗だくです.眺めはよいです.
  • 父島ではaudocomo が入ります.私は au ユーザですが,まさかの 1x通信*2しかありませんで,実測で14kbpsでした*3.はっきりってメールすらまともに受信できないレベル.docomo でも状況は同じでしょう.なぜなら,父島と本土の通信は衛星通信回線のみでして,合計で数Mbpsしかありません.これを1000人くらいでシェアするわけですからね.

(2012/8/16追記)
今では本土と海底光ファイバ回線が敷設されているらしいので,状況は改善していると思われます.また,ハゲバンクもサービスを開始しているようです.

  • 警察署の近くに24時まで開いているコンビニがありますが,それ以外は基本的に18時ちょっと過ぎにはしまってしまいます.
  • お土産は最終日の前日くらいまでなら買えそう.でも,最終日は結構少なくなってきます.
  • 二見港からバスで30分くらい揺られると,終点の小港海岸にいけます.浜辺は基本的に砂地で,普通に泳げますが,多くの人は浜辺を臨んで右端の岩礁で簡単なシュノーケリングをします.浜辺近くは死んでいる珊瑚も多いのですが,岸壁沿いに沖に向かうと,生きている珊瑚もあります.足も付くので,ゴーグルさえあれば,本格的にシュノーケリングとかやりたくないめんどくさがり屋さんでも大丈夫.
  • 珊瑚礁を歩くときはさすがに足裏を保護する靴は必須.脱げにくい足裏を覆えるサンダルなどをご用意ください.ヘタに珊瑚を踏み抜いて毒をもらっても知らないぜ.
  • 小笠原諸島には毒蛇などはおらず,沖縄より安全.ただし,海中には毒持ち珊瑚がいっぱいあるし,イモガイガンガゼ(異様にハリの長いウニ)などの猛毒を持っているものもある.あと,風向きによってはカツオノエボシのような強烈な毒を持っているクラゲなんかも流れてくる.サメもたくさんいるけれど,さすがにホオジロザメのような大物は滅多に出会わないんじゃないかな.父島で波止場釣りをしていると,メジロザメ科や(たぶん)ドチザメ科のサメをよく見かけました.南島あたりだとネムリブカなんかもいっぱいいた.でも,こいつらに食われることはほとんどないので大丈夫.

いるかについて

マリンスポーツ苦手な身としてはイマイチ参加したくなかったのですが,おつきあいということでドルフィンウォッチングに行ってきました.うまいことイルカに出会えたら,海に放り込んでもらえるというオプションつき.
乗ったのはピンクドルフィンというクルーザー.

  • 船長は外人かと思えるくらいの白髪イレズミのおっちゃん.ぶっきらぼうだけれど面白いじいさんで,いろいろと教えてくれる.船酔いしなかったら上部デッキで操舵しているので声をかけると吉.
  • 母島まで行ってくれることもあるので,予約時に母島にいくのは何日なのかを聞いてみるとよいかも.
  • イルカの縄張りは,母島の西側,猪熊湾周辺なのかな.船長はこの辺にイルカがよくいると言っていた.
  • 突然,「イルカが出たぞー 総員おろし〜」みたいなことを言われるので,イルカを探しに行く!といいだしたら警戒しておいたほうがいい.船倉に転がっている貸しウェットスーツを着る準備という意味で.どっちが表でどっちが前かくらいは事前に調べておいた方がいいね.同伴者は全員それを知らなかったので,とても困った.
  • 船は,イルカの前方に先回りして,3,4名ずつ人を落としていく.イルカが通りすぎたら船に乗り込んでまた先回りする.イルカさん,いい迷惑やな.
  • クルーザーはぶっちゃけ酔う.酔い止め飲んでるのに友人はゲロした.私もちょっとあぶなかったのですが,船の進行方向が見えるところに陣取り,どの波で船体が浮くかを予測できるとあんまり酔わない.
  • お昼1時間ちょっとくらい母島の沖港に停泊してくれるので,港周辺をぶらぶらできる.

その他

気になったけどまとめるまでもないことをいくつか.

  • マナーに気をつけることが重要.はっきりいって,おがさわら丸でやんちゃで目立ったやつは島内でもやっぱり目立つ.所詮小さい島,はっきり言って同じヤツに1日一度は会う.マナー悪くすると後ろ指さされる.私は後ろ指さしたし.具体的には,波止場で釣りをしていたら,仕掛けを落としたとこに飛び込んだ馬鹿2人組を見た.こいつらはやっぱりおがさわら丸でも滅茶苦茶だった.
  • 島民はやさしい.小笠原観光協会が徹底しているのかもしれないけれど,とにかく島民は優しい.島の子供は見ず知らずの人にも挨拶していくレベル.
  • 戻りのおがさわら丸が出航するとき,観光協会所属のクルーザーがお見送りをしてくれる.なにをしてくれるのかは実際に見た方がいいので書かないし,調べない方が感動的.私はびっくりしました.

おわり

船酔いするしサメこわいから海嫌いの私でも楽しめた.ダイビングとかはやらなかったけど(予約埋まっていたのだ),イルカも間近でみたし,なんちゃってシュノーケリングもやったし,島のご飯も美味しかった(ガイド本で☆2なのはなぜよ?).往復で52時間の船旅がちょっときついけれど,今度はちゃんと事前予習してから乗り込みたいね.

*1:人数が多いときはおがさわら丸で貸してくれる

*2:au の携帯電話では主に音声通話用の CDMA 2000 1x とデータ通信用の Ev-Do を兼備して,音声用とデータ通信用とで使い分けています.父島では 1x 通信しか提供していません.現行機種では1xは音声用ですが,Ev-Do が使えないときは,こちらにデータ通信を重畳します.ちなみに,一昔前のAシリーズ(PacketOne)は 1x でデータ通信してました.

*3:私がIS-03を使っているせいではないとおもう….