DMH-SF700 レビュー Android Auto

はじめに

初代 BMW MINI R52S コンバーチブル用に PIONEER DMH-SF700 を買いました.いわゆるディスプレイオーディオです.
今日のエントリはデバイスの取付というよりは使い方メインで備忘録を残すというものです.いやあAndroid Auto,クセつよつよなんですわ・・・.
タイトルにもあるとおり当方は Android 使いなので Android Auto ベースの話.すまんな.

これまで

うちのミニはカーナビが普及し始める前くらいの車両(2004年製)のため,ナビを納める場所がありません.
これまでは PIONEER のポータブルナビ最終形である AVIC-MRP770 を使っていましたが,ウリであった通信モジュールによるスマートループ*1も使い物にならなくなりつつありまして,スマホナビベースのAndroid Autoもいいんじゃないかと思ったわけであります.

AVIC-MRP770.7年間ご苦労様でした.

図はこれまでのカタチ.最後らへんはスマートループが信じられず,隣にGoogleナビを置いてしまうというめっちゃビジーなコンソールになってしまいました.

機種選定

初代BMW MINIは1DINしかないのでフロートなディスプレイオーディオデバイスしかつきません.選択肢は少なく,PIONEERの二機種か,Aplineのものになるでしょう.海外で SONY 製のディスプレイオーディオを輸入する猛者もいるらしいですが,面倒なのでやらないです*2

結論は冒頭のとおり PIONEER DMH-SF700 です.選定理由は下のとおり:

  1. スピーカーが PIONEER カロッツェリア系なので PIONEER がいいな
  2. ぼちぼち音質がいい(DMH系は音質がよいと評判・・・YouTubeでも探してみてください)
  3. Amazonアレクサ使いたい

1で PIONEER 1択となり,3で DMH-SF700 になりました. DMH-SF500 は発売年は 700 より後なんですが,HWの多少のスペックダウン,あと アレクサ 非対応なんです.
後述しますが,ぶっちゃけ DMH-SF700 の アレクサはゴミなので,期待しないほうがよいです.つまり, 500 でもよかったなぁ・・・という感じ.

あと,DMH-SFシリーズは車速パルスを車両側からとれますし,当然独自の GPS も持っています.
ディスプレイオーディオでは,ディスプレイオーディオデバイスで取得したセンサ情報をスマホ側から読み取ることができ,スマホ側ナビアプリさえ対応していれば,従来の据え付けナビのような高精度な自車位置推定ができるようになります.もっともそれに対応したアプリがなんなのかは結構謎ですが, Google マップナビは車速パルスに対応していると言われています.(Android版の)カーナビタイム(有料・・・高い)も対応しているという噂もありますが真偽は不明です.

取り付け

初代 BMW MINI という車種限定ではありますが・・・いちおう取り付けも少しだけ.R50/R52/R53 であれば基本的同様に取り付けられるはず.ぼくはこれまでの配線整理をやったり色々魔改造*3しているので取り付けに15時間かかってしまいましたが,普通にやれば1~2時間コースです.

カナテクス カーAVトレードインキット GE-BM101

初代 BMW MINI に対応したヘッド変換キットが必要です.今現在流通しているのはカナテクスのもので,ほかにもピービー(pb)製などもありましたが,どうやらピービーは解散したようです.

物理的な取り付けアダプタ

このキットには様々なヘッドを取り付けられるような型(アダプタ)と車両の配線コネクタを変換したりFM/AMラジオアンテナコネクタの規格変換(FAKRA→JASO規格)アダプタなどが入っています.
これだけ買っておけば国産のヘッドは 1DIN ならだいたいなんでも取り付けられますが,惜しいことに,このアダプタの工作精度がとても悪い.まさかのマニュアルに「削れ」と書いてあるほど.リューターやヤスリ必須.

先に車両にアダプタを取り付けてレール(?)をつけたヘッドを押し込む
配線を確認中.問題がなければぎゅうぎゅう押し込む
ついた

おまけ

ぼくは配線の整理に8時間かけてしまいました.加えて音質を良くするためにネットワークモードを使うべく,フロントドアに新たなスピーカー配線をしようとして4時間も使ってしまいました・・・.普通の人はここまでやらずに2時間でぱぱっとおわらせましょうね~.

配線整理
スピーカー配線
整理したタイミングで作った配線図

どうでもいいですが,車速パルスはクーペ(R50/R53)は助手席側にありますが,コンバーチブル(R52)は運転席側のサイドシル脇にあります*4

DMH-SF700 を使ってみる

メインディッシュ.

接続

DMH-SF700 は有線USB(Type-C)で Android スマホと接続して使います.世の中にはワイヤレス化して使うためのアダプタもありますが,電池の減りはすさまじいということなので,しばらくは有線で使ってみます(ワイヤレス化アダプタも高いし).さしている間は Power Delivery (PD)規格に準拠して充電もされていくので,ナビアプリをフルパワーで使っても充電が減っていくということは無いと思います.少なくともぼくと嫁さんのスマホではそういうことは起きていません.(それぞれ Google Pixel7Proと Pixel6Pro.信者.)
使ってるとほっかほかになりますが,スマホをQi充電(10W)しながらGoogleマップナビでナビさせてたときは,ちょっとホットになると充電効率が下がって(電池保護)充電しているのにバッテリーが減る問題がありましたが,こういうのは無し.でも,バッテリーの寿命は縮めてるんだろうな・・・.

Android Auto

そういえば,ディスプレイオーディオに求めていることを書いていなかった.ぼくが求めているのは大きく次でした.

  • (車速パルスなどを使った)高精度なナビの実現
  • いい音で音楽をききたい.FM/AMなどもちゃんと聞ける(コンバーチブル=オープンカーのくせに何をいってるんだ)
  • Amazon アレクサで好きな音楽をいつでもリクエストできるようにしたい

これまでも純正ヘッドにBluetoothオーディオアダプタをかませて Amazon Echo Autoで音声入力で音楽を再生させていたのですが,要するに,デグレしたくないということです.

高精度なナビ実現

試したのは Google マップナビとカーナビタイム.長いトンネルとかはまだ試していないので街乗りですが,位置精度はそれなりで AVIC-MRP770 にひけはとらない*5かんじ.
どっちかというと精度よりもアプリの善し悪しの不満が大きいかも.
Googleマップはやったね無料!だし,普段スマホGoogleマップ検索した結果をそのまま使えるし音声入力もまあまあだからかなり使いやすい.一方で,ディスプレイオーディオ画面でマップを見ながらここに行きたいみたいな目的地指定はできなかったりする.
カーナビタイムはとにかく高い.でも,高速道路走行ではIC/PA/SA/JCTの情報が画面半分に並ぶとか,国産のカーナビっぽい表示になり使いやすい.あと案内も丁寧.渋滞回避はGoogleマップよりはアグレッシブでないのでそこは考え方かも?

Googleマップとカーナビタイム(高速道路編)

いずれにせよ,この項目はもう少し使ってからちゃんとエントリを起こしたい.

ん?COCCHi*6??入れたよ?起動した瞬間ディスプレイオーディオ巻き込んで落ちたけど.Yahoo!ナビはそのうちためす.

いい音で音楽をききたい

いや,これは,いいんじゃないですか?!想像以上によいです.
フロントスピーカー限定になっちゃいますが,ネットワークモードを使えばミッドレンジとツイータ個別にタイムアライメント(各スピーカーとの距離)調整できますし,スピーカー種別ごとに周波数フィルタをするカットオフ機能もあります.惜しむらくは専用マイクを使ったタイムアライメント自動調整や車速に応じた音量調整のレベライザ機能がないことでしょうか.とくにレベライザがあったら完璧だった.おしい.今からでもソフトアップデートで対応してくれませんかね・・・.

FM/AMの内部アンプの出来もよろしい.実は BMW MINI R52コンバーチブルは,FMアンテナのブースターがありません(R50/R53にはある).なので純正ヘッドですらFMは音がかすれるという状況で,FM-VICSへの分岐もあって利得も下がるしで自分でブースターを入れたり試行錯誤していました.今回はFM-VICSが不要になったのもありますが,何もせず ラジオ線を取り付けてアンテナコントロール配線をするだけでノイズはほぼ出なくなりました.すばらしい.

アレクサで音楽を聴きたい

ここはめっちゃ不満です.
細々いろいろあるんですが,一番大きいのは,「ビルトインされた Amazon アレクサが .com 仕様で co.jp で使っているAmazon Music 等とマトモに連携できない」というところでしょうか.
DMH-SF700 自身にビルトインされたアレクサなので,DMH-SF700自体がWi-Fi経由でインターネットに出られる必要があります.これも面倒なのですが,百歩譲っても,このアレクサを使う気にはなれません.
具体的には DMH-SF700 の音声入力ボタンを押して,「アレクサ,お気に入りの曲をかけて」といっても,.com アカウントの視聴履歴(使ってないからそんなのはない)を参考に音楽再生をしようとするため,自分の作ったプレイリストや視聴履歴に基づく My BGM 的なものが一切活用できません.当然,.co.jp 環境で作ったスキルとも連動はできません.
完全にゴミなので,Wi-Fiをオフにするんですが,今度はディスプレイオーディオがアレクサに接続出来ないとエラーを連発.アレクサを設定解除しようとしてもグレーアウトになって解除できないという・・・(Wi-Fi接続されていないと解除できない意味不明な仕様).
これを目当てに上位機種にしただけにガッカリしました.

意地でもアレクサを使う

みなさんおわかりですね.従前の Amazon Echo Auto を再度使います.アレクサの機能は全部 Echo に任せるということです.
この試みは概ねうまくいったのですが・・・なんとAndroid Autoでナビ中などに,次曲ボタンが押せません.正確に言えば押すと,アレクサにお願いした曲の次でなく,Android Auto が認識している(過去にAmazon Music等で再生していた)プレイリストの次の曲が勝手に再生されてしまいます.なぜ・・・.

DMH-SF700(というかAndroid Auto)はつまりこういうことなんだろう(FG/BGはフォア/バックグラウンドの略)

想像です.想像なのですが,要するに図のようになってます.
ディスプレイオーディオのメインメニューにConnectivity(Android Auto/CarPlay)やAlexa, Bluetooth, FM/AM とメニューがありますが,こいつらは画面および画面操作上,排他的な関係*7なんです.
つまりAndroid Autoを起動しているときは,画面はAndroid Auto対応のアプリしか操作も共存もできない.そして,Amazon Echo Autoのアレクサはスマホのアレクサアプリの操作にあたるのですが,残念ながらアレクサアプリはAndroid Auto非対応です.見かけ上 Android Auto対応の Amazon Music をアレクサが操作しているように見えるかもしれませんが,それはウラのライブラリや音源がAmazonのサービスとしてバックエンドで共通なだけであって,動いているのはAndroid Auto非対応のアレクサアプリなんです.なので,Android Autoの画面で操作をしてしまうと,Android Autoに対応した Amazon Music アプリの操作が始まってしまうということなんです.ううう.
すなわち,もしもEcho経由で流した曲を飛ばしたいとおもったらEchoに向かって「アレクサ,次の曲に」といって直接アレクサアプリを操作するしかないのです*8

Amazon Music も使いにくい

安全性を考慮してかもしれませんが,Android Auto画面でのAmazon Musicアプリ(要するにディスプレイオーディオ画面)では曲の検索はできません.前述のビルトインされたアレクサでは操作できましたが,個人の視聴履歴と紐付かないので使い物にならないでしょう.前項で述べたとおりで,Echo(アレクサアプリ)経由でもAmazon Musicの操作はできないので,Android AutoとしてのAmazon Musicアプリの操作性は最悪です.
回避法はないので,事前にAmazonMusicアプリ内にお気に入りのプレイリストをつくっておいて,それを選択するくらいしかありません.
あるいはスマホAmazon Music アプリ内にあるアレクサボタンで命令を出す.これならAmazon Music アプリ内の挙動なのでAndroid Auto内で動作します.

ユーザインタフェイス

いやー,ディスプレイタッチしにくいっす.これは DMH-SF700 の問題というよりはタッチディスプレイで操作を完結させているやつは全部同じ問題持ってると思います.
アプリによってどこをタッチすればいいのか,操作方法も全部違うし,なにより物理的なスイッチ(凹凸)がないんで,走行中に全く操作できない.ボリュームコントロールとかですね.ミュートもとても操作できない.スマホだって物理音量ボタンくらいはあるんだし,それくらいあってほしかった.音量やメインメニューなどの入力がディスプレイ最左部なんですが,運転席から遠くて使いにくい(もっとも,最右部にあっても今度は左手だから押しづらいみたいになりそう.せめて最下部か,ちゃんとボタンにすべきだった.)
ステアリングリモコンがあれば検討しましょう.ぼくは社外のスイッチをステアリングリモコン線につなごうかと思っています.ところで付属のビジーなリモコン何に使うの?コレジャナイ感がすごい.せめてスマートコマンダー的なリモコンであってほしかった.

あと文字入力でフリック入力できません.いまどきトグルかよ・・・!これもアップデートで対処してほしい.
目的地入力などの音声入力はわりと正確です(というかウラのGoogleマップが頑張っているのか?どっちだろう.DMH-SF700画面上で文字が変換されていくのでディスプレイオーディオ側なきもしますが・・・.).

全体的に操作は直感的にではなく扱いづらい印象.動作ももっさりで実に PIONEER らしい.

GPS 精度とか

これはまあナビ屋として培った技術があるので高精度です.車速パルスもあるし.・・・がアプリが使っているかは別・・・!
ぶっちゃけ走り出しはナビ画面がクルクルします.あとナビアプリの多くは後退処理とかちゃんとされてない気がします.リバース信号とかあるんだからちゃんと使えよ・・・!!*9

バックカメラ

DMH-SF700 はバックカメラリバース連動です.いやこれ重要!
AVIC-MRP770 はなぜかリバース連動じゃなかったんです.据え置き楽ナビサイバーナビとの差別化かもしれませんが車両が完全に止まってから都度ボタンを押さないといけないめんどくささ.これが解消されたのは大きい・・・!

バックギアにするだけで画面がかわる・・・おお・・・おお・・・・
そのほかのI/O

HDMIミラーリングがあるとうれしかった.もしあったら,SZ700(2DIN据え付け)買ってアルテッツァにも取り付けを検討するレベル.古い車は2DINあっても下の方にあって,ダッシュボードに据え付けたHDMIポップアップディスプレイにミラーリングするとかやりたかったんですよね.
ちなみに,RCAピンジャックでの出力はある模様?(そういう用途で使えるかは未調査)

まとめ

ようするにクセつよつよなんです.ガジェット好きとか突き詰め派でないと使えません.いっぱんぴーぽーには(マジで)おすすめできない.
個人的にはモノとしては面白いからしばらく遊べそう.

*1:PIONEER スマートループ対応ナビ車からインターネットを介して集められた混雑情報から渋滞回避を行える当時としては画期的な仕組み.しかし,利用者の多いGoogle AndroidApple iPhoneGPSログベースの渋滞回避ナビ,いわゆるスマホナビの普及で淘汰されてしまい,スマートループの精度はがた落ちに.

*2:たぶんFMラジオとか周波数帯違って聞けないだろうし,そもそも技術基準適合証明をとってない=違法電波利用になります.電波受信機も技適いるんですよ.

*3:悪いことはしてません.

*4:年式によって違うかもしれないけれど,すくなくとも2004年末製は運転席側にあった.

*5:AVIC-MRP770 は,実は車速パルスをとっていてかなり高精度.ぼくはポータブルナビ最強だと思っていた.渋滞さえしてなければ,首都高池袋~大井のくっそ長いトンネルでもGPS無しで完走できるほど.

*6:最近PIONEERが出したAndroidAuto対応ナビアプリ.

*7:フォアグラウンド・バックグラウンドの関係,というのが正しいか.

*8:ひょっとしたらスマホBluetooth で接続し AVRCP のコマンドを投げつけられるスイッチがあれば「アレクサ,次の曲に」とかいわなくてもいいかもしれません.それはそれで面倒なのですが.

*9:DMH-SF700がリバース信号をスマホアプリに提供できてるのかも謎ですが.