現像溶液づくり

本日はモノクロフィルム現像溶液の作り方について纏めてみます.
かなりいい加減な作り方なので,玄人お断り.

必要な溶液

モノクロフィルムファンの皆様には周知の事実ですが,モノクロフィルムを自家現像する場合,最低限次の溶液を作らなくてはいけません.

  • 現像液
  • 停止液
  • 定着液

現像液は,文字通りフィルムを現像するための溶液で,感光したフィルム塗料に色をつける薬剤です(ネガフィルムの場合).
現像が進みすぎると明暗がつきすぎたりするため,規定時間ぴったりで現像を停止させるために停止液を使い,その後,感光していないフィルム塗料を洗い流し,洗浄するのが定着液です.
(白黒写真の仕組み 写真の仕組み(3): 光と色とが詳しい.)

今日はこれらの薬品をいかに適当に作っているかを話すつもり.

薬品の値段

ぼくは現像液に Kodak D-76 ,定着液に Kodak Fixer を使うのですが,溶液は重いので粉末で買ってきて自宅で溶液にしています.
一方で,そんなに毎日現像しているわけではないし,薬品の酸化などを考えると 1L 単位で溶液を作るのがリーズナブルです.
ところがどっこい,Kodak のこれらの薬品(粉)って,1L 用袋がコスパ悪いのです.たとえば,D-76 だと, 1米ガロン(3.8L)用が千円ちょっとなのに,1L用はまさかの500円とかするのです.
当然,3.8L の大袋を買うに決まっていますよね?
しかし,困ったことに,袋には,3.8L を纏めて溶液にするように書かれているのです.

ぼくは粉末を小分けにする

これらの溶液には寿命があります.つまり酸化したりするのです.
ですから,週末 developer なぼくは 4L 近くの溶液を2ヶ月かそこらで消費することはできません.当然のように小分けにしています.

小分けの是非にはいろいろな意見があるようです.

699 :名無しさん脚:2013/04/13(土) 21:14:02.07 id:nhfkFOFD
じゃ、粉末が混合が均等じゃないって根拠や証拠はあるのかよ
半分使えば残りの半分は同じような物って考えの方が実用的だと思うがな

700 :名無しさん脚:2013/04/13(土) 21:35:58.25 id:ygGGYHpp
そもそも袋入り粉末薬剤は「一度に全て溶かせ」ってのが御約束じゃなかったか・・・

701 :名無しさん脚:2013/04/13(土) 21:43:15.25 id:Z7aE8v1n
>>699の非科学的な性格に惚れるわ
おまえ血液型O型だろ!血液型なんて非科学よ!

760 :684:2013/04/19(金) 12:08:06.96 id:QVOpSBc2
なんでみんなしてこんなエキサイティングしてんだw

個人的には小さいパッケージ単位で小分けされてる製品ならともかく
一袋に数十から百数重グラム入ってるパッケージで半分に分けた場合の
全体での濃度分布の誤差なんかぜんぜん気にせんわ。
それよりも、現像する量の関係で液がくさって後から現像したフィルムに
影響出るほうが困る。

763 :名無しさん脚:2013/04/19(金) 16:53:58.49 ID:+J3mS8CV
どっちでもいいんだよ。オレのネガじゃないし。
問題ないと思うなら、それでいいじゃん。
ヤベえよって思うなら全部溶けばいいだけの話。

オレ?全部溶くよ。そもそも1ガロンとか買わないし。

http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/camera/1310752689/

エキサイトしすぎだよおまえら.
4L を 1L に小分けしたところで,粉末の混合薬品が均一に小分けにできてないかもしれないけど,それ以上に現像時の攪拌や微妙な温度変化のほうが影響でかいと思うし,ぼくは小分け 1L 溶液を作るのに何の疑問ももってないし,それで結果に差が出たと思ったことも一度も無いです.そもそも今時分,PC に取り込むわけだし,そのときの風合い変化のほうが大きいわけです.多少レタッチもするし.
実際,ぼくの感覚は >>763 に近い.ぼくは小分けにするけどね.

Kodak D-76/Fixer の 小分け

D-76Kodak Fixer は 3.8L ですので,1/4 ずつつかうと 950 ml と概ね 1L になります.ここでは,950ml 溶液の作り方について述べます.
表. 1/4 小分け例

薬品 3.8L用粉末量 950ml時粉末量 溶かし込み温度 溶かし込み時水量(950ml) 追加水(950ml)
現像液 Kodak D-76 415g 103.75g 50℃ 0.825L 0.125L
定着液 Kodak Fixer 700g 175g 26.5℃ 0.7L 0.25L

分量を全部1/4換算で考えます.
たとえば,D-76 の 1米ガロン袋は 3.8L 用で 415g 粉末が入っていますから,水を 950ml,粉末を103.75g と 1/4 にすればOK.

Kodak D-76 溶液作成例

1Lじょうご2つ,攪拌棒を用意しておきます.あと秤も.
今回は 1L じょうごが一つしかなかったので,もう一つは 500ml じょうごで代用.

1g 単位の秤がよいです.1g でいいです.0.5g とか誤差です誤差.

軽く袋を上下ひっくり返して攪拌した後,大体 103.75g になるように粉を出します.
今回は最後の1/4でしたので,袋から全ての粉をだしました.過去3回も同じように103〜104gになるように粉を分けていたので最終回でおおよそ 104g になったのは満足.これまでもきちんと量れていたことになりますね.
粉末が余っている場合は,できるだけ空気を抜いてクリップシーラーなどで密閉しておきます.(当たり前ですが,食品用とは分ける.)

50℃のお湯 825ml に溶かします.まずは最初の 500ml (手持ちの軽量じょうごに 500ml のものしかなかったから.)
えっ,グラムで計ってるじゃないか?って.誤差だよそんなの.水はだいたい 1ml = 1g です.じつは 1気圧40℃くらいだと,1ml = 0.995g くらいなんですが…*1

残りの 325ml のお湯をとり,825ml にします.
ここ,かなりいい加減な作業をしています.
まず,お湯の温度とか測ってません.たぶん40℃くらい.要はちゃんと溶ければいいわけです.なんでお湯でやるのかというと,早く溶解させて攪拌時間を短くしたいからではないかと思います.攪拌が長いと酸化しますからね.でも,知れているので適当なお湯でよいです.ただし熱湯はダメかもしれません.薬品が変質するとかあるかもしれない.

攪拌します.ここもいい加減数分攪拌して透明になってきたら良いことにしてます.
どうせこの後ジックリと溶かすために1日〜数日寝かすわけですし,どちらかというと攪拌に時間をかけすぎてゴミが入ったりするほうが嫌です.

攪拌が終わったら残りの 125ml を追加して 950ml 溶液にします.

いい加減なかんじですが,こういう作り方であまり困ったことはありません.どっちかというと現像の時の倒立攪拌とか温度管理とかのほうが大事.最初に 825ml 入れて攪拌後 125ml とか別に守らなくてもいいです.要するにちゃんと溶けて,950ml になればOK.
なお定着液の作り方はもっといい加減で,水を入れてかき混ぜてるだけです.こっちはどうせ定着後に回収して何度も使い回す溶液だし,キッチリと量るだけ無駄だと思ってます.

ところで停止液…

ぼくの場合は,停止液はクエン酸です.酢酸臭いので….
こちらの作り方も超いい加減.
クエン酸 15g を 1L の水に溶かしてシェイクするだけ.じつはグラム数とかも計って無くて,目方で 15g っぽい量を溶かしているだけ.これで困ったことなし.

他の溶液のこと

基本的に,現像液と定着液(と停止液)さえあればいいのですが,他にも水洗いを手早く済ますための富士フイルム 富士QW や乾燥時の水滴痕を軽減する富士フイルム ドライウェルも使っています.

富士 QW

基本的に富士 QW も適当でいいです.
なぜかというと,こいつも何度か使い回すものだからです.

ドライウェル

ドライウェルはある程度大容量で作った方がよいです.
というのも,キャップ一杯を2Lの水に溶かす,というような希釈率ですので,小容量だと気をつけて量らないと逆に水滴痕が残るような溶液になってしまいます.

まとめ

溶液作りなんて適当でいいです.
そんなことよりも一杯撮って一杯現像したい.

(Kodak Fixer 1米ガロンって通販でほとんど取り扱いがないんですね.衝撃….)