PDAでGPS比較

せっかく,PocketPCでもZaurusでもGPSを楽しんでいるのに,比較した結果,個人的な結論をちゃんと書いたことがなかったことに気づきました.というわけで,ちょっとずつ書いてみることにします.
といっても,適当に書いているので,文章としてのまとまりは マッタク ありません.はい,そこ,文句言わない(^^;

PDA性能比較

私が持っているのは次の機種.とりあえず,GPSを使うに当たり重要そうなパラメータを切り出しておきます.
PDA

Zaurus SL-C3100 Zaurus SL-A300 PocketPC hp hx4700
OS SHARP uLinux 2.4.20 SHARP uLinux 2.4.13 Microsoft Windows Mobile 2003 SE
CPU XScale PXA270 416MHz XScale PXA210 200HMz XScale PXA270 624 MHz
Memory 64MB*1 64MB?(実質32MB以下) *2 64MB*3
液晶 透過型 640x480(480x640) 反射型240x320 反射型? 480x640(640x480)
SD Card △ (1GBまで*4 ) × (1GBまで) ○ (2GB超)
CF Card
Bluetooth △ (要CF Card) × (現時点不可)
サイズ × *5

細かい仕様は,各社のWebページで確認してくださいな(ちなみに,ZaurusSHARPですよ.…知ってるか.).

比較するに当たり,特に重要となるのは,

  • 使いやすさ,
  • 良いGPSナビゲーションツールの存在(ハードウェア,OS性能の限界も考えて),

でしょうか.
これを考慮して,各行について思うところを書いてみます.

OS

いわゆる,Linuxで動作します.したがって,Linux中毒者は非常に使いやすいと予想できます(実際使いやすい).
ご存じのようにLinuxカーネルはライセンスの都合でカーネルや多くのアプリケーションのソースが公開されています.また,SHARPから,開発ツールも公開されていますので,PCにインストールされたLinuxを持っていれば,クロスコンパイラを使って開発できます.つまり,何を言いたいかというと,GPSナビゲーションツールが気にくわなければ,自分で書いたり,修正したりすることも可能です.カーネル部分にメスを入れることも可能.相当知識いりますけど.使い手を選ぶわけですね.
カーネルバージョンは2.4系列の比較的バグのとれた2.4.20で,安心して使えます.

こちらも,Linuxで動作します.SL-C3100との違いは,カーネルがちょっと古めで,2.4系列の2.4.13となっています.SL-C3100で動作するデバイスがA300で動作しないということはままあります.

使うの簡単Windowsです.私はどちらかというとLinux側の知識しかありませんので,よくわからないのですが,いじくるのはなかなか難しいのではないかと思います.いずれにしても,Zaurusに比べると,OSのブラックボックス的な部分が多いと思われます.

CPU

発売時期の問題やOSの違いもあって,比較が難しいのですが….基本的に値がでかいほどサクサク動きます.
SL-C3100hx4700は比較的サクサク動くと思いますが,問題は,SL-A300でしょうか.仕方ないので,オーバークロックという方が多いのではないかと思います.
Zaurusオーバークロックは比較的難しいのですが,A300はあまり情報が流れていないということもあって,ますますオーバークロックが難しいような気がします.できますけど.
PocketPC系はオーバークロックツールが存在します.(確か有料?)

Memory

まずは,注釈を良く読んでください.
さて,メモリはでかいほど良いです.実はSL-C3100はメモリ部分が独立していることもあり,安定して使えます.hx4700SL-A300はプログラムエリアと共存しているため,少々使い勝手が悪いですね.具体的には,ちょっといっぱいアプリをインストールすると,実行エリアがなくなり,起動できなくなるというジレンマ.Zaurusの場合は,swaponという機能を使って(要Linux知識),SDカードやHDDにメモリエリアを構築し,スワップアウトさせることができますけれど,hx4700は絶望的かな.3万円くらいでメモリを128MBに増設してくれる,非オフィシャルなサービスもあるようですが(保証は飛ぶ).

液晶

VGA透過型液晶を使っています.すごくキレイ.しかし,残念ながら,GPS用途には向いていません.
というのも,GPSは通常外で使うもの.しかし,透過型液晶は陽光の下ではほとんど画面が見えなくなります.
さらに,バックライトを弱くして,電池温存することはできても,多少のバックライトがないとまったく見えません.当たり前ですが.

QVGA反射型液晶を使っています.お世辞にもキレイではない.古いし.しかし,GPS用途に向きます.
反射型液晶は陽光の下では,バックライトなしでもよく見えます.
さらに,電源ボタン長押しで液晶への電力をほとんどゼロにすることができますが,その状況でも,光を当てればちゃんと見える.直射日光なら,バックライトありのときと違わぬくらいによく見える.すばらしい.

たぶんVGA反射型液晶です.
SL-A300ほどではないですが,昼間でもよく見えます.
SL-A300のように,電源ボタン長押しでバックライトを消すことができる.しかし,こちらは,直射日光下でもバックライトをつけていた方がよく見えるような気がする.

SD, CF Card and Bluetooth

GPSを使うためには,基本的にCFスロットを必ず使います.したがって,地図データはSDカードか内蔵HDDを使うことになります*6
動作する,CF型Bluetoothアダプタはあまり出回っておらず,現在はIBS JapanのCFBT02IやSocket製のアダプタが一般的? BlueZというアプリケーションを導入して,ほとんど無理矢理使います(参考: id:Hie:20060307 , http://gypsyblue.ddo.jp/cgi-bin/fswiki/wiki.cgi).
SDカードスロットでも使える…のかな?よく知りません.

GPSを使うためには,基本的にCFスロットを使います.
SDカードスロットにGPSカードをさしてもいいのかもしれませんが,そうすると地図を保存するところがありません.ので,論外.
ところで,CFスロットを制御するドライバが古すぎて,動作しないカードが存在します.とりあえず,パッチは当てましたので,これで解決することもあるかもしれません(参考: id:Hie:20060530).

CFスロットでも,SDカードスロットでも,Bluetoothでも,いずれでもGPSを使うことができます.
すごく便利!

サイズ

サイズに関しては,文句なくSL-A300がもっとも良いです.ちょっと厚みがあるのが難点ですが.
また,QVGAではダメなのでは?という意見もあるかもしれませんが,GPSは移動しながら使うもの.VGAだと逆に詳細すぎて,瞬間的に地図を把握できず,移動しながら使うには逆に不向きと言えます.
次いで,hx4700ですかね.ちょっと横にデカいですが,薄いです.
最後にSL-C3100です.デカイ,厚いと難点ありすぎ.

アプリケーション比較

左三つ(MadMaps, モバイルマップNavi, qpeGPS)がZaurus向け.右二つ(Pocket Mapple, MapKing)がPocketPC向け.

MadMaps SHARP モバイルマップNavi qpeGPS 昭文社 Pocket Mapple Ver.7*7 MapAsia社 MapKing
コスト *8 × *9 *10 × ×
地図の形式 ラスタ*11 ラスタ ラスタ ベクトル or ラスタ ベクトル
測地系 日本or世界測地系 日本測地系(世界測地系はバグもち) すべての測地系 日本or世界測地系 日本or世界測地系
トラックログ ◎ (NMEA生ログ) × (現時点バグ持ち*12.) *13 *14
エリア *15 *16 × or ◎*17
検索機能 × ×?? *18 × *19
ルート機能 *20 × ×?? *21 *22 ◎ (リルート可)
ナビ機能 × × × × ○(音声も可(英語))
ヘッドアップ機能*23 × × ×
マップマッチ機能*24 × × × ×
処理の速さ*25 × *26
地図の取得 *27 × *28 ◎ (市町村レベルで切り出せる) ○ (東京だけ)


さて,注釈の多い表を作り上げてしまったわけですが,個人的には,ZaurusならMadMaps,PocketPCは用途次第かな,とおもいます.
MadMaps(Hider's Nest)はJavaで動作するため,非常に重い上,メモリもドカ食いするのですが,重たいところはクロックアップ,メモリを食うところはswaponで切り抜ければ非常に使えます.なにより,作者様がやる気満々ですし.しかし,使うためにはそれなりのLinux(というより,もはやZaurusの)知識を必要とします.初心者お断りということなんですかね.ペッ.
要望でもあれば導入までの解説でも書いてみようかな…すごく大変そうだけど….
PocketPCのほうは,用途によりますね.カーナビとして使うなら,MapKing(よく知らないけどGrandMapNaviってのもあるらしい.),歩行や自転車,電車などで使うならPocket Mappleということでしょうか.

総じてPoketPCのほうが扱いは楽.しかし,基本的に有料です.Zaurusにも扱いやすいもの(モバイルマップNavi)は存在するけれど,バグ多すぎですな.しかも使えない.MadMapsはSL-C3100ならちゃんと動作しますし,非常に使えます.しかし,SL-A300ではCPUパワーもメモリも足りませんので,オーバークロックとswaponが欠かせません(ここいらも,要望があればやり方書こうかしら.).

ところで,PDAのナビアプリってほとんどWGS-84(世界測地系)に対応してますね.一つほどまぬけなバグ持ってるやつもありますけれど.ゼンリンなどにも見習わせたい.いつまで日本測地系でやってんだろ.

GPSとは直接関係ないですが,hx4700でPocketeMappleを使うと,PocketMapple(Ver.7限定)はなにげに軽いので,Bluetooth越しにWindowsMediaで音楽を聞きながらGPSを楽しむということも可能です.Zaurusにはできない芸当.そもそも,ZaurusではBluetooth越しに音楽を聴くこと自体不可能ですので.
SL-C3100なら,ただ音楽を聴きながらGPSを楽しむくらいなら可能です.SL-A300では絶望的.

GPSバイスはどれがいい?

IO-DATA社 CFGPS2 Globalsat社 BC-337 Globalsat社 BT-338
スロット CF CF*29 Bluetooth *30
フォーマット NMEA-183 NMEA-183 NMEA-183
チップ ? SiRF III SiRF III
測地系 日本測地系 世界測地系 世界測地系*31
感度 × *32
値段(円) 15k程度 10k程度*33 18k程度*34

Zaurusで使うなら,CFスロット型のほうが使いやすい.知識なんていらないから.ただし,例外的にBC-337はSL-A300で動作しません.それはシリアルを制御するドライバがあまりに古いからです.これはid:Hie:20060530で公開したカーネルで一応は解消されています.

一方Bluetoothを使うものですが,PocketPCは標準でBluetoothアダプタ搭載のものが多いですから,問題ないと思われますが,Zaurusは専用のCFアダプタを搭載する必要があります.しかもインストールはすごく面倒くさい.もっとも,先にも挙げていますが,やり方を書いているページはいっぱいありますので,簡単にできるといえばできます.しかし,これまたSL-A300では動作しません.なぜなら,Bluetoothアダプタが動作しないから.現時点で動作したという話は聞いたことがありません.

ところで,CFGPS2が出てきませんが,正直これを買ってしまった人はさっさと他の評判の良いGPSレシーバを買い直すことをおすすめします.CFGPS2は測地遅すぎです.

まとまりないけど総括

そろそろ時間なくなってきたので,勝手に総括します.
PCやLinuxに自信がない人は,素直にPocketPC(hx4700など)を選択しましょう.そして,BT-338のようなBluetooth型のGPSレシーバを購入し,PocketMappleなどで楽しくGPSライフを楽しむことをおすすめします.正直,GPSが第一です.という方は,文句なくこれ.
きーぼーどまにあな,SL-Cxxxx使いさんは,GPSはおまけ程度に考えた方が良さそうです.
SL-A300をひょんなことで破格ゲットできた人*35かつLinuxデキる人は,BC-337を買ってきて,カーネル入れ替えて,クロックアップして,swaponして,MadMapsを使うとよろしいでしょう.小さいし,
遊び心やチャレンジ精神を持ち合わせる人はZaurusでも楽しくGPSできる思います.私は正直楽しかったです.…もう疲れましたけど….

*1:プログラムエリアは独立したEEPROM約90MB.つまり,電池が完全に吹っ飛んでも,再起動するだけで消えないし,主メモリを逼迫しない.

*2:プログラムエリアと主メモリは同一のRAM上にある.カーネルで線引きしている(実質,メモリとして使える部分は32MBもない.).線引きはカーネル再構築時に自分で決めることもできる(要知識).電池がつきると,プログラムエリアがRAMであるため,初期化される.

*3:プログラムエリアと主メモリは同一のRAM上にある.したがって,電池がつきると初期化される.しかし,バックアップ電池があるため,そのようなことには滅多にならない.プログラムエリアと主メモリとの線引きは動的? なお,これとは別に128MB EEPROMもある.

*4:てつ 様のところで配布されているドライバを導入することで,2GB超できます.

*5:やや厚い

*6:Bluetoothを使うときも,外付けアダプタが必要なので,基本的にCFスロットを使う.例外的に,封印されているI/Oポート(ttyS0)にBluetoothアダプタをさし,CFスロットを無理矢理あけることもできるらしい.しかし,そのBluetoothアダプタはもう市場に出回っていないようだ.

*7:PC版 Super Mapple Digital Ver.7に付属する.

*8:SHARP モバイルマップNaviの地図を使うならモバイルマップNaviのコストがかかる.

*9:事前にダウンロードする.月500円の定額制.

*10:自分でラスタ地図を指定する.

*11:SHARP モバイルマップNaviの地図を使う.あるいは,自ら指定したラスタ地図.

*12:WGS-84(世界測地系)で利用しているとき,現在地は正しく表示できるのに,トラックだけは日本測地系で出力される.つまり,北西500mの地点にトラックが表示される.

*13:カシミール3Dで読める.

*14:他のソフトとの互換性がないため,トラックログの使い回しはききにくい.

*15:自分でラスタ地図を登録するわけなので,基本的にどんなエリアでも地球上なら大丈夫.

*16:都市部は割と精細.地方や過疎地帯は道路しかかかれていない.あと,小道などは微妙にズレていることがある.

*17:東京しかない.しかし,アジア圏の主要都市の多くが含まれるので,海外旅行好きにはおすすめかも? あまり詳細ではない.

*18:何かあるが,正常に動作したことがないため,検証不能

*19:英語しかない.

*20:POT形式をサポートするため,予めゼンリンマップなどでルートしておき,ルートをPOT形式で出力しておけば,それをオーバレイ表示することで,ルートを表示できる.PDA上でルートはできない.

*21:一頃,Mapfanから取得したラスタ地図を解析し,道路をベクトル化して,ルートするという拡張がなされた.現在はどうなってるんだろう??

*22:Super Mapple Digital Ver.7でルートしておき,その情報をPDAに入れておくとルートを表示できる.PDA上でルートはできない.

*23:進行方向を上にして地図を表示する機能.カーナビなどについているアレです.基本的にベクトル地図でないと実現が難しい.

*24:多少測地にズレがあっても,極力道路上にとどめて現在地を表示する機能.最近のカーナビはこの機能があるから,現在地がビルにめり込んだりしない.

*25:どれくらいほかのアプリケーションに影響を与えるか,ということ.

*26:GPSカードによって速かったり遅かったりする.バグを持っている説濃厚.

*27:手作業でダウンロードしてくる.ラスタ地図の位置調整は自動でやってくれる.Windows版をつかってダウンロードすると比較的楽.

*28:すべてが手動.地図を探すところから始まり,その地図が緯度経度どこのものか,尺度はどうなってるのか,など,細かい設定が必要.Mapfanからなら,自動ダウンロード&位置設定スクリプトが存在する.しかし,Perlの知識が多少必要.

*29:SL-A300はそのままでは動作せず.

*30:充電式,単独測位可

*31:強制的に日本測地系にできる

*32:PDAに直刺しするので,PDAからノイズを拾う説.

*33:台湾では5k程度

*34:台湾では10k程度?

*35:時々,電源はいらず.とかいって1000円くらいでJUNK売りされてます.単にあまりに使わなかったため,電池がヘタってるだけなのに….あとは接触不良かな.分解してチョメチョメするとなぜか直ったりする.コミュニケーションアダプタというCFスロット増設パーツが必要なのですが,こっちは4000円くらいするみたい.