圧縮上死点と排気上死点の理解は難しいようですね

1番シリンダの圧縮上死点の出し方で一番確実なのは1番シリンダのピストンを目視することだ!という風説があるようですね。
1番シリンダの上死点を見るには1番シリンダをのぞき込んでピストンの最上位位置を確認すればいいけれど、それはあくまで上死点(ピストンの最上位置)であって、圧縮か排気かはわからんのだけどな。。。もし、この方法で圧縮上死点と断定するなら、残りのシリンダの動きもチェックして、それぞれの位相を確認する必要がある。
タイベルがついているなら、吸気・排気のためのバルブ管理(バルブタイミング管理)をしているカムシャフトの回転位置を確認するほうが筋がよろしい。
ポイントは、

  • クランクシャフトは720度回転で1サイクル、
  • カムシャフトは360度回転で1サイクル

です。
つまり、カムシャフトの合いマークは360度に一回合うから、ここだけ見ておけばいいんですよ。。。
少なくとも、普通の4ストロークエンジンはそう。
タイベルがちょんぎれてしまったりしたら、諦めて全ピストンの位置を確認しないといけないですけどね。

4ストローク機関 - Wikipedia
ここに出ているアニメーション画像を見てもらってもわかるように、1サイクル4ステップ(吸気、圧縮、燃焼&膨張、排気)を一周するのに、クランクシャフトは2回転720度まわっているけど、カムシャフトは360度しかまわってないでしょ。ですから、4ストロークエンジンならカムシャフトだけ見てればいいんです。
ちなみに、圧縮→燃焼&膨張 の切り替わり部分が圧縮上死点で、排気→吸気の切り替わり部分が排気上死点です。圧縮→燃焼&膨張の瞬間と排気→吸気の瞬間をみると、クランクシャフトの位置は同じですが、カムシャフトは180度しか回ってませんよね。

てなわけで、タイベル交換のとき等に1番シリンダの圧縮上死点を見たいなら、カムシャフトの合いマークだけしっかり見ておけばよいのであって、クランクシャフトの合いマークを見るのは矛盾がないか確認しているに過ぎません。ましてや1番シリンダの位置を確認するなど、クランクシャフトの合いマークを見ているのと何ら変わりません。
インテークバルブステムとかまで見れば話は別ですけど、それを制御してるのはカムシャフトのロッカーですからねえ。やっぱりカムシャフト見ろってことになっちゃいます。

おさらい

  1. カムシャフトの合いマークOK ⇒ 1番シリンダのバルブ制御部分が圧縮→燃焼&膨張 の切り替わりの瞬間であることを保証
  2. クランクシャフトの合いマークOK ⇒ 1番シリンダが上死点にあることを保証

したがって、タイミングベルトが正しく取り付けられているとき、カムシャフトの合いマークOKなら確実にクランクシャフトの合いマークOKになるので、1番シリンダが圧縮上死点であることを保証しています。
さらに、タイミングベルトが正しくついていれば、圧縮→燃焼&膨張の切り替わり(つまり1.のとき)は、必ずクランクシャフトに連動している1番ピストンが上死点になっているので、2.も成立しています。したがって、カムシャフトの合いマークだけみてればいい。