アルテッツァ AS200 クラッチ異音解消

概要

まだ購入してたったの2ヶ月なのに,早くもクラッチに異常発生です.

動画のように,クラッチを踏むたびにキコキコうるさいんですよね!
いつも鳴るわけではなく,乗っていてしばらくすると鳴り出す感じです.

今回はこれを対処してみましょう.

作戦

整備書をみると,トランスミッション(というかクラッチハウジング)にフォークが刺さっている向きが逆です.あれ?とおもってネットで教えてもらったのですが,GXE10 の場合,レリーズフォークは助手席側からトランスミッションに刺さっているようです.SXE10 (RS200) の場合は,運転席側にレリーズシリンダやフォーク一式がとりついています.

さて,異音についてですが,レリーズシリンダそのものが異音を出すこともあるらしいのですが,今回はトランスミッションの中で鳴いているように聞こえます.
とすると,一番ありうるのが,通称ピボットとよばれるクラッチレリーズフォークサポートの摩耗による異音です.てこの原理でフォークを支えているのですが,ここのすり減り&グリス切れにより異音が出ている,というパターンですね.
ほかにも,

  • フォークの先っちょ部分,すなわちフォークとハブベアリングが接している部分も摺動部なので異音が出うるし,
  • レリーズベアリングそのものがフォークに押されてスライドするときに異音を出すこともあります.

ただし,今回はエンジンを止めた状態でも異音が出ているので,ハブベアリングのベアリング摩耗による異音ではなさそう.

できれば,フォークの全摺動部をグリスアップしたいところですが,フォークの先部分はアクセスできそうにありません….ブーツをめくったあとで,誰かにクラッチを踏んでもらってフォークを押し込めば見えるのかもしれませんが,ちょっとめんどくさそうです.

というわけで,今回は,ピボット(クラッチレリーズフォークサポート)部分だけグリスアップすることにします.
使うグリスは,

です.
前者はペースト,後者はスプレーです.
前者だけで良いと思いますが,作業中万一ピボットにアクセスできなかったときのために,スプレーも買っておきました.
なお,本来はトヨタ純正クラッチレリーズハブグリースを使うのが正義です!共販で1300円くらいなんでしょうか?今回はいくのが面倒だったので,汎用品で対応しました.

作業

1. 後輪に輪止めして,フロントをジャッキアップ&ウマがけします.
2. フロアカバーNo2(手前ではなくミッションを保護している奥の方)を外します.M10ボルトのみです.二つはフロアカバーNo.1と共締めのボルトですが,カバーNo.1を外すことなくNo.2を外せます.
3. クラッチレリーズシリンダを探します.AS200 の場合は,助手席側にあります.

蛇腹ブーツがついているのがレリーズフォークです.
4. 蛇腹が邪魔なのでこれを取り外すため,レリーズシリンダを外します.

クラッチフルードパイプを保持している部分は M10 ボルトx2,レリーズシリンダ自体はM12ボルトでトランスミッションに固定されています.
パイプを固定しているボルトはすぐに取り外せると思いますが,レリーズシリンダを固定しているボルトの取り外しは,パイプが邪魔をして,結構しんどいです.あまり無理に力を入れると,パイプが折れてクラッチレリーズシリンダの交換になってしまいます….細身のM12のメガネがあればなんとかなると思います.
その他,写真では陰になって見えていませんが,クラッチフルードホースがクリップで車体に固定されているので,これも,プライヤーなどで引っ張って取り外します.固いときは,マイナスドライバー+ハンマーで打ち出してもいいとおもいます.
当たり前ですが,レリーズシリンダを取り外した状態でクラッチを踏んではいけません.油圧でクラッチレリーズシリンダのピストンが飛び出してしまいます.そうなると,フルードの入れ直しやエア抜きなどの作業が必要になりますし,その間車を動かすことはできなくなります.
5. 蛇腹ブーツをめくります.

6. ピボットを確認してグリスを串や細いヘラなどで塗り込みます.

ちょっと暗くてわかりにくいですが,ピボットが見えています.
レリーズフォークを逆方向に押して少し接点を浮かせてから,グリスを塗り込むといいでしょう.あまり強く逆方向に押すと,フォークを止めているピンが外れて,クラッチハウジング内で脱落する可能性があるので注意!もしそうなったら,もう,トランスミッションを下ろすしかありません.
人によっては,ここでブレーキクリーナーなどで洗浄する人もいますが,グリスが流れてクラッチのほうに流れていくとえらいこっちゃですので,おすすめしません.同じ理由でピボットが見えないからと闇雲にグリススプレーを吹きかけるのもよくないです.
ぼくは,串でちまちまと古いグリスまみれの金属粉を落とさないように回収し,新たにペーストグリスを塗りつけました.最後に,軽くスプレーグリスもピボットめがけて一吹き.
7. 元に戻して完成です!

シリンダを取り付ける前に,シリンダのブーツも捲り,シリコンスプレーをプッシュロッドとピストンの当たり面にかけ,また前述の二硫化モリブデングリスをレリーズフォークとシリンダのプッシュロッドの当たり面に塗布しておきました.
シリンダは取り外したときに,微妙に伸びているので,ピストンを少し押し込んでから組み付けます.なにげに大変です….
あと,蛇腹がなかなか入らなくて結構たいへんでした!!でも蛇腹を雑に取り付けると,雨などがクラッチハウジングに入り込んでサビになったりするので,がんばりましょう!

作業時間はジャッキアップなども含めて2時間くらいかな?

作業後も,しばらくキコキコ言っていましたが,小一時間たった頃には音がしないようになっていました.
エンジンをかけた段階でクラッチを操作しても,トランスミッションの中でインプット&カウンターシャフトが回り始める音がかすかに聞こえる程度になりました.
…さて,いつまでごまかせるでしょうかね??

追記

実のところ,この程度の対処だと数ヶ月もするとまたキコキコなるようになってしまいました….
2019年の春過ぎにクラッチ交換のタイミングでフォークやピボットを交換しましたが,当たり前ですが,鳴かなくなります.