足回り整備

はじめに

我らが MINI R52 コンバーチブルS 6MT (2004/12生産)ですが,左前足から加減速時に異音がするのと各種ブッシュが切れ始めているので,交換をします.
結論から言うと,異音は治りませんでした.たぶんクラッチですね….ミッションだったらやだなあ….
あと時間と体力の問題でブッシュ類は全部交換はできませんで,

  • 左ドライブシャフト
  • 左インナーボールジョイント
  • 左シャフトシール
  • 左スタビリンク
  • 右インナーボールジョイント
  • 右 スタビリンク
  • ロアエンジンマウント(これはついで)

を交換しました.
おおよそ6時間ってところですかね.右側のシャフトシールや左右アウターボールジョイントも交換したかったのですが,時間切れ.シャフト交換だけなら,3時間弱ってところでしょう.

パーツリスト

hie.hatenablog.jp
ここらへんにだいたいまとまってます.
ロアエンジンマウントは入ってないかな.純正品番は 22116756406 ですよ.

交換作業

左右で同じところは省略してたりします.しかも,左右同時に進めているところもあったりするので,流れはわかりにくいです.ごめんなさい.


ハブナットです.
インパクトを持っていない人は接地中にこいつを外しておきましょう.
リフトしてからだとブレーキを踏んでくれる助手が必要になりますよ!
32mm HEX です.


マイナスドライバーやタガネで緩み止めを起こします.


32mm HEX はめてみた.
ぼくは念のため接地したまま作業しましたが,普通にインパクトで外れました.


両方外れたらリフトしてタイヤを外します.


ドライブシャフトを外すには,2つのアームを外す必要があります.具体的には,ロアアーム(一番下),タイロッドエンド(車両後方側)です.
この写真は右側のタイロッドエンドです.15mm HEX のナットなんですがボルト側に 5mm HEX の六角レンチなキーが緩み止めとしてついています.というか,足回りは基本的にほぼ5mm HEX の六角キーです.例外はインナーボールジョイントがT40キーなくらいですかね.


とりあえずタイロッドエンド側は上からインパクトが入るのでこいつで緩めます.インパクトがあれば運がよければキーなしで外せます.ですけど,ちゃんと六角レンチは買っておきましょう.インパクトでも供回りすることもありますからね.


ストレートのタイロッドエンドプーラーも準備してみましたが,ちょっとブーツが傷みそう(今回はタイロッドエンドは交換しない)なので,1kgの鉄ハンマーで殴ることにしました.ボルトが傷つかないようにナットをかぶせて保護してくださいね.
10回くらい近所迷惑したところ外れました.


写真は右側のアウターボールジョイントです.
こいつは 18mm HEX です.取り外し方はタイロッドエンドと同じですが,こっちは下側から外すのでレンチの回転方向に注意.あと僕が持ってるインパクトはデカイので入りませんでした.ちまちまと六角レンチとメガネレンチで取り外します.
このようなこともあるので,ちゃんと18mmのメガネ持っとくといいですよ.このアーム取り外し作業では15mm,16mm,18mmのメガネがあるといいですね.
ちなみに,YouTubeにある某有名動画では 17mm といっていますが,18mm です.しかしですね,社外品に交換されているとナットサイズが違ったりする(今回取り寄せた部品はナットサイズが違うものもの混ざっていた)ので,中古車両の場合は念のためこの周辺のサイズは全部そろえた方がよいでしょう.


ここまでくればナックルとシャフトを分離できます.1kgハンマーですこんすこん叩くだけで外れました.せっかくハブプーラーかっといたのにぃ.無駄になってもうた.


このタイミングでスタビリンクも外しておきます.
写真は右側スタビリンクの下側(スタビライザバー側).
16mm HEX…だったかなあ.こちらも六角キーつきなので頑張ってください.
シャフトを外しておけばショックアブソーバーごと回せるのでやりやすい位置でナットを回せるようになるんで,先にシャフトを抜くことをおすすめします.


こっちは上側(ショック側).外し方は一緒.


右側を全部バラしたの図.
左側も基本的に同じですよ.なので左側は省略.


ここらでギアオイルを抜いておきます.
ぼくは 6MT しか知りません.ATの方ごめんなさい.
写真はギアボックスのドレン(オイル排出側)です.写真には入っていませんがもう少し上奥方向にフィラ(オイルを入れる側)があります.
なんか8mm HEX(六角レンチ)だとかT50だとか,実はドレンが8mm HEXでフィラはT50だとか色々言われてるんですが,ぼくはT50でやってます.そもそもこの二つ,同じ品番ですしおすし.品番は 23127602815 です.海外だと六角レンチ8mmだと言われてるみたいですねー.どっちなんでしょ.E90 なんかにも使われているプラグなんですが,8mm 六角と言っている人が多いので,実は六角かもしれませんね.(どっちやねんO)


ちゃんとフィラが緩むことを確認してからドレンを開けます.
TAKUMI 80W-90 だったかなぁ… 10,000kmくらい走行でしょうか.きれいなもんです.


これがドレン&フィラです.


ドレンはこの時点で塞いでOKなので,シールテープを巻いて優しく締め込んでおきます.
ちなみにシールテープはねじ部より先にシールがはみ出ないように.剥がれてギアボックスに流れていっちゃいますよ.
フィラはゴミが入らないようにするために,とりあえずプラグを軽く締め込んでおきます.


左側のシャフトから抜き取ることにします.
その前に左コントロールアームとインナーボールジョイントを接続しているナットを外しておきます.21mm HEX でした.
このサイズのナットになると強めのインパクトか足回り専用の大型のレンチが必要です.
いちおうボルト側にも T40 のキーがありますが,インナーボールジョイントの本体(ブーメランみたいなやつ)の残り2本のボルトがとまったままですし,超固着してるのでこのキーを使うことはないでしょう.
といいますか,インナーボールジョイントの取り外しで,この部品の再利用は考えてはいけません.正攻法ではまず外れないから.取り外しで絶対に壊します.


左シャフトを抜きます.
というかですね,プライバーでつんつんしただけで外れてきてしまいました….


抜けました.うーん振ると多少カタカタはいうけど,そんなに痛んでないような気がするんだよなぁ…(冒頭のとおり異音はここではありませんでした.)


ミッション側はこんなかんじ.このシールも交換しとこうとおもって,シールプーラーを差し込んだけれど全く抜けない.
新品のシールをシゲシゲと眺めてひらめく.そうか,内側からシールプーラーで引っぺがすのではなく,外周(ツバ)をマイナスドライバーで剥がすんだ.
ちまちまやっていたらミッション側に大量にキズがついたけど,まあここにはオイルは触れないからまあいいか.
ある程度スキマができたらプライバーで引っぺがすといいです.固いんです.


新旧.
内側からシールプーラーでひっぱっちゃったんもんでボロボロです.


エンビ配管で外周を均等にコンコン打ち込みます.


さあ,インナーボールジョイントを引き抜きましょう!ぶっちゃけ本日の作業,ここが山場です.
(ここだけ写真撮ってなくて,これは右側のインナーボールジョイントです.)

ストレートで買っておいたボールジョイント用のフォークで殴りつけてもビクともしません.
たぶん100回くらいは1kgハンマーで殴りつけています.近所迷惑もいいとこ.


結局,思いっきり下からボルト側を叩いた衝撃で外れました.ジョイントブーツのボロボロ具合からがんばった感わかるはず.

ポイントは,コントロールアーム側の下向きボルトのナット(21mmのやつ)だけ完全に外し,ブーメランの左右にある16mm HEX は緩めて1cmくらい浮かせるくらいで完全に外さないことでしょうか.これによりハンマーの力がかかりやすくなります.
なお,助手席側にはセンサ(多分HIDヘッドライトのレベリングセンサ)16mm HEX ボルトに共締めされているので,こちらは先に取り外しておいた方が無難です.殴り壊しても困るし.またセンサのコネクタも外しておきましょう.


新旧.


16mm HEX はなんかサビがひどかったので,ラストリムーバーでちょっとだけお掃除.


とりあえず新しいインナーボールジョイントをつけてみました.
下側からはインパクトで留めてしまったので,T40 キーは使いませんでした.実は供回りするみたいな話だと,T40と21mm のメガネも必要になりますね….ここは未確認.


ところでシャフトはまだ差し込んでいません.インナーボールジョイント交換時にシャフト邪魔ですしね.
新しい左シャフトはDSS製.DSSは米国で$100とかで激安なのだ(笑)


右シャフトに移る前に,ロアエンジンマウントとパワステ冷却ファンを外しておきます.右シャフトは長いため昼間ジョイントがありまして,その固定を外すためにスペースを作りたいからです.
確か,16mm HEX です.(18mm HEX だったらごめん.)


冷却ファンは13mm HEX 2本でとまっています.外すとコネクタが現れるのでこちらを外しておきます.


手ぶれスマン.
右シャフトの中間ジョイントの固定部です.2本見えているボルト(13mm HEX)とこのウラに1本でとまっています.
これがですね,写真で見えている2本は楽勝(といっても言うほどスペースがないため,メガネでちまちま外さないといけない)なのですが,ウラのもう1本は本当にスペースなし.
メガネは入るんですが,ストロークを全然稼げません.ラチェットメガネで挑む人は,ギア数が少ないと回せないかもしれないので注意してください.
結局ぼくは,9.5sqのレンチを使いました.13mm のボックスレンチを短めのエクステンションで延長してシャフトをまたいで反対側から回しました.解決法が見つかればあとは頑張るだけ.


右側シャフトは中間ジョイントを外したら自分から抜けてきました.こんなんで大丈夫なんか….


こちらのミッション側はこんなかんじ.
本当はシール交換するつもりでしたが,そろそろ夕方になってきたためスキップすることにしました.後ほど理由を言いますが,右シャフトはまた近日中にバラしそうだからです.そのときでいいや,と.アウターボールジョイントも時間切れで交換してないし.


本日のメインディッシュその2.右側のインナーボールジョイント.まがまがしい感じです.下に見えている黒っぽいのはストレートで買ってきたフォークです.フォークは,ブーツのゴムを捲って出来るだけロアアームに押しつけてから打ち込みましょう.


こちらは,フォークでナナメ45度くらいで打ち込んだら外れました.とはいえ,50回くらいは近所迷惑したとおもいますが….


新旧.
安モンのインナーボールジョイントかったら,なぜか右側もセンサを留める穴がついてた(笑)ちなみに,ボルトもサイズが違って利用できず,ブーメラン部のみ交換しました.


ところで取り外した右シャフト.
…おや?


とりあえず見なかったことにして,取り付けていきます.
こっちは長いだけあって左側より入れにくいですね.無理に差し込まず少し回したりしながら差し込み,グイグイしてるとスコンと入ります.この状態で13mm HEX ボルトで中間ジョイントを留められればOK.


ロアエンジンマウントも新品にしておきます.古い方はヒビが入りかけてますね.


この後スタビを取り付けたり,シャフトをナックルに戻したり,ロアアームやタイロッドなどを留め直していきます.
写真につけてるのはスレッドコンパウンド.次回の固着防止です.


最期にギアオイルを入れます.金欠につき,トヨタハイポイドギアオイルW(75W-90 GL4相当)を入れます.


あふれたら終了.1.5Lくらい入りました.
なお,チューブのサイズがぴったりだと,あふれてこず,チューブを抜いた瞬間大量にこぼれてくることもあるので注意(笑)昔やらかした.


完成.

まとめ

冒頭のとおり,当初期待してた異音は消えなかったんですよねー.でもシャフトが原因ではないことがわかったので少し安心しました.
とするとクラッチが怪しいのですが,基本的にはクラッチをハードにつないでトルクがかかると異音がでるんですが,1速とかで40km/hとか出しているときにアクセルオフでも出たりするんで,どこなのかがアタリがつかず.クラッチが滑っている可能性もありますが,加減速の瞬間1回しか鳴りませんからね.しかも加速で一回なると加速トルクではもう鳴らない.減速ないし後退方向にトルクをかけないと鳴らない.うーん,謎….

あと,右側シャフトブーツに亀裂が見つかりました.まだ穴は開いていないので,ブラックシーラーで補強しましたが,まあ時間の問題でしょう.中間ジョイント部のベアリング交換が死ぬほど面倒くさいので,ブーツ部分の交換ではなく,ASSYで交換しようかなーと思っています.米国で DSS が$110くらいでした.

乗り心地についてはたいした変化はなし.しいて言えば少しステアリングがクイックになったかんじ.たぶんマウント交換のせいですね.ギアオイルも少し柔らかくなったはずなんですが,別になんの変化も感じませんでした.違いのわからないオトコです.
というわけで,昼から午後いっぱいつぶした割には残念な結果でした.ま,車検準備ってことで.