はじめに
私は、毎週末一週間ため込んだ洗濯物を洗い、干し忘れて腐らせるくらいの洗濯好きです。洗濯機にはちょっとうるさい。
などという大嘘はさておき、以前のエントリでも紹介したとおりなのですが、Panasonic のドラム型洗濯機を購入しました。
私の住んでいるアパートは単身または夫婦程度が居住できる 1LDK 住宅で、設置条件が厳しいとされるヒートポンプ式ドラム型洗濯機の導入には大きな課題がありました。しかしながら、無事設置もでき、これまでの縦置き洗濯機の頃と比べ大変便利となっていますので、ヒートポンプ式ドラム型洗濯機を購入しようとしている諸兄諸姉の参考になればと思いエントリを起こします。
ヒートポンプ式ドラム型洗濯機のススメ
kakaku.com などを眺めていれば様々なレビューがありますが、ドラム型洗濯機の選択・機種選択に際し、私が注目したのは概ね次のようなところです。
- 我が家に設置できる(当たり前か)
- 完全に衣類乾燥できる: 私は洗濯物を干すのが面倒で大嫌いですし、妻も仕事を持っているため、洗濯を押しつけるわけにはいかない
- 上記の条件を満たし、できるだけ洗濯可能容量の大きなもの
上記の条件を満たすだけなら、縦置き洗濯機であっても、乾燥機能付きのものも多少ありますし、別途乾燥機だけを購入してもよいわけです。しかしながら、ものぐさな私としては、ボタン一つで全部終わらせてくれる洗濯機が理想であったため、ヒートポンプ式ドラム型洗濯機を選択しました。乾燥機能の実現方式は様々あるようですが、一番パワフルだと思われるヒートポンプ式であれば、ほぼ完全に衣類乾燥させられるのではないでしょうか。我が家では、今のところ生乾き事件などは起きていません。
ドラム式洗濯機のメリット・デメリットですが、概ね下記のとおりだと覚えておくとよいでしょう。
- メリット
- 乾燥機能に対応している機種が多い
- 水をあまり使わない
- デメリット
- 横幅及び高さが大きく、設置条件が厳しい
- たたきつけ洗いであるため、生地がやや傷みやすく、色抜けやそれに伴う色移りが起きやすい
- 洗濯後、生地がシワになったり、ゴワ付きやすい傾向にある
デメリットの方がインパクトが大きいように見えますが、私はこのデメリットを考慮にいれても、完全乾燥できるドラム式を推します。
また、デメリットのうち、色移りは少なくとも我が家では経験したことがありません。そもそも、色抜けするかもしれない生地は縦置き洗濯機時代から別に洗っていましたし、そこに不合理を感じていないからです。
シワやゴワ付きですが、最新式のドラム洗濯機で上位機種であれば、シワ伸ばし機能やゴワ低減を実現する様々な機能*1がありますので、私はあまり気にしていません(私がいい加減なだけかもしれません)。ただし、綿パンやワイシャツには、それなりにシワがでます。特に綿パンを乾燥すると許せないレベルのシワになります。ワイシャツは、独身時代であれば、気にせず着ていくレベルのシワがつきます。
Panasonic ドラム洗濯機の選択
前節のような考えのもと、私は Panasonic NA-VX7200R-W を購入しました。これは昨年から今年にかけてのモデルですので、既にほぼ市場から姿を消しています。しかしながら、マイナーチェンジを繰り返しておます。NA-VX7300シリーズがその後継だと思われます。この手の商品は概ね秋頃にマイナーチェンジしますので、夏〜秋ごろを目処に在庫処分品を買いたたくのが正解です。
以降、Panasonic 製品について詳述していきます。私は Panasonic しか検討していないので、その他のメーカーのことは何も知らないからです。なぜ Pansonic を選んだかというと、私は白物家電は National*2だと信じて疑っていないからです。これは私がそう思っているだけで、本当に Panasonic が他社より優れているかは知りません。
さて、Panasonic のドラム型洗濯機を選ぶポイントですが、皆様は次のようなところを気にされるのではないでしょうか?
- ドラム型洗濯機のサイズ
- 乾燥機能の乾燥方式・優位性
- 扉の開閉方向
サイズについては、特に重要課題でありますので、別に章を割いてコメントします。
乾燥機能は主に、ヒーター式とヒートポンプ式が採用されています。個人的にはヒートポンプが一押しだし、これで困ったことはありません。
ヒーター式は熱風で乾燥させる方式です。公式カタログにもありますが、高熱のため、生地が傷むようです。
一方ヒートポンプ式は、除湿されたやや高温の風で乾燥させます。
細かいことははしょりますが、ヒーター式は高温による乾燥、ヒートポンプ式は除湿による低温乾燥と思っておけばだいたい合っています*3。
扉の開閉方向も気になるところです。Panasonic のドラム型洗濯機の場合は、左開きの機種は機種名の末尾が L 、右開きのものは R となっています。これは設置する場所の都合や好みですが、L の方がよく売れているようですね。
ドラム型洗濯機のサイズ
Panasonic ドラム型洗濯機のサイズは社内規格化されていて、
- トールドラム*4
- レギュラードラム
- プチドラム
に分かれています。
ドラム型洗濯機のサイズを気にする人は概して「本当に設置できるだろうか?」ということを気にしているのだと思います。少なくとも私はそうでした。
「うちは単身者向けアパートだから、プチドラムしか入らないんじゃないだろうか?」と気にされる方も多いと思います。しかし、何も知らずにそのように判断するのは早計だと考えています。
いや、何もプチドラムが絶対ダメだと主張するわけではないのですが、プチドラムは廉価なモデルばかりで、乾燥機能などの性能に不安が残るのです(実はプチドラムでも完全乾燥するなら、この意見は的外れではありますが)。可能であれば、レギュラードラム以上にしたいところです。
さて、なぜ最初からプチドラムを検討するのは早計と言っているかというと、実は、Panasonic のドラム型洗濯機の設置幅はどれも大して変わらないからです。つまり、プチドラムが入るなら、トールすら入ってもおかしくないからです。逆を言えば、プチドラムですら大きいということでもあります。
注目すべきは、足の位置です。足さえ入れば、高さなどは何とかなったりもするのです。特に、防水パン(洗濯機の置かれているトレイ状のもの)が設置されている家屋では、足の位置が重要です。
比較してみましょう。
レギュラードラム | プチドラム | |
横幅(足) | 584mm | 589mm |
奥行き(足) | 525mm | 531mm |
衝撃的なことに、足に限って言えば、プチドラムの方がレギュラードラムより場所を取ることが分かります。
(詳しくは、総合カタログでも読んでください)
足以外で大きく異なるのは、高さと、お腹部分の前面せり出しでしょうか。三次元的にはプチドラムはスリムと言えますが、これくらいは我慢して設置できる人は多そうです。少なくとも我が家では我慢して使えています。
以上から、いきなりプチドラムを選択するのではなく、
- 足が入るか、
- 三次元的な空間の占有が壁への接触や通路へのせり出しにどう影響するか
をよく脳内シミュレーションしてから判断するとよいでしょう。
防水パンが設置されていて、そもそも足が入らないケースについては後述します。
なお、トールドラムはレギュラードラムの背を高くしただけですので、足の条件や幅・奥行きはレギュラードラムと変わりません。
もちろん,脚の設置幅はともかくとして,三次元的に入らないならプチドラムを選択せざるをえないケースもあるでしょう.とくに都内アパートなどでよく使われている,60x60cmの防水パンですと,パンそのものが壁や戸棚にはさまれていて,プチドラム以外に選択肢がないということもあるようです.
設置条件の見直し
前節では、設置できるサイズかを重点的にお話しました。ここでは、その他の課題についてお話します。
ドラム型洗濯機は縦置き洗濯機に比べ、幅広であることは先に述べたとおりです。同時に、ドラム型洗濯機はドラムがナナメ方向に向いており、背が高いことが特徴です。すなわち、縦置き洗濯機時代には気にならなかった、洗濯機をまたぐように設置している網棚などの家具や、洗濯機に水を供給する「水栓」が洗濯機に干渉する恐れがあります。
一方で、足の位置や防水パンとの干渉の都合で、洗濯機をかさ上げして設置するケースもあることから、高さについてよく吟味する必要があります。
まとめると、
ということです。最後の水栓の話は致命的だと思われるかも知れませんが、回避方法もあります。これは後述します。
洗濯機のかさ上げが必要となるケース
実はこの辺の話は過去のエントリ(id:Hie:20130908#1378659079)でも取り上げています。
かさ上げが必要となるケースは主に、防水パンの形状・サイズによるものと排水溝の位置や種類によるものに分けられます。
まず、防水パンの形状から述べましょう。
防水パンは、アパートやマンションでよく採用されている洗濯機の設置エリアで、万一漏水したとしても被害を最小限にするために設置されています。しかしながら、この防水パンのサイズがあまりに小さいと、ドラム型洗濯機の設置が出来ないケースがあります。これが理由で諦めている人はそれなりにいそうです。
- 防水パンが小さすぎて、足がはみ出る
- 防水パンに足ウラは入るものの、上部の足が太っている部分や洗濯機本体の三次元的なせり出し部分が防水パンの側壁に干渉する
前者は悩みます。このケースの解決法は、防水パンを取り除くか、防水パンの側壁を乗り越えて(跨いで)足を設置するしかありません。このようなケースを解消する DIY な小物も探せばありそうですし、自作もできるでしょう。しかしながら、洗濯機が防水パンの側壁を乗り越えてせり出すわけですから、果てしなく邪魔にはなるでしょう。通路幅や洗濯機のドアがちゃんと開くかも心配になります。
後者は、洗濯機をかさ上げするためのフロアーあて板が販売されていますので、防水パンに干渉しないところまでかさ上げすれば問題ありません。
一方で、排水溝の都合でかさ上げが必要となるケースもあります。これは、排水溝の配管(排水エルボ)が洗濯機に干渉する場合です。これは、特に防水パン内に洗濯機をかさ上げするための足置きがない場合に考慮しなくてはいけません。
本件は、総合カタログでも注意事項として記載されています。
総合カタログの27ページです。
大変わかりにくいのですが、下記のように理解しています。
- 排水溝が真下にあり、かつ背の低いエルボがある ⇒ 何もしなくてもよい
- 排水溝が真下にあり、かつ背の高いエルボがある ⇒ かさ上げ必要
- 排水溝が真下にあり、かつエルボがない ⇒ かさ上げしなくてもおそらく大丈夫だが、真下排水ユニットが必要
背の低いエルボは洗濯機と干渉しないケースを、背の高いエルボは洗濯機と干渉しうるケースを指しています。この判断は総合カタログの計算式で判別してください。
ちなみに、我が家は、排水エルボの背が高いうえ、排水エルボがちょうど足付近にあり、一般に販売されているフロアーあて板によるかさ上げすら困難という大変困った状況でした。しかし、かさ上げの仕方を工夫して、設置できています。(id:Hie:20130908#1378659079)
洗濯機上部が水栓と接触するケース
洗濯機の上部が水栓に接触する場合、その水栓の位置を変えるしかありません。築ウン十年の家屋でもない限り、水栓は根元から交換できますので、壁を這うような水道管を新たに設置して、水栓の位置をずらしましょう。
Panasonic が推奨する 壁ピタ水栓 CB-L6 なるものが発売されており、これを使えば、壁を這わせて水栓をずらすことが出来ます。
詳細は、id:Hie:20130908#1378659079 をご参照ください。 ググってもこの手の話は山ほど出てきます。
注意事項としては、ギリギリ設置をしているときは、背面が壁方向に10mm程度壁方向にせり出しているため、壁に這わせている配管とはいえ接触の恐れがあります。壁ピタ水栓は、壁にぴったりといっても、本当にぴったり設置ができれば20mm、実際には25mm〜30mm強壁からせり出します。もっとも、洗濯機背面の出っ張りは上部では引っ込んでいくので、水栓の根元位置が上部にややかかるくらいであればおそらく大丈夫なのではないでしょうか。これは家電店で現物を確認するしかありません。
洗濯機の搬入から設置まで
レギュラードラムの場合、本体だけで 80kg もあります。従って、ドラム型洗濯機を自力で設置するのはかなり大変です。最低でも男2人、できれば3人ほしいところです。そして、おそらく搬入時に通路や本体にキズをつけることになりますので、出来るならプロに依頼しましょう。
搬入経路で気をつけるべき事は下記の通りです。
- 搬入道路から、エレベータ、玄関等、設置場所までのドア全ての経路で、本体の最大奥行きサイズの+10mmが必須です。可能であれば、+20mm。
- 上記通路で洗濯機の転回が必要な場所は、最低限、mm(d: 最大奥行きサイズ, w: 最大幅サイズ)程度の余裕が必須です。
通路のドアなどはドアを開けた状態で幅をチェックしましょう。ドアをしめたままでは実際の通路幅がわかりません。また、ドアを取り外すことで、より通路幅を広げることもできます。
水栓の交換や、かさ上げが必要であれば、洗濯機の搬入前に準備するか事前に搬入業者に連絡して対応を相談しておきましょう。
まとめ
ドラム型洗濯機の布教のため、入信方法をまとめました。
入信のあたり、
- ドラム型洗濯機導入による効果、
- ドラム型洗濯機の選択の仕方、
- ドラム型洗濯機の設置判断の仕方、
- ドラム型洗濯機の設置準備
についてまとめました。
特に、アパートなどで選択しがちなプチドラムは、足部分だけでいえばトール・レギュラーを含めた全種類の中で最も場所を取ることも指摘しています。すなわち、プチドラムは景品表示法における有利誤認表示*5であり、弾劾されるべきものだと強く主張しているのであります*6。
写真などはあまり撮っていませんが、掲載することはもちろんできますので、ご興味のあるかたはコメントでも残してください。
と、ここまで書いたところで洗濯物の乾燥が終わったようです。
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*1:私の持っている機種では、選択中にシワが生じにくい洗い方をするモードや、乾燥時にジェットを当てて延ばしたり、洗濯後も槽内でシワにならないように時々シワを伸ばすようなドラム回転を自動で実施する機能があります。
*2:かつて、松下電器系の電気製品のうち、家電系のものは National ブランドでした。もっと言うと、さらに前には、松下の電気製品は National ブランドで、オーディオやテレビなどが新ブランド Panasonic として発売されてゆき、最後まで National ブランドで販売されていたのが白物家電だったのです。
*3:もっとも、どちらもある程度の高温で水分を空気に取り込み、それを冷やして空気から水分を捨てているだけなので、原理は同じです。ただ、その効率が大きくことなり、ヒートポンプ式の方が低温空気で実現できた、ということなのです。
*4:ひょっとして廃止されましたか?現在のラインナップにありませんね。
*5:実際のものよりも、著しく良い商品であることを消費者に印象づけさせるような表示の仕方をいいます。半額セールと銘打っていながら、実際には手数料云々で割高になっているとか。
*6:嘘です。ですが、プチではないよなぁ…とも思います。スリム、とかならまあわかる。