スキーの滑り方 #1

スキーもすっかりオフシーズンになってしまいました.
やることも無いので,「スキーを始めたばっかりなの!」/「スキーをはじめてやるの!」という人向けに,ぼくが最低限スキーを滑れるようになるまでの記憶をもとに,「はじめてのスキー」みたいなのについて書いてみます.
ちなみにぼくは別にそんなに上手くないので,中級者以上の方は読んでも意味はありません.でも,初心者からなかなか脱却出来なかった人は,「あーあるあるwww」って思ってもらえるんじゃないかな?
このエントリの前半は,はじめてスキーをする人を対象としています.また後半では,インストラクター資格を持っているようなスキーヤーに教えを請うこともなく(請おうともせず?),自力で初心者を脱出しようとする(恥ずかし屋の)人向けに書いていきます.そう,君のことだよ.特に滑り方の後半は君のために書いてるんだからね?
嘘を言っていたら,こっそりと教えてくださいませ.ぼく自身は最初の一日以外で,誰かに実技を教えてもらったことは一度もありません.
写真とかも載せたいのですが,シーズンが終わってしまったので取りためていません.来シーズンに写真が撮れたらうpしたいと思います.

はじめてのスキー

スキーを始めるきっかけってだいたいこうだと思う

雪国に住む人は例外として,はじめてスキーをするのは親や友達に誘われて…というケースが多いのではないでしょうか.
親がスキー好きでスキーを始めた人は,たぶんこのエントリを読むまでもなく,すでに中級者以上になっているんじゃないでしょうか? こういう方は小さい頃からスキーに行っているので,親やスキー教室・合宿などですぐに滑れるようになるからです.
友達に誘われて,というケースでは,得てして初心者を脱却するのに時間がかかります.なぜなら,友達は初心者スキーヤーの面倒などいつまでも見てくれないからです.こういう方は,その大半が1回,また数回でスキーに見切りを付け,ゲレンデから去っていったり,また流行りに乗ってスノボに移ってしまいます.
私も御多分に漏れず,はじめてスキーをしたのは大学生のとき大学の研究室(ゼミ)合宿のときでした.今思えば,一度も滑ったことが無いのによく,「行く!」と言ったものだ….

ゲレンデに持っていくもの

はじめてスキーをする人は,とくに特別なものをゲレンデに持っていく必要はありません.どうせ何一つ用具を持っていないので,レンタルすればいいからです.小物も,スキーやボードをすでに趣味にしている友人から借りられます.
ただ,今後もスキーにいくぞ!という無謀なお考えの方や,もう逃げられない状態になっておられる方は次のアイテムを最低限持っていくと良いでしょう.

  • スキー/ボード用グローブ
  • スキー/ボード用ゴーグル
  • 防寒用帽子
  • 日焼け止め

特にグローブと帽子は持っておくとよいでしょう.なにせ(場所にもよりますが)レンタルものはなんだかへんな匂いがします.そう馬鹿高いものでもないのですし.安いものはどちらも2,000円くらい.
ゴーグルは初心者のうちはよっぽどの吹雪でもないかぎり,あまり使いません.ゴーグルって,スピードを出せるようになるとはじめて役に立つものです.もっとも目の保護という観点から,持っておいたほうがよいのですが….
ここに書いたもの以外は,ちょっと寒い地方に旅行にいくくらいの荷物を作っておけばよいです(北海道除く *1 ).

スキー用具の知識

スキーをするには最低限次のものが必要になります.
どれもレンタルショップで借りられるものです.

  • 防寒着
    • スキーウェア
    • スキー/ボード用グローブ
    • 防寒用帽子
  • スキー用具(いわゆる三点セット)
    • スキー板
    • スキーブーツ
    • ストック(ポール)

スキー板とスキーブーツの接続部分(ビンディング; バインディング)は国際標準*2で,メーカーに無関係に組み合わせて利用できます.
スキーの素晴らしいところは,このビンディングの存在です.スキー板に付いているビンディングはスキーブーツをはめ込むだけでがっちりとスキー板と足を連結してくれて,ビンディングの後ろ側についている出っ張りをストックで押し込むだけで,連結を解除してくれる優れものです.また,転倒したときに,その衝撃の度合いに応じて骨折を防ぐためにわざと連結を解除してくれたりします(解放機能).この解放機能のおかげで,スキーはボードに比べて足の骨折が少ないわけです.

さて,スキー板やストックの長さやブーツのサイズをどうするか…ですが,これはレンタルショップのおじさんに「初心者です!身長○○○cm, 体重○○kgです!足のサイズは ○○.○cm!」といえば選んでもらえます.
このとき,足のサイズはいつも履いている靴より0.5〜1cm小さいサイズを申告するとよいでしょう.最初はブーツのフィット感が分からないものですが,

  • つま先がしっかり奧まで入っている,
  • 足の甲の左右にすき間がないこと

を確認しましょう.ただし,側面などに強く当たっている場合は小さすぎ/合っていないので,お店の人にちゃんと伝えます.

ところで,はじめてスキーをするという女の子をレンタルショップに連れて行ったとき,「スキーブーツっていうから,普通のロングブーツをそのまま使うんだと思ってた…」と言われたことがあります.知らなかったら,確かにそう思うかも(笑)

ストックの長さもお店の人が決めてくれますが,これは実測します.

装着の仕方くらいは,お店の人や友達に聞きましょう!
ブーツだけ履いたら,ゲレンデへ出かけましょう.

さあゲレンデへ

白銀の世界へいらっしゃいませー.
ゲレンデに出る前にすることがあります.

  • リフト券を買う
  • スキーを身につける
真の初心者は一日券なぞ不要…ッ!

ところで,あなたははじめてスキーをしますか? スキーを教えてくれる予定の人はインストラクターのような確かな技術と教え込むだけの忍耐(教える方も大変なんだぜ?)を持っていますか?
もし,はじめてのスキーで,教えてくれる人がインストラクターでないなら,一日券を買う必要はありません.たぶん,一日かけてもリフトに5回も乗れないだろうからです.
回数券の設定があればそれを買いましょう.

また,リフト券を買う前に,ゲレンデの前でスキー板を装着してみて,30分くらい歩行訓練をしてみましょう.慣れの早い人(バランス感覚がもともと良い人ともいう)は,10分くらいで平地を歩けるようになるものです.平地移動できるようになったら超初心者コースに行っても死んだりはしませんので,安心してリフト券を購入します.

ところで,リフト券はもちろんリフトやゴンドラに乗るときに係の人に見せたり(回数券なら渡したり)するものです.ゲレンデにもよるのですが,リフト券にはいくつかの形態があります.

  • 半日券や一日券などの回数制限の無い券
    • 紙のチケット ⇒ 係の人に見せる
    • 電子チケット ⇒ リフトのゲートにかざす.イメージは SuicaPasmo といっしょ.
  • 回数券 ⇒ 使い切りの券なので,リフトの係の人に渡したり,回数券入れ(箱)にいれる.

いわゆる一日券などは,紙チケットが多いですね.ですので,チケットを入れるパスケースみたいなものを持っておくと便利です.ある程度上手くなったら買ってもいいですね.
電子チケットは長野の志賀高原スキー場や群馬の丸沼高原スキー場などで採用されていますが,あまり普及していません.システム維持費がかかるからだそうです.電子チケットはチケットそのものが高いため,券購入のときに保証金を1,000円とられます.帰宅する前にチケットを返却することで払い戻しを受けることができます.
また,この電子チケットの場合は何時何分にどのリフトを利用したかがわかりますので,チケットに記載されている認識コードを覚えておくと,専用のWebサイトで移動経路を確認することができたりします.

初心者はスキー板を履くところから苦労する.でもそれに絶望する必要はない

さて,いざスキー開始!といきたいところですが,たぶん最初はスキー板のビンディングにブーツをはめ込むことすらできないんじゃないでしょうか.つま先を差し込んで,かかとを踏みおろすだけなのですが,雪上ではバランスがとれず上手くかかとを踏み込めない人が多いのです.また,厳冬期の甲信越では雪がブーツの裏に付着するせいで装着が困難になったりします.
正直,最初,ブーツをなかなかビンディングに入れられない(><)というのは,初心者スキーの上手い下手(のびしろ)とは無関係なので,友達に手伝ったりしてもらいながら装着しちゃいましょう.たまーに「スキー板を履けないとか,おれスキー無理なんじゃね?」みたいに言う人もいますが,まあ,最初はそんなもんです.3日滑っても同じ状況だったらちょっとまずいですけどね.ごちゃごちゃ言っている暇があればさっさとスキーを装着して雪上でのバランス感覚を身につけましょう!バランス感覚が身につけばスキー板の装着は一瞬で出来るようになりますよ!

さて,スキー板を履けましたか? では,友達やインストラクターに連れ添ってもらってリフトに向かいましょう!

はじめてのリフト

知っておくと恥ずかしくないリフトの種類

一日券を見せる・回数券を渡すなどしてリフト待機場へ行きましょう.
はじめてリフトに乗るのは勇気がいります.上手な友人に横に乗ってもらいましょう.激混みでもない限り,できるだけ二人で乗ります.それがたとえ4人乗りだったとしても.
リフトにはいくつか種類があります.呼び方はおおむね下記に準じていますので,覚えておくとよいでしょう.

  • リフト系
    • ペアリフト(2人乗り)
    • トリプルリフト(3人乗り)
    • クワッドリフト(4人乗り)
    • (1人乗り)リフト ←まずないです(笑) 激レア.志賀高原の法坂第3リフトは一人乗りです.
  • ゴンドラ
  • ベルトコンベアー ⇒ 短い上り坂の移動
  • ロープトー ⇒ 短い上り坂の移動

初心者が乗ってもよいのは,リフト・ゴンドラ・ベルトコンベアーまで.ロープトーは使ってはいけません.ロープトーはグルグル回っているワイヤーにつかまって上っていくリフト(?)で,バランス感覚のない初心者は120%転びます.というより,ロープトーで転ばない=初心者卒業!でよいくらい.

さて,おそらく初心者が最初に乗るのはいわゆるリフトでしょう.リフトの種類は上記のとおりですが,トリプルリフトやクワッドリフトには,「高速リフト」と呼ばれるものがあります.特に,クワッドリフトの大半は高速クワッドリフトというものです.リフト名に「高速」と入っていたら,だいたいそう.
この「高速」とは,ズバリ,リフトの動きが速い.でも,実はリフト乗降口ではリフトが減速するように作られていて,高速リフトはその他のリフトよりゆっくり乗り降りできるので,初心者の皆様は是非ご活用ください.

リフトに乗る前に注意!

リフトに乗るときには注意すべきことがいくつかありますが,最も大事なことは次でしょう.

  • このリフトの行き先には初級者コースはあるか

これは最も大事なことです.事前にそのゲレンデに詳しい人に聞いた方がよいです.
いい加減な友人は「中級から滑っても大丈夫だよ!」と適当なことを言うかも知れませんが,やめておきましょう.確かに私もはじめて滑ったコースは中級者コースでした.しかし,初心者にとって中級者コースは崖にしか見えません.ゲレンデによっては(本物の)崖から滑落したりすることもありますし,実際そういうゲレンデは多いのです.
また,一度この恐怖を味わうと,二度とスキーをしたくなくなります.自分を追い込むのはもう少し上手くなってからでよろしい.
ちなみに,ボーダーの話ですが,今シーズン 会社で行ったスキー合宿に初心者の新人がいました(Mくんとしておきましょう).ぼくは幹事をしていたのでちゃんと面倒を見ていなかったのですが,Mくんの上席が,調子に乗って山頂まで連れて行ってしまい,最後はパトロールのお世話になるという事件が起きました.Mくんは二度と雪山には来ないと言っていて,なだめるのにはずいぶん苦労しました.結局,シーズン中にMくんの同期が熱心にボードに誘い,ボード教室に半日通うことでなんとかトラウマを脱することができたそうです.

余談です.
ぼくは中級者コースからスキーキャリアをスタートしましたが,その日はもう帰りたくて帰りたくてしょうがなかった記憶があります.スキーに連れて行ってくださった教授は「なーに Hie(私の名前)は頑丈そうだから,中級でも死にはしないよ.ちゃんとぼくが見てるからさ,いこうぜ!」と仰り,確かにしっかりとぼくを見ていてくれました.何往復目かのリフトの上からね.そう,ぼくが中級者コースを滑ることができず途方に暮れていたのを尻目に,教授や友人は好き勝手に滑っていたわけです.この日ばかりは帰りたいと思ったのですが,後日スキーを続けてやろうと思ったのは,「こいつらに目にもの見せてやる…!」と思ったからに他なりません.今ではそのメンバーの中では一番うまくなった自信があります.
ちなみに,その中級者コースは,志賀高原スキー場の丸池→蓮池に抜ける中級連絡コースとそこから分岐して降りる丸池Bコースです.

リフトの乗り方

さて話をリフトに戻しましょう.初心者コースがあることを確認したらいよいよリフトに乗ります.このとき,

  • 「初心者です!」と係員に伝える

ようにしましょう.係員は危険なときにはリフトを止めることができますが,予め声をかけておけば,(よく見ていてくれるので)転ぶ前にリフトを止めてくれます.降りるときのほうが難しいので,そこでもちゃんと叫びましょう.

リフトに乗るのは,簡単です.中腰になってリフトがやってくるのを待っていればよいです.
このとき,一つだけ注意するのは,ストックは中に浮かしておくこと.でないと,やってきたリフトの座席と地面にストックが挟まり,リフトに轢かれます.
ここだけ注意しておけば乗る方はまずOKですよ.
リフトに乗って足が地面から離れたら,安全バーを引き下ろして落っこちないようにします.この安全バーはペアリフトより小さいリフトにはあったりなかったりします.
他にも高速クアッドリフトには,待機場を抜けると自動で風よけのフードが降りてくるものもあります.でも,ご安心あれ,このテのものは降り口の直前で自動で上がりますから慌てずに.

最後にリフトを降ります.リフトの降り口には,「立ち位置」というリフトから立ち上がる場所が指示されています.この場所まできたら立ち上がります.
あとはゆるい下り坂になっているので焦らずに滑り降りていきましょう.本当に緩い坂だから大丈夫だとは思いますが,心配な人は後述の「はじめての滑り方: ブルークボーゲン」の項目を参照してください.
もちろん降りるときも,ストックをリフトと地面の間にはさまないように注意しましょう.

はい,はじめてのゲレンデコースにいらっしゃいませ☆

続きはまたこんど

*1:北海道のスキー場は-20℃とかザラです.かなりの防寒着が必要になります.

*2:正確に言えば,ドイツのDINで規格化されていて,これが事実上の国際標準になっています.