スキー事始め

年が明けて最初の日記です。

昨年のスキーシーズン末に初心者向けスキーの滑り方について書いていく!とかいいながら、全くもって何も書き進んでいません。
id:Hie:20120528 に #1 とか書いておきながら、たぶん、まとまった #2 を書くことはなさそうです。時間がないのです。
ですが、最近、ぼくには三十路を過ぎてはじめてスキーに挑戦するという希有な女性がおりまして、その子の上達の記録を取ることが出来る絶好のポジションにおります。
写真などは載せられないのですが、備忘録がてら、気づいたことをメモっていきます。
もちろん、生徒の女性とはぼくのヨメ(になる予定の人)です。
教え方のモットーは「1. 無理はさせない」「2. スキーの楽しさを覚えてもらう」「3. ゆっくりでもいいからぼくについてこさせる」です。今シーズンの目標は、「中級者コースを滑れる」です。日数は10日程度になると思います。

初心者の人に共感してもらうことを第一の目的とするので、初心者の人が分からないかな?と思う用語は適宜補足・注釈を書くつもりです。

ヨメ諸元

  • 性別: ♀
  • 高さ: 160cm代半ばとちょっと大柄
  • 質量: ご想像にお任せしますがヒョロやデブではないです。
  • 年齢: 四十路を目指す三十路
  • 出自: 南国育ちで雪が珍しい。運動はしない。

ぼく諸元

いらないかもしれないけれど、ぼくの諸元も。

  • 性別: ♂
  • 高さ: 171cm
  • 質量: デブ
  • 年齢: 三十路
  • 出自: 中国地方育ちで雪は珍しくなかった。でも親が南国育ちだったせいで、スキーを始めたのは大学院から。
  • 備考: ハゲ

整地ならパラレルターン*1できるくらいの中級者。
後ろ向き滑りが得意。たぶん、人に教えてきたからだとおもう。

経緯

ぼくがスキーが好きだからつきあわせている。そして、何となくついてきてくれていて、ぼくが勝手にスキーに行くのも(生?)暖かくみていてくれる。
12月に2度、スキー場に連れて行った。1月になって、既に1度。

(人生)初滑り

日にち: 12月15日
場所: たんばらスキーパーク@群馬
天候: 晴れ。乾雪。
人生初のスキー。ひょっとすると、もうやらないと言い出すかもしれないので、装備は全てレンタルで。
スクールに放り込む。まずは午前、調子がよさそうなら午後もというプランでスタート。
スクールに放り込むにはいろいろな理由があるけれど、最初滑れないうちに心が折れて「帰る!」と言い出さないようにするため。ぼくだと甘えて言っちゃいそうだったので。知らない人なら、「もう帰る!」とは言いにくいと計算。そのうち滑れるようになってきたら、ちょっとくらい転けても帰るとか言わないと思ったわけ。もちろんそんなのは言い訳で、ぼくが滑りたかったからである。

午前

平地での歩行、たんばらの最初級者コースである最下部のスロープ(ファミリーコース; 最大10度/平均5度)でプルークボーゲン(いわゆるハの字)を習ったらしい。転んだら起き上がるのに苦労するようだが、一応直滑降で滑れるようになったようだ。
たんばらの最初級者コースはボーゲンなんてすると止まっちゃうようなスロープだから安心だね!

午後

ちょっといやがっていたけれど、もう一度スクールに放り込む。ここでターンまで教えてくれると期待していたのだが、ターンの仕方は教えてもらったらしいけれど、おじいちゃん先生は「楽しくスキー」をモットーにしていたらしく、あまり挑戦させてなかったよう。したがって、ターンはほとんどできない。最初級者コースで一日は終わった。
ちなみに、最後に一緒に滑ってみたけれど、やっぱり最初級者コース以外はダメそうだと判断して帰宅。

総括

思ったよりスクールのおじいちゃんが甘やかしていたようで、プルークボーゲンの直滑降しかできない。
ただ、本人は疲れていたけど、それなりに楽しかったようでなにより。
二度目も行く!といっているので、後日、スキー用具を揃えた。
amazon で7000円くらいのウェアと、ビクトリアで1万円くらいの安物ブーツを調達。板は友人U氏の女の子用板(150cmちょい)をパクった。ポール(ストック)はぼくが予備を一本持っていたのであげた。でっかい子だから大丈夫そう。

1日目

日にち: 12月24日
場所: たんばらスキーパーク@群馬
天候: 晴れ。乾雪。
二度目。午後だけだけれど、この日はつきっきりで教える。
スキー板とブーツをあわせ、解放強度を3.5に設定*2
前圧の調整は出来ない板なので、適正かどうかだけをチェック*3

午後

最初級者コースのファミリーコースからスタート。やっぱりボーゲンの直滑降しかできない。この状態では、とてもじゃないけれど、もう一つ上にある初心者コースには連れて行けない。
というわけで、プルークボーゲンのターンを教える。これを読んでいる人はご存じの通りだと思うけれど、ボーゲンの場合、曲がりたい方向と逆の板を踏みつけると希望の方向に曲がる。
ぼくはスキーは理論だと理論派ぶっているので、片方の板に体重を載せると曲がる理由を解説した。

  • ボーゲンは、股を開いてハの字で滑る。
  • このとき、必ず板は若干外開きである。つまり、右足の板は少し左に傾いて、板のソール(接地面)は右側(外側)に向いているし、左はその逆。
  • 板が外開きで、進行方向にハの字なのだから、板は雪をかき分けようとしている。⇒ ボーゲンで減速できる理由はコレ。
  • 片足(ここでは右足にしよう)に体重を移せば、当然左足は雪をかき分ける力が弱くなる。一方右足はますます雪に食い込んでいく。
  • 右足は板の左エッジ(刃の部分)が雪に食い込んでいるので、右足は板の角度(左)へ進もうとする。⇒ 左に曲がる。

これさえ理解できれば、すぐに曲がれるようになる。ヨメは30分もしないうちに曲がれるようになった。ファミリーコース限定で。

図1 プルークボーゲンは雪をかき分けてブレーキをかけている

図2 右足に体重をかければ右足の左エッジが効いて、左に曲がる

ポイントは、

  • 体を変にくねらせたりしない
  • ターンのとき、ハの字の形は変えなくていい。あくまで体重だけ。
  • 親指に力を込めるように体重をかけること。ブーツのすね当てにすねを乗っけて体重をかけるとラク

ただ、初心者はやっぱり右足に体重をかけるとかいわれても、どうやって体重をかければいいのかわからないよう。いろいろと体をクネクネさせて体重を片方に寄せようとしているのだけれど、慣れない雪の上ではなかなかそうもいかない。そこで、ぼくがアドバイスしたのは、

  • 反対の足を少し蹴って、片方の足によっかかる

である。もちろんなんのアドバイスにもなっていないけれど、とりあえず、ファミリーコースでは曲がれるようなったようだ。
ちなみに、親指に力をかける、というのは、内側のエッジを雪にしっかりと押しつけて、コントロールしやすくするようにアドバイスした。

図3 とんと反対側の足を蹴ってみる。これが出来れば世話ないけど。

その後、より上部にあるチャレンジコース(最大16度/平均10度)に移動。このコースはリフトから降りて、最初にコースに出るところが最大斜度という困ったちゃんなコース。ヨメは「崖だ…」とか言っていたけれど、そんなことは初心者なら誰でもそう思っているので、気にせず突き落とす。
斜度が上がると、下で出来ていたことは突然できなくなる。なぜかというと、崖にしか見えないので、及び腰になっちゃうから。自分のボーゲンじゃあ止まらないんじゃないか…と思っちゃう。
及び腰になっているときによくされるアドバイスに「後傾になってる!もっと前傾に!」という言葉がある。
スキーというのは、板をどういう向きで、どのくらいの力で雪に角付けできるかで、滑りをコントロールする。その角付けを最も意識的にできるのは、スキーの前部なんだよね。というわけで、ビビって後傾(後ろに傾いた状態)になると、板の動きがバラバラになって上手くボーゲンの形を維持できなくなる。したがって、雪を押し分けることが出来なくなり、転倒となるわけ。
知っておいてほしいのは、後傾だとダメで、前傾だと良い、というわけではないということ。あくまで、上手くコントロール出来ているときは、前傾(というより中立)だというだけ。ビビったら、普通コントロールが乱れて後傾になる。だから、後傾になってるから前傾にしろ、というアドバイスは実に意味が無いと思う。
ぼくは、その斜度とスピードに慣れて、コントロール出来るようにがんばれ、くらいのアドバイスでいいと思ってる。
だから、ぼくは、ヨメには「いいぞ!」「やるじゃん!」「いけるいける!」くらいしか言っていない。ハタ目から見たら、松岡修造とかわらん。この頃は、上記の理論を教えて、適度な斜度でひたすらこの練習をするしかないと思う。
それだけで、2時間もしないうちに、ヨメはチャレンジコースを転ばずに降りてくるようになった。楽しかったみたい。

2日目総括、というかボーゲンの総括
  • ボーゲンは仕組みが分かったら、後は慣れ。
  • 「後傾になったから転んだ。前傾になれ。」というアドバイスは無意味。なぜなら、コントロールを失ったから後傾になったわけで、そんな状態で後傾から前傾に戻せるわけがない。
  • ボーゲンが出来るようになるとスキーは楽しくなる。

3日目

日にち: 1月12日
場所: 神立高原スキー場@新潟中越
天候: 晴れ。やや湿雪。
たんばら以外のはじめてのスキー場。

前日、ぼくの仕事がなかなかあがらず、10時に自宅を出発したため、13時〜16時半までの短いスキーに。

午後

ポルックス(最大12度/平均10度)を滑る。
まさかの退化。ポルックスもリフトを降りてすぐが最大斜度なのだけれど、その勾配変化がガケに見えるらしく「崖だ…」とかまた言ってる。たぶん、ポルックスコースは下まで丸見えだから、崖っぽさが際立つんだろう。突き落としてみたけど、全然ダメ。50m進むのに、20分近くかかった。
そのうち調子を取り戻して、ボーゲンの再確認を完了。30分以上かかった。二回目以降は転ぶことも無く、無難に。
4回目あたりから、ちょっと冒険して、初心者コースのあるなかで最上部にある、アンドロメダコース(最大25度/平均20度)へ。アンドロメダプロキオン(最大16度/平均12度)、そしてポルックスコースへ合流する。
アンドロメダコースは、初級者コースとしては斜度がある。もう少し狭かったりしたら、文句なしに中級者コース。でも、ここでも転ぶことも無くクリア。続く細めのプロキオン、そして最初のポルックスも転ばずにクリア。もちろん遅いんだけれど、転ばずにコースを一周できたことは自信になったみたい。
ハの字で滑ればどんなところでも滑れるわけではなく、曲がるという技術を加えてはじめていろいろな斜面を滑れるようになる。なので、斜面に対して斜めに滑る斜滑降と狙ったあたりでターンが出来ることが脱初心者の重要な条件。斜度に対して、適切なハの字の角度、ターンのための適切な荷重移動の程度を体得するのは経験しかない。転けた数は上達度合いには比例せず、あくまで実力に応じたゲレンデで、滑った量、ターンした数、雪の上にいた時間で上達度合いは決まる。
うちの子はとりあえず、ここまでは順調。

総括

三日目(滑った時間2日)にして、初心者ボーゲンはマスターしたといっても良いでしょう。初級者コースと名がついていれば、とりあえず、よっぽど狭かったり荒れやすいなどのワナのあるコースでもなければ大丈夫。思ったより上達が早いので、5,6日目には中級者コースに連れて行けるんじゃないかなと思ってる。

目標を聞いてみた

ラクに滑りたい。らしい。
だけど、事もあろうに、ぼくの滑り方(パラレル)が疲れなさそうだし、簡単そうだから、それを覚える。とか言っていた。
簡単…? これ習得するのに7年かかったんすよ、ぼく…。

*1:板を平行にしてするターンの総称。

*2:この解放強度というのは、転んだとき板がどのくらいの力で外れるかを決める数値。

*3:前圧調整というのは、板とブーツをあわせたとき、適正にブーツを固定するための調整のこと。これが適切に設定されていないと、前述の解放強度設定どおりに板が外れてくれなかったりする。