時間はかかるけれどパラレルターンをとりあえずできるようにする練習法

プルークボーゲン&シュテムターンまではできるけれど、パラレルに今一歩届かない人向け。
ぼくが実際にやった練習法です。みんなもシュテムをおさらばしてパラレルターンやろうぜ!!
といっても、ここで言っているパラレルってのは、「大回り」「内足を使った」パラレルターンです。もちろん、カービングターンにも影響あります。

概要

初級者コースでよいので、整地面を片足で直進できる程度のウデは最低限必要です。
ぼくも、スキーを始めて4年目あたりから、7年目くらいまでは、シュテムで中級者コースを普通に滑れるのに、パラレルができずもどかしい時間を過ごしました。あの手この手で練習しましたが、(ぼくには)効果があった練習法を紹介します。
それは、片足ターン。それも、例えば右足だけで左にも右にも曲がる練習。極端にいうと、右に曲がるときは右足で、左に曲がるときは左足で滑ります。

片足ターンの練習がパラレルターンと強い関係にある理由

パラレルターンは、ご存じの通り、両足を外側につきだし、雪面にエッジを効かせて遠心力に対抗して滑ります。

図1. へたくそだし、足の角度は結構いいかげんだけど、こんなイメージ。手の動きに意味はない。
シュテムはできるのにパラレルができない…。そんな人の多くは、この体の主軸よりも外側に両足(というより内足)を外に投げ出せていないのが問題です。少なくとも、ぼくはそうでした。
片足ターンを考えてみましょう。例えば右足で右に曲がるとき、両足で滑るときでも右足そのものが内足になります。右足だけで滑る場合、右に曲がろうとするといやでも内足でターンしなくてはなりません。つまり、イヤでも内足を体より外側に投げ出して、ターンしなくてはいけないのです。
このことから、

  • 片足ターンができる
  • ⇒ ターンの外側に内足を出して遠心力に対抗できる
  • ⇒ ターンの外側に両足を出していることになる
  • ⇒ パラレルターンができる

要するに、

  • 片足ターンができる ⇒ パラレルターンができる

といえます。

逆にパラレルターンができる人は片足ターンできんのかよ!と言われたことがあるのですが、できます or すぐにできるようになります。
旧来の寸胴スキー時代のパラレルターンは外側荷重が基本なので、内足ターンが苦手な人もいるみたいですが、それにしても両足を既に外側に投げ出せているので、すぐに出来るようになります。事実、ぼくが片足ターンの練習をしていたころ、パラレルができる友人はすぐに真似ていました(はじめてだったそうです)。
このことから、「片足ターンの技術がある」ということと「パラレルターンの技術がある」ということは、乱暴にいえば、どちらかができれば、もう一方もできるという関係です。


図2. パラレルターンと片足ターンの技術は同等。右の絵は…察してくれ。

片足ターン練習の意義

じゃあ、パラレルターンの練習すればいいじゃん…と言われそうなのですが、仰るとおりなんですね。しかしながら、それでも片足ターンで滑ることには意味があります。
片足ターンは両足ターンよりも制約が多いことが練習法としての密度を高めています。
つまり、「片足ターンは体・足を体の外側に完全に投げ出すための特訓」だということです。両足でパラレルの練習をすると、怖さなどからついつい内足をシュテムの形に戻してしまいます。しかも、シュテムに戻ったことを本人が気づかないケースが多い。片足ターンだと、少なくとももう一方の足が地に着いた時点で、内足を外に投げ出せていないことがすぐ分かります。これが、パラレルのための練習の密度を濃くしているのです。

片足ターンの練習法

練習コース

人が少ない&広め&できるだけ整地された初級者コースを選びます。

最も簡単なやり方

ある程度スピードをのせてから、片足走行に移ります。シュテムまでマスターしてる人なら、ここまではできるはず。
ここでは、右足でターン練習しているとします。
シュテムで中級者コースを苦もなく滑る人なら、右足だけで左にターンすることはできるでしょう。なぜなら、右足が外足になるからです。
問題は右足が内足になる右ターン。最初は、右に曲がるためのキッカケすら作れません。この練習を始めたときは、とにかくここがもどかしいのです。
おすすめするきっかけ作りの方法は、「内足のポール(ストック)を雪面に引きずる」です。本来は片足でも、微妙な体重移動により内足の内側エッジに乗ったり、無理矢理リアをスライドさせるなりしてターンを開始するのですが、これが出来ないうちは、なんでもいいのでターンするキッカケを作ります。
ポールで雪面をひっかいているうちに、内側が引っ張られて緩やかにターンが開始されてきます。
右足で右ターンできるかどうかは、体・内足を遠心力に抗してどこまで傾けられるかです。こればっかりは何度も転びながら練習するしかありません。
ですが、これをはじめて数日後には、大回り程度であれば右足右ターン、左足左ターンができるようになるはずです。
ぼくは、ここまでに、一週間くらいかかりました。

慣れてきたらポールなしでターンのキッカケをつくる

慣れてきたら、ポールなしで右足右ターン・左足左ターンできるようになりましょう。
やり方はいくつかありますが、片足といえど、左右のエッジをちゃんと使うことを意識しましょう。おすすめは、膝を少し曲げて、足そのものをねじって曲がりたい方のエッジを雪面にかける練習です。うまくいけばターンが始まります。
板の中央にのり、小指方向に荷重するように意識しましょう。
これをある程度の速度でできれば、既に大回りのパラレルターンはできる状態にあります。特に、エッジが雪面にしっかりとかかったカービングの状態でターンできていたらカンペキ!
ぼくは、片足練習を始めてからここまで到達するのに10日ほどかかりました。

内足を使ったパラレルターンが出来ているかどうかの確認方法

簡単です。両足で大回りターンしている最中に、外足を浮かせてください。シュテムまでしか出来なかった頃は、内足に力が入らず、こんなことはできないはずです。
しかし、片足ターンの練習を十分すれば、ターン中に外足を浮かせられるようになります。
というわけで、ぼくは片足練習から10日ほどでここまで出来るようになりました。

注意

この練習は本当にたくさん転びます。
特に、危ない転び方は、思わず浮かせている外足を無造作に雪面に下ろしちゃうときの転倒。おっとっと!となって進行方向とナナメに足を下ろしてしまうことがあります。また、内足の板を踏んでしまうこともあります。浮かせている外足の先端が接地して転倒することもあります。
こういった危険性もあるので、ビンディングの解放強度を少し落としておくとよいかもしれません。どうせ初心者コースなので、かなり低くしても外れたりしません。
また、片足だと思わぬ雪面の乱れで転倒しがちです。荒れている雪面では練習を控えましょう。多少の荒れであれば、膝を少し曲げて、姿勢をすこし下げておくと安定しやすいです。浮かせた足もしっかりと持ち上げましょう。ぼくはそうやってました。

練習の雑感

ぼくは、正直片足ターンに慣れるのに時間がかかっています。というのも、使っていた板の回転半径が大きく、ターンしにくいのです。
この練習をするには、回転半径の小さい中級者向けの板がおすすめです。古くてもいいので、回転半径の短い板を手に入れておきましょう。ぼくは板を変えてから、片足ターン練習が捗るようになりました。
ナニ、板の性能に頼るなんてズルい?なぁに心配しなくても、一度出来るようになってしまえば、もとの回転半径の大きい板でも同じようにできるようになります。なにしろ、遠心力に応じた足の投げ出し方の練習なので、板の回転半径とは直接関係ないのです。

外足主体のパラレルと両足のパラレル

外足に荷重するか、両足に荷重するかで意見が割れているのをよく見かけます。ぼくは、後者に賛成。
なんちゃってカービングターンを解決する 1 スキー100年目の革命が参考になります。
平たく言うと、昔の寸胴スキーだと、両足の先端が接触しやすいため、それを避けるためにあえて内足をルーズにしていた時代があり、この時代の教えを守っている人は外足荷重を主張しているのだと思います。
しかし、カービングスキーは内足もしっかりと雪面に食い込むので、板の先端が接触するということはありません。
両足に荷重したほうがもちろんしっかりとグリップするわけだし、シュワっとしたカービングもしやすい。
ちなみに、片足ターン練習をした場合は、上記のとおり内足荷重もかかるので、両足でのパラレルになります。

なお、実際のパラレルターンでは、外足荷重を重視することで内側への転倒を避けられ、安定性が増すのは正しいと思います。しかし、内足をある程度使えるようにする片足ターンの練習は、遠心力と雪面に対する(体の)理解度を高め、外足荷重の場合も含めてトータルで滑走技術を向上させると思います。

まとめ

でもないけれど…。
片足ターン練習は両足で行うパラレルターン(カービングターン)の習得に向いている練習法だと思います。
しかし、これはあくまで中・大回り用。小回りには通用しません。小回りのためには、ストックワーク&スキッドターンの習得に励みましょう。
大回り→中回り→小回り の順に覚えていくといいと思います。じつはぼくも小回り苦手なので、必死で修行中!

おまけ

動画みつけた。

ここまで斜度があって高速にやる必要はないですけど、参考になります。
この人は片足で最後まで滑ってますが、右ターン⇒右足、左ターン⇒左足、と交互にやっていくと練習量が倍になってよろしい。まあ、得意な足とそうでない足があるので、なかなか上手くいかないでしょうが…。ぼくは右足の方が得意。