ヤフオクで 2,300円で SIGMA 400mm を拾ってきました.
早速修理したいと思います.
SIGMA なのに,なぜかキャップは TAMRON のものがついています.しかも,キャップを止めるツマミが横にあるせいで埋まって摘めません….このレンズキャップはポイ予定. あと気になるのは,ピントリングのラバーがありません.なんじゃこりゃ(笑) AF は動作するようですが,塗料もベタベタになっているし,レンズはほぼ全てカビに覆われています.
分解手順は,Sigma AF-APO400mm F5.6を分解: ごっさん居眠り中を参考にしました. こちらは APO ですが,構造はほぼ同じです. 前玉からばらせばほぼ全てのレンズを磨けそうですね.
吸盤オープナーで前玉を回します. 正確にいえば,レンズ自体がねじ込まれているわけではなく,レンズをねじ込まれたリングで抑えているだけなので,レンズだけが空回りしていないか確認しながら回します. レンズとリングが外れてきます. これは保護レンズっぽい.
次にみえたレンズを外します. このレンズは先ほど外したレンズにリングを介して押さえつけられているだけなので,サッカーで引っ張るだけでリングごと抜けてきます.
抜けました. ここからは,作業を楽にするために,鏡胴を分解します. 台座状になっているリングを吸盤オープナーで外します.
はずしました.台座を外すとネジが4本みえます.これを外せば鏡胴が分離します. ネジは精密ドライバー+00で外します. 奥まっているので,長めかつ精度の良いドライバーでトライします.結構固いのでナメやすいと思います.
このレンズだけは,台座に入っていますので,台座を回します. 最初はレンズが台座に接着されているので,レンズを回せば台座も回るはずです.ここは結構難関.
ここまでで最後の後玉を残して全てばらせたことになります. 絞りを開ければ,後玉へもアクセスできます.割り箸を突っ込んでの清掃なので,あまりきれいにはなりませんが….
さて,各レンズをカビキラーで洗ってみましたが,中玉にあたる台座に収まっているレンズだけが曇ったままです.このレンズは貼り合わせレンズなのですが,その中のバルサムか周辺のコーティングが劣化してしまっているようです. しょうが無いのでこれもバラすことにします.例によって,台座はロックタイトで接着されていますので素手ではびくともしませんでした.カニ目も持ってないし….
こういう場合,ぼくは,煮ます. もう,一発で緩みました.ピンセットをカニ目穴に引っかけるだけでにゅるっと回ります.
台座どころか,バルサムまで剥げてしまいました. オーブンで焼く気マンマンだったのですが….
分離したレンズは,酸化セリウムをつけて指で磨きました.まあまあ,きれいになったと思います.
嫁さんの持っていたワセリンを代用しようとしましたが,純度が低く曇ってしまうため,嫁さんにプロペトを買ってきてもらいました. これならよさげ.写真はありませんが,これを少量塗布して貼り合わせ,くみ上げます.
3時間くらい試行錯誤したでしょうか.2,300円レンズとしては十分使えるレベルになったと思います.
before
after
なんというか,after はすっかりと逆光になってしまったので,あまり比較としては意味が無い写真となってしまいました.
ちなみに,試写をしている間に,隣のおうちにスズメバチが営巣しているのを見つけてしまいました.怖いでする.
後日,月も撮影してみました.2,300円だと思えば,許せるかな?
後日談
後になってわかったのだけど,前玉周辺の鏡銅がやけに太いなあと思っていたけれど,じつは,これはフードらしい.ZEN塗装塗料が溶けて固まっているわけです.しょうが無いのでエタノールをすき間に流し込みギコギコやっているちに,フードが出てきましたよ.
追記(2020/12/31)
前玉の外し方を質問されたので写真を追加.
前玉の最前面は光学的にはおそらく意味のない保護レンズがついています.このレンズを押さえているのはリングです.ですから,吸盤を使うというよりは,吸盤で押さえつつ,ガイドのリングを回すが正解です.わかりにくくてスマソ.