ラジエター交換

ラジエター交換します!

BMW MINI R52 クーパーS コンバーチブル(2005年2月初度登録,製造は2004年12月)のラジエター交換日記です.

じつは,年末から冷却水が漏れとったとです.MINI は国産車のラジエターと違って,サイドフロー式で,ラジエターコアのアッパータンク・ロワータンクが左右にあります.そのうち,向かって左側のアッパー側のタンクから水漏れしてました.
アッパーホースのラジエター側フランジからの漏れだったんで,フランジをバラして液体ガスケットでもすれば治るのかもしれないんですが,面倒なので新品に交換.

作業内容

ラジエターを新品に交換します.
また,せっかくエンジンが丸見えになるんで,クランク角センサーのオイル漏れ予防にガスケットも交換します.
あとはクーラントを新品にして来年に備えるだけ.

作業風景


いきなりですが,バンパーを外します.
バンパー分解の写真とかググればいくらでもでてくるので省略です.
8mm HEXのロングドライバがないとバンパー両脇の取り付けを外せないのに注意くらい.

また,プラスドライバと10mm HEX を駆使して,アンダーカバー類を外しておきます.


続いて,レインフォースメントを外していきます.
レインフォースメントの左右の穴に,それぞれボルト1本,ナット4本が隠れているので,取り外します.いずれも,13mm HEX です.ちょっと奥まっているので,エクステンションが必要です.


レインフォースメントが外れたら,レインフォースメントを支えていたステーを取り外します.
こいつは,正面奥まったところに 10mm HEXひとつ,車体の下にそれぞれ2本,16mm HEX のボルトで止まっています.


これが,16mm HEXのやつ.
こいつを取り外したら,ハンマーをつかって前方にステーを叩き出します.
その際,たぶん,ステーが固定されていた台座からプラスチックカバーが脱落すると思うので,こっちは車体に戻しておきます.これは,本体側台座の雨水浸入防止のカバーだと思います.


ぼくはこの時点で冷却水を抜きました.
助手席側に潜り込んで,ウォーターポンププライヤーでバンドを緩め,ロアホースをラジエターから引き抜きます.
ドレンコックくらい採用しようよ….


この時点で,エアコンのコンデンサを取り外せます.エアコンのコンデンサはラジエターのステーに 10mm HEX 2本で留められています.
外したら,配管を傷つけないように脇に置いておきます.


ラジエターコアの左右上部のプラスチックピンを引き抜きます.マイナスドライバーでこじってセンターを引き出して,その後ピンを引き出しますが….まあ,折れます.


過去の日記 にも書いたんですが,うちの子はラジエターファンの低速機能が死んでいて,これをなんとなくだましだまし修理して使っています.
で,その修理配線が邪魔でラジエターファンが取り外せないんですね.というわけで,配線を一時的にぶった切ります.

後付け配線をぶった切ったあと,ラジエターファンのコネクタを取り外し,配線クリップを取り外しつつ,ラジエターアッパーホースのインレット付近まで配線を引き出します.


写真なしで恐縮なのですが,ここらで,アッパーホースをラジエターから切り離します.これで,ラジエターがフリーになります.
ラジエターを手前に引き出したら,ラジエターマウントゴムを取り外します(まあ,完全に剥がしてからでもいいですが).


ラジエターが外れました.


取り外したラジエター(表)


取り外したラジエター(ファンシュラウド付き)(裏)
ファンシュラウドは,ラジエターにプラスチックのツメでひっかかってるだけなので,取り外します.


ラジエターを取り外したついでに,クランク角センサーのガスケットも交換します.
ここらへんにあります.


こいつです.
汚いけど,クランク角センサーからの漏れというよりは,タペットカバーパッキンからの漏れのような.


コネクタを拡大してみましょう.
こいつは,この赤色の板ピンを抜かないと,取り外しボタンを押せない構造です.
板ピンはマイナスドライバーなどで上方向に押し上げ&引き抜きで取り外せます.


完全に取り外せます.
コネクタ取付時は,先にこいつをコネクタにある程度差し込んでから接続すると時短です.


コネクタを脇に避けて,10mm HEX をひとつ取り外します.この直前に清掃しとくといいですね.
ボルトを取り外せば,センサは手前に簡単に引き抜けます.


抜けました.


ガスケットね,純正買うのが面倒くさくてね,マスオカのP-16買っておきました.
www.monotaro.com
純正ガスケットは断面が円ではなく,長方形です.ちょっと形状が違いました….


こまけえこたぁいいんだよ!


指し直してボルト止め&コネクタ取り付け.
したたっているのはブレーキクリーナーの残りです.
あ,ブレーキクリーナーは内部に入らないようにね(壊れたりってことはないでしょうが)


ちなみに,取り外したファンシュラウドです.
こいつの低速側レジスターが故障してるのがなんともね.


輸入車の宝箱SOLで購入しておいた新品のラジエター.
なんか,他のところは2万くらいなのに,こいつだけ1.5万円だったのです(笑).
ちなみに,ラスト1を購入してしまったので,もうないはずです.すまんな.


どんないかがわしいのが来るんだと思っていたら,BEHR HELLA 製でした*1.なんだ,純正同等品じゃん!(ヨーロッパではそれなりに有名な純正部品供給メーカなのです)


日東のエプトシーラーを張っておきます.膨らみ部分は二段重ね&成型(笑)
www.monotaro.com
20mm 厚のものを使いました.一巻で十分.

サイドのスポンジも触ると崩れてくるのですが,もう少し頑張ってもらいましょ!

この後,元通りにくみ上げていきます.ちなみに,ぼくの場合は,低速ファンの配線の半田付けもやりました(笑)


一度だけ水を入れて循環&廃棄して,クーラントを入れます.
モノタロウの安いやつです.

クーラントの入れ方は,おおむね次のようなかんじ.

  • エンジンルーム奥にあるサブタンクに水を満たす
  • ラジエター真裏にあるアッパーホースのエア抜き穴に水を充填
  • エンジンをかけ,水温が70度くらいまで上がるのをまつ(ふかさないと80度超えはしないです.でもふかすとサブタンクから水があふれます)
  • ホースをもみもみしたりして,サブタンク,アッパーホースの水が減ったら足す.
  • 減らなくなったら,サブタンクにキャップをし,エア抜き穴もしめる.
  • 2500~3000rpm を維持し,水温が 95 度を超えるのをまつ.(110度を超えたらヤバイのでエンジンを止めましょう.たぶんエアをかみすぎているので冷えたら水を入れ直す.)
  • 95度を超えたら少し水温を維持し,エア抜き穴を少し緩める.水が噴き出してきたらそのまま締め直す.吹き出さなければ水を穴に足す.
  • あとは,水温が80度以下になるのを待ち,下がったらサブタンクを開けて減っていれば水を補充.

でね,水漏れは収まったんですが,オイル漏れは収まってないし,オイル漏れの程度確認をしているときにロアアームボールジョイントダストカバーに穴が空いているのを見つけてしまいました….これねぇ,ASSY しかないし,ASSY 交換はドライブシャフト抜かないとできないんですよ…どうしよう.

*1:まあ,SOL は在庫情報検索画面でどのメーカかわかるんで,HELLA が来ることはわかっていました.

模様替え

前オーナーの趣味の同色グリルをクロームメッキグリルに交換します.
ここだけは趣味が合わなかった….前オーナー,すまんやで….

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同色グリルな BMW MINI R52 クーパーS コンバーチブル
カラーは A26 ホットオレンジMです.
グリルだけがなんか許せなくて,クロームメッキに交換です.

ちなみに,MINI クーパー R50シリーズ (R50/R52/R53) は基本的にグリルに互換性があります.
ただし,グリルは前期/後期/クーパーSかで違いがあります.
クーパーSは前期後期通して三本ラインです.それ以外は前期は4本ライン,後期はクーパーSと同じく三本ラインに.また,グリルの上下の唇部分は前期で溝有り,後期で溝無しになります.クーパーSもたぶん,前期は溝有りだと思います.
とはいえ,基本的にはどれも取り付くはずなので,好きなやつを選べばいいとおもいます.
一方で,バンパー側のグリルにデコレーティブストリップ(無地とか同色のやつは単にストリップ)という部品があります.下唇の上にある1本のモールですね.これは前期・後期関係なく同じです.こいつは下唇(センターフィニッシャー)に押さえつけられているので,バンパーを取り外して,フィニッシャーを取り外してからの交換になります.
作業風景は,こことかここらへんにまとめているので参照してください.

ぼくの好みは後期型なので,そちらをベースにクロームメッキ風にしました.

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うひょー,こいつはたまらんぜ.

とりあえずオイル漏れ止め剤入れてみるか

実はラジエターだけじゃない,オイルも漏れ始めているのでした.
MINI R52 クーパーS コンバーチブルは,R53 と同じでオイルクーラーがついております.
オイルクーラーはオイルフィルタハウジングについておりまして,ここからの漏れならまあ小一時間もあれば分解修理できるのです.
…なのですが,もしも,オイルフィルタハウジングとエンジンブロックの間からの漏れだと…サブフレームを下ろしたり,遮熱板と格闘したり,バイオレンスな修理になるわけで,是非とも避けたい….と想像しつつ,ジャッキアップしての現状確認も面倒くさくて,とりあえず,STPのストップリークをぶち込んでみることにしたのでした.





まあとくにコメントもなく.
もともとオイル多めにいれてたんで,上抜きで1Lぬいて,428ml STP ストップリークを突っ込んでみました.ストップリークは事前に湯煎して柔らかくしておきました.
さて,1,000km 過ぎたころ,駐車場のオイル染みがなくなってるといいですね.

え,冷却水も添加剤でいいのでは?いやー,あれはラジエターとかエンジンブロックが詰まったりするとめんどくさそうで….エンジンオイルの添加剤はあんまり悪さした話は聞かないですが,冷却水のほうって,山のようにそういうデメリット話あるんですよね.

MINIは金食い虫

BMW初代MINIだからなんでしょうが、むちゃくちゃ壊れます。

14年物、8万km少々ですが、次々と同時多発的に壊れていきます。ここまでとはね…。DIY できないと手放したくなる気持ちはよくわかりました。

さて、自分用メモです。Evernoteの調子が悪いのです。

  • ラジエターコアサポート劣化による冷却水漏れ
    • ラジエターコア
    • 冷却水
    • ついでにサーモスタット、ガスケット、ハウジングも
  • オイルクーラー付近からのオイル漏れ
    • オイルクーラーガスケット
    • ガッツがあれば、オイルフィルター、エンジン間のガスケット

あと、そろそろ来そうなのが、

  • クラッチ、レリーズベアリング、フォーク類

なので、

あたりを同時に対応したい。

 交換時期に来てるのは、

  • フューエルフィルター
  • O2センサ2つ

かな。

 

うーん、どれから手を着けよう。

 

レーダー探知機取付

Comtec の ZERO-105L を取り付けます.
コテコテのMINIスタイルを貫きたいのでディスプレイは無しですっきりいきます.え,ナビはどうすんだ?あれは…許してたもれ….

実はすでに助手席キックパネルのヒューズボックスまでACCとGNDをひいているので,ここまで電源を引っ張ってきて,ここに接続するだけの簡単装着.
OBD2を使うつもりはないので,直接配線コード ZR-02 を使います.



これ.


助手席キックパネルのヒューズボックス窓をご覧ください.
もはやなんの箱か謎です.
ここに ACCとGNDを引いてます.(実はリバースチャイム取り付けたときにバック信号線も引いたw.奥に手を伸ばすと車速線も出てきますwww)

確認してないですが,このヒューズボックスにはACCヒューズもあったはずなので,そこから分岐するのもスマートでいいですね.
GND?ナビ裏からすでに引いてるんであれですが,助手席ダッシュボード脇パネルをあけるとアースポイントがあったとおもいます.


直接配線コード ZR-02 です.
レーダー探知機の機種によってはOBD2 線を引いて電源をとってもいいっちゃいいんですが,MINI R52/R53 のOBD2コネクタはちょうどクラッチの上にあって,しかも蝶番式のカバーがあったりとひじょーに邪魔なんですよね.もしもここからOBD2線を引くなら,コネクタをバラして移設したほうがいいです.
ぼくはそこまでしてまでレーダー探知機でOBD2スピード情報が欲しいわけでもないので,電源直接配線コードだけでOKにしました.
なお,念のため述べておくと,ZERO-105L は そもそも MINI R50シリーズの OBD2 とおしゃべりできないので,同じレーダー探知機にする人は気をつけてね!(つまり,MINI R50シリーズはOBD2非対応)


で,ですね,今回の作業で一番難航したのはここです.
設置場所を運転席前のダッシュボードにするんですが,助手席キックパネルまで電源ケーブルを引かなくてはいけません.
方針はいくつかありますが,今回は運転席足下から助手席足下までカーペット裏を這わせることにします.じつは車速パルス線も同じように配線したので同じ経路でということですね.
運転席→助手席の渡りは,センターコンソールの裏側にします.ここ,すごく狭いんですが,頑張ればケーブル2,3本なら通ります.

今回はすでに車速パルス線が運転席→助手席と伸びているので,これに電源ケーブルを粘着テープで縛り付け運転席→助手席と引っ張ります.
この際,ZR-02 のヒューズボックスをバラし,コネクタだけ取り外してスリムにしておきます.(ヒューズボックスやレーダー探知機側のコネクタはまず通らない)
その上で,ケーブルを二つ折りにして,折り返し部分をすでに渡っている車速パルス線に縛り付けて反対側から引きます.


電源線が通ったので,レーダー探知機までの電源線の引き上げを検討します.
運転席側ダッシュボードサイドパネルを開けてみます.
うん,ここを通してダッシュボード脇まで電源線を引き上げれば良さそうです.このスペースならコネクタも余裕で通ります.


なんとなく配線してみて,設置位置を決めます.


ダッシュボードサイドパネル内をこんな感じで電源ケーブルが抜けます.
振動防止にテープかケーブルタイで留めるといいですね.ぼくはサボりましたけど!


ACC電源とGNDも接続しておきます.
ケーブルはカーペット裏に隠します.


完成!

リバースチャイム取付

MINI R52 コンバーチブルS (6MT) にリバースチャイムを取り付けました.ショボいやつ.
リバースチャイムってアレです.バックするときにぴーぴーいうやつ.いやー,輸入車ってあれ鳴らないんですよね.クーパーS とかコンバーチブルSは 6MT なもんで,一速とバックが隣り合ってまして,マジ間違えるんです.事故が起きないうちにぴーぴー言うようにします.

使ったのは,Panasonic 電子ブザー EB2122 .決め手は,安い.そんだけ.音は「ぴよっぴよっ」って感じで情けないですが,爆音というほどでもないので埋めて使うには十分.

取付の方針は左バックランプ線に割り込ませて,バックランプがついたら音が出るようにする,です.
というわけでまずはバックランプの信号線を探します. R52 コンバーチブルS (2005/2初度登録; 製造は2004/12)はR53 クーパーS 後期型とはちょっと配線が違うんですが,まあ助手席か運転席のサイドどっちかにはあるだろってことで助手席からサイドをあけていきます.

配線図を見た感じ,青・黄線を見つければ良さそう.
青・黄線というのは,被覆が青色で縦に黄線が一本入ってるやつです.逆はまた別の線だったりするので注意.

結論からいうと,助手席脇でバックランプ線を見つけました.


助手席サイドのパネルをあけていきます.
まずは,邪魔になるリアシート(座面)を外していきます.これを外さないと,助手席サイドパネルを押さえている後部座席のサイドパネルが外れないんです.


座面のISOFIXコネクタカバーを外します.引っ張るだけ.向きと左右があるので戻すときは注意.


座面はフックで止まっているだけで引っ張ればとれます.
手前側から上に引っ張って前側を浮かせたらそのまま全体を引いて後ろ側のフックも引き抜きます.楽勝.
コンバーチブルは屋根があくんで楽ですね.


助手席シートベルトを外します.このボルトです.


T50 で外れます.


外れました.


サイドパネルは4つのクリップで留まっています.後ろ側3つはセンターを引き抜いて緩めるクリップ,前1つはセンターを押し込んで緩めて抜くクリップです.ちなみに,前1つのクリップは壊れてなくなってます(笑)


後ろ二つのクリップ.うしろ三つ目は座席に隠れて写ってません.


前1つ目のクリップは助手席足下奥.まあ実は先述の通り,このクリップは壊れてなくなっております….

今回は助手席サイドパネル下だけで完結する作業なので,サイドパネルだけ外し,グローブボックスは外しません.
サイドパネルは後ろ側が後部座席のサイドパネルに重なっているので,後部座席サイドパネルを浮かせてから助手席サイドパネルを後ろ側から上に持ち上げて,回転させるように引き抜きます.


サイドパネルを取り外すとカーペットをめくれるようになります.結構分厚い.5cmくらいあるんじゃないかしらん.ウレタン製なんで捲りすぎると折れます.以前折りましたw本格的に捲るときはシートを外した方がいいですね.
さて,ぼくの場合はカーペット下(というか脇ですね)に色々埋めているので発掘します.


助手席サイドの配線束の中に青・黄線ありました.なんだか2本それっぽいのがあったんですが,太い方がバックランプ連動してました.
適当にタッピングします.


タッピングしたやつをブザーのプラスに接続し,マイナスは適当にアースしました.(具体的には,過去にここまでオーディオ裏GNDを引いていたので,それを利用)

ブザーもカーペット脇に埋めました.
良い感じでピヨピヨいってます.

pitte について思ったこと

はじめに

ぼくも普段からお世話になっているみんカラの運営会社であるカービュー(carview)が,自動車整備のC2C型スキルシェアリングサービス「pitte」とやらを開始するらしく,キャンペーンのメールがやって参りました.
これについて想像したことをあれこれと書いてみます.

C2C型スキルシェアリングサービスとはなんぞや

ここ数年,経済誌を賑わせるトピックスワードに「○○シェアリング」というのがありまして,「pitte」もその運用形態の一つです.カーシェアとかライドシェアとかってよく聞きますよね.アレです.

「○○シェアリングサービス」って(?_?)という方に簡単にいうと,ユーザ一人でモノなどを購入して占有して使うのではなく,何名かで共有して使うことで,一人当たりのお支払いを安くしましょう!というもので,特に,誰か他の一般人が持っているものを使わない時間にお安く貸し借りする形態のサービスを「C2C型シェアリングサービス」と言います.C2Cは,Customer to Customer の略で,ユーザとユーザ間でのやりとりが主体となることを表しています.
たとえば,国内にもすでに DeNA 社の運営する,Anyca という C2C型カーシェアリングサービスがあります.これは,お小遣いを稼ぎたい自動車オーナーが,その車に乗ってみたい人に,使わない時間に車を貸し出すのを斡旋(マッチング)するサービス.実は,斡旋サービスを行っている Anyca 自体は車を一台も所有していなくても実現できるサービスで,(斡旋)サービス提供者のフトコロは全く痛まない大変ナイスなサービスで*1,こういったサービスがここ数年経済誌を賑わせているというわけです.

では,スキルシェアリングサービスってなあに(?_?)というと,これはモノの貸し借りではなくて,できることの貸し借り(能力の貸し借り)です.つまり有能な人のヒマな時間を,その人の能力をほしがっている人に時間貸しする,斡旋(マッチング)サービスがスキルシェアリングサービスになります.ユーザ間で能力を貸し借りしあうC2C型サービスになると,斡旋サービス提供者は利用者に提供するスキル(人材)を持っていなくてもサービス実現できるというフトコロの痛まないナイスな商売なのです.

pitte はC2C型スキルシェアリングサービス

pitte について平たくいうと,普通の人よりちょっと車のことがわかってるユーザ(スキル提供者)(の能力)と,車のことがよくわかっていないユーザ(スキル利用者)とをマッチング(斡旋)する仲介サービスです.
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図. pitte のイメージ.アルファロメオなら作業経験のある一般人の方です.

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図. サービスの流れ
作業工賃が発生したら,そのうちの20%と事故が起きたときのため300円の保険料を仲介サービス料として召し上げるという仕組みのようですね.

整備士資格や認証工場でないとやってはいけない作業は,サービスの対象外っぽいですね.

思うこといろいろ

さて,ここからがぼくの思うことです.全部仮説なので外れてるかも.
論旨の結論から申し上げると,「たぶん流行らないと思うけど,もしもこのサービスが流行れば(流行るシナリオがあったとすれば)アフターマーケット業界(修理工場業界)の市場縮小に繋がるのではないか」です.縮小とは言わないまでも悪影響がありそう.

スキル提供者も利用者も大してオトクでない?

サービスのターゲットはスキル提供者とスキル利用者です.
先に,わかりやすいスキル利用者から考えると,これはとにかくちょっとした作業なんだから「安く済ませたい人」です.工場によっても違いますが,修理工場などでの時間工賃(人件費)は1時間あたり6000円とかそんなもんです.スキル利用者からすると,6000円/時を超えるようなサービスなんて絶対に使わないでしょう.トラブったら面倒ですし,同額でもアウト.つまり,どんなに高くとも 6000円/時未満となるようなスキル提供者にしかお願いしないことになります.

一方でスキル提供者は,ヒマなときにお小遣いを稼ぎたい人です.できるだけ多く工賃をもらいたいところですが,スキル利用者は6000円/時未満しか払ってくれません.しかも,そのうち20%+保険金が pitte に搾取されますので,スキル提供者はどんなに頑張っても 4,800円/時未満しか稼げないんです.ひょっとしたら交通費なんかもこの中に入ったり,設備などの持ち出しもあってもっと分が悪いかも.

実際,スキル利用者はもっと安くないとこの手のサービスには手を出さないのでは?とも思うので(エビデンスなし),実際には3000円/時くらいしか払ってくれないのでは?と思います.そうするとスキル提供者はもっと収入が下がり,2000円/時強くらいしか稼げずうまみがないことになります.

そもそもそんなに利用者が増えるか?

自動車整備工場で儲かっているのは車検整備などの認証工場でないと扱えない重要保安部品等のメンテナンスです.これは pitte では認められていないようです.
おおよそ,ガソリンスタンドで頼める程度の電装品の交換や取付が中心になると思います.ひょっとしたら,アルファロメオ(笑)のようなマニアックな車で修理工場が断ってくるケースもあるかもしれませんが,ニッチすぎてマッチングできる気がしません.

スキル提供者は工場の中の人になり業界は縮小する?

ここは妄想全開です.
これまでに書いたとおり,利用者も提供者も現れず,マッチングサービスが成立しないと予測していますが,まかり間違ってサービス利用者が増えてしまうシナリオを想像してみます.
あり得るシナリオとしては,スキル提供者が工場の中の人になるケース.つまり「契約成立して車を持っていったら…普通に整備工場だった!!(ガビソ」ってパターン.これは,時間外で工場の人がスキル(と設備)を提供するかもしれませんし,工場自体がスキル提供者(つまり工場の pitte への出店)です.

こうなった場合,先に示したとおり,利用者は最大でも 6000円/時しか工賃を払ってくれませんし,20%のピンハネがありますし,工場(の中の人)のもうけは減ります.しかし,ライバルの工場が近隣の工場を出し抜くために pitte を利用するようになれば,利用者がそちらに逃げてしまうので,他の工場も pitte 化せざるをえません.

するとあれよあれよという間に,アフターマーケット市場のもうけは pitte に吸い上げられるうえ,利用者が支払ってくれるMAX額も減ってしまうので市場全体も縮退すると考えられます.

pitte をやってみたいか?

いや,大して儲からなそうですし,ぼくは結構です.所詮素人で雑ですし.
みんカラユーザがメインターゲットじゃないと信じてはいるんですが,みんカラのヘビーユーザ(DIYer)が嫌いそうな話ではあるなあと思いますので,もしみんカラユーザがターゲットなのだとしたら,ちょっとうまく行く気はしませんね.工場が入り込んできて業界がしぼむのがせいぜいかと.それまでにサービスが左前になりそうですけどね.フトコロの痛まないサービスなので,細々とは続くかもですけど.

*1:口汚くいうと(いやすでに十分口汚いのですが)他人のふんどしでエンドユーザにサービスを提供して,途中でお金をちょろまかすビジネスです.Uber(ライドシェアリング)とかAirbnb(民泊)とかもそう.