さ〜てみなさんお待ちかね〜.今回は初心に返ってエンジンオイルの交換だよ〜.サンデーメカニックなんてやらない諸兄諸姉も一度くらい挑戦してもいいんじゃないかな?
エンジンオイル交換うんちく
エンジンオイルの交換時期
エンジンオイルは5,000km走行または1年経過のタイミングで交換するのが一般的ですね.入れているエンジンオイルがどういう性質を持っているかで変わってきますが,おおむね,2,000kmあたりでオイルが黒ずみ,交換したときに「ああ,ぼく,交換してる!」と実感がわいてきます.真っ黒になったからといってもエンジンオイルの性能が極端に劣化するわけではなく,エンジン内の汚れをオイル内に閉じ込めておいてくれます.でも,これの効果が薄くなり始めるのが5,000kmあたりから,といわれています.
エンジンオイルの規格
エンジンオイルにもいろいろありまして,鉱物油だとか合成油だとか部分合成油だとかいろいろと種別があるのですが,スポーツ走行でもしない限り,べつになんだっていいです.
エンジンオイルを選ぶのにもっとも大事なことは,SAE規格を大間違いしないことです.SAE規格は
- 冬期始動性,
- 粘度
という二つの項目からなる規格です.冬期始動性は,どれくらい気温が下がってもエンジンオイルが固まらず,ちゃんとエンジンを回せるか,ということの指標です.粘度は,オイルの硬さなどともいわれていますが,ねっとり感のようなものです.
粘度が高いと,エンジン内で動いているピストンにねっとりと膜ができ,ピストンを激しく動かしても摩擦が起きにくくなります.ただし,使っているエンジンに対してあまりに粘度が高いと燃費が悪くなるとか言われています.
逆に,粘度が低いとエンジンオイルがピストンの動きを妨げないので燃費は上がりますが,エンジンを回しすぎるとピストンの周りに膜を作れなくなりピストンとシリンダを傷めてしまいます.
冬期始動性と粘度は, ○W-○○ という表記で表されます.(○はいずれも数字)
○Wが低ければ低いほど冬期始動性はよくなります.
−○○が大きいほど粘度は高いということになります.
この値は,車のマニュアルに記載されております.AE100の場合は,通常 5W-30 ですが,寒冷地仕様の場合などは,0W-50 だとか大まかな指定がされております.
でも,実際はそんなにピッタリと合わせる必要はありません.5W-30だろうが10W-30 だろうが,問題はまず起きません.さすがに,0W-20 とかは低すぎると思いますけどね….
また,エンジンオイルにはさらに
- API 規格
- ILSAC 規格
というものがあります.これはどちらもエンジンオイルの品質を表した規格です.API では SN,SM, SL, SJ の順に高品質で,日本で流通しているエンジンオイルのほとんどにこのマークがあるとおもいます.高品質なオイルがいいに決まっていますが,まあ,ぶっちゃけどれでもいいです.
おまえ上抜き派? 下抜き派?
エンジンオイルの交換の仕方は大きく分けて二つあります.
- 上抜き
- エンジンオイルレベルゲージの穴からエンジンオイルを真空ポンプなどで吸い出して,吸いきったらエンジンオイルを入れる.
- 下抜き
- エンジンオイルが貯まっているオイルパンのボルトを外し,下からオイルを抜いた後,エンジンオイルを入れる.
多くの整備工場では後者を選択しますが,簡単さから言えば上抜きでしょう.下抜きでは,オイルパンのボルトを取り外すためにジャッキアップが必要だったりしますからね.整備工場でも時折上抜きしているところもありますけれどね!
ただ,上抜きもいいことずくめじゃありません.車種によっては真空ポンプのパイプを通すところにエンジンオイル量センサーなどがあったりするので,これを壊しちゃったりします.
また,上抜きで抜けるオイル量と下抜きで抜ける量が異なる場合もあります.
AE100カローラくんの場合は,上抜きでも下抜きでも問題ないはずです.私は下抜きしかやったことないですけど….
下抜きで交換しよう.まず準備だね.
下抜きの場合,下記の道具が必要です.今回はオイルフィルター(オイルエレメント *1 )
- エンジンオイル 3L
- 新しいドレンワッシャ
- オイルパンから引き抜いたボルトにはワッシャ(というより銅製のパッキン)がついています.これをドレンワッシャとかいいます.ホームセンタなどでは単体では見当たらないかも,ドレンボルトとセットになっているものはよく売っています.
- 廃油パック 4L 以上
- 車の下に潜る込める設備.下記のいずれでもOK.パンタグラフジャッキはダメ.
- ジャッキアップ+リジッドラック(ウマ)x2
- 整備場でリフトアップ
- 人が潜り込める溝をまたいで駐車
- レンチ + フィルタカップレンチ
- オイルフィルタを回すためのレンチ.
- AE100の場合,カップレンチのサイズは直径65mm.実際のフィルタの直径はφ63mm.フィルター角数は14角.内径は63mmでも64mmでもたぶん大丈夫.フィルタにはテーパがついてるしね.
- フィルタレンチはちゃんとサイズのあったものを買った方がいいです.サイズフリーのものもありますが,役に立った試しがありません.
- エクステンションバー(6〜8cmくらい)があるとなおよし.
- オイルフィルタを回すためのレンチ.
- 14mmのレンチ
- ドレンボルトの頭が14mmなのです.
作業
ジャッキアップ.間違ってもパンタグラフジャッキなんて使わないように.
それと,エンジンを2分程度アイドリングして暖気します.冷えたままだとオイルが硬すぎてドレンから出てきてくれないからです.あまりにエンジンを熱くするとやけどするよ.
- 廃油パック
- ラチェットレンチ
- フィルタカップレンチ
- 14mmレンチ
- 新しいオイルフィルタ
オイルパンは運転席側にあるこの黒い箱.ついているボルトがドレンボルト.
廃油パックを設置しよう.これを上手に配置できるかどうかが油まみれになるかどうかの分かれ目.
個人的には車に対して縦置きがよい.なぜかというと,AE100の場合,ドレンがオイルパンの前方についているため最初は前方に放出され,勢いが弱まると今度は尻引きしてオイルパンの後ろ側にタレてくるから.
また,オイルはハネるので,できるだけ廃油パックのふたは立てたほうがよいでしょう.
途中から手で回します.
ここにもオイルを飛び散らせないためのポイントがあります.それは,ボルトを軽く押し込みながら左に回すこと.つまり,ボルトを取り除くぎりぎりまでオイルが漏れないようボルト自身で押さえるのです.最後まで回しきったら,せーのでパッとボルトを取り除きます.なれれば,1滴こぼすかどうかくらいになります.
うまく廃油パックに入っていて,かつまだ前方に余裕があれば,エンジンオイルのふたを外します.これでもう少し勢いよくオイルが抜けます.(前方に飛ぶってことだよ)
AE100 の場合,ここでドレンから抜けてくる量は 3L ですよ!ただし,それは水平での話.私のように前車輪だけ浮かしている場合は,オイルパンが斜めになっているため排出量はもっと少なくなります.2.5Lってところかな.
外したドレンボルト+旧ドレンワッシャと,新ドレンワッシャ.組み直します.
オイルがちょろちょろしか出なくなったらもうOK.ボルトをワッシャを介して締め直します.間違っても力を入れすぎてオイルパンを破壊しないように.壊して泣いた人はいっぱいいるらしい.AE100の場合は,指一本の力だけでぎゅっとしめたらまずOKです.
ちなみに,ここでギリギリまでオイルを出そうとがんばってずっと待ち続ける人もいますが,心配しなくても排出できないオイルが500cc〜1Lありますので,ここで出し切るとかそういうのは誤差のレベル.そんなことにがんばる根性があれば,次回の交換を早めにしてあげることですな.
ところで,オイルパンを見上げるとオイルフィルターも見えます.私のAE100にはなんだか変なコードの生えた部品がありますが,気にしない!
オイルフィルターはボンネットの上から交換しますが,もしもそちらからの交換が困難であれば,この写真ように下方向からフィルターにアクセスして交換します.
なお,ボンネット上からオイルフィルタを交換する場合は,ここでジャッキダウンします.
オイルフィルタを交換するために,廃油パックの位置を変えます.
エンジンオイルは抜いてありますが,旧フィルタ内に200ccくらいはオイルが残っているので,これを受けるために廃油パックを横置きに.場所は,アンダーカバーに沿って配置,くらいかな.ボンネットの上から確認してみましょう.フィルタからこぼれ落ちるのは50ccくらいかな!あとはフィルタの中に残ります.
これがカップレンチ.
ボンネットからこうやって手を入れて左に回します.エクステンションがないとたぶんとどかないよ.届かなかったら諦めて下から外そう.
新エンジンオイルとあったらうれしい小物たち.
ノズルは1Lほど余るであろうエンジンオイル缶のトップを汚さずにすみ,計量容器は投入するエンジンオイル量を知ることができます.
どっちもなくてもいいけど,あれば便利.
AE100の 5A-FE エンジンは,水平状態でオイルパンから抜ける量が 3L,フィルタを交換した場合はさらに 0.2L の合計 3.2L 交換と見積もられています(整備書による).とはいっても,前述のとおり,私の場合は前輪ジャッキアップでオイルパンから2.5Lしか抜けておりません.というわけで,2.5L ほど詰め込んでから様子をみることにします.
新しいフィルタのパッキン部分にエンジンオイルを指でぬりぬりします.こうすることでオイル漏れを起こしにくくなります.
フィルタを取り付けます.
ポイントは,手でエンジンブロックにフィルタが着座するまで回し,着座してから 3/4 回転レンチで締めること.これ以上でもこれ以下でもダメ.
レベルを確認します.
なお,本来であればすでにジャッキダウンしていますが,わたしは都合によりジャッキアップしたままで計測しています.そのため,ちょっとF寄りにオイルが付着しています.2.5Lだと,普通は L と F の真ん中かちょっと L 寄りにつくはず.
問題無ければオイルフィラキャップを閉じる.
あとはエンジンをかけて,オイルランプがエンジン始動後に消えることを確認する.
まとめ
ね,簡単でしょう?
ちなみに,エンジンオイルの量は F にあわせるものじゃないです.L と F の間にあればいいものです.
F まではいっていると,ちょっとくらいオイルが漏れてもすぐには L を切らないので安心な反面,オイルポンプ(エンジンオイルをピストンにかけてくれるポンプ)の負荷が増えます.一方 L に近ければオイルポンプの負荷は減る反面,エンジンオイルが漏れ始めるととてもやばい.すぐにエンジンが焼き付いちゃう.私はこまめにエンジンオイル量をチェックするので,ちょっと少なめにしているのです.
ところで,エンジンオイル交換を始めたばかりのころは私もそうだったのですが,オイル漏れは決してクリティカルなミスではないということです.オイル交換でクリティカルなミスというのは,下記のような状況を言うのです.
- オイルをFを超えて入れすぎた.
- オイル量がLを下回っていた(少なすぎた).
- オイルパンのドレンボルトでメス側をなめた.
この三つは最悪.これに比べると,オイルがちょっと漏れてるくらいどうってことはないです.
ありがちなのは下記でしょうか.
- オイルパンのドレンボルトからエンジンオイルがじわりと漏れてくる.
- フィルタからエンジンオイルがじわりと漏れてくる.
どちらも,工具でちょっとだけ増し締めしてやればよいことです.それで解決しなければ専門家に相談しましょう.
フィルタからのオイル漏れは発火の原因になりうるので,早めの処置が必要です.一方,ドレンボルトからの漏れは単純にエンジンオイルが減りやすい,というだけなので,オイル量だけ気をつけておけばそれほど心配はいりません.
上に挙げたのはクリティカルなケースを3つでしたけど,たまーに聞くのは,
- エンジンオイルのオイルパンとATFのオイルパンを間違えて,ATFドレンボルトを抜いてしまった.
というもの.ATFというのは,オートマ車のミッションに使われているオイルでして,これも車の下側にオイルパンがあり,ドレンボルトがあります.間違えてATFを抜いた上,さらに間違えてエンジンオイルをつぎ足してしまい,大変な状況になったという話もきいたことがあります.どこがエンジンオイルのオイルパンなのかよく調べてからやりましょうね!
ちなみに,1枚目の写真の右側,赤色のシミがある部分がATFのオイルパンです.(赤いのは漏れじゃなくて,液体パッキンの残骸が張り付いてるだけですヨ)
クリティカルなミスをしてしまった場合も,発覚後,すぐにディーラに駆け込むことをお勧めします.まぁ,レッカー車で駆け込むことになるのかもしれませんけど….
*1:なんでエレメントっていうんだろうね? 車の部品名は〜〜エレメントが多い.エレメントって構成要素って意味しかないんだけど.オイルエレメント=油構成要素 わけわからん.